<母親やめてもいいですか?>家を出る決意「ひとつだけ後悔があるならば」離婚へ……【第9話まんが】
前回からの続き。今から十数年前、私ユズキが40代半ばだった頃の話です。小学4年から中学にかけて登校できない期間があった息子のコウタロウ。義両親や夫からは「お前のせい」と暴言を吐かれ暴力を振るわれる日々でした。今や高校生になったコウタロウまで同じような態度を取るようになり、私はもう限界でした。もうだめだ……そう思っていたとき、ふと自分がコウタロウにかけた言葉を思い出しました。
「もう家族に未練はないわ。お金はなんとかなるはず、まずは家を出よう」私はそう決心しました。
「離婚してください」そう言った私に、夫はまたいつもと同じように私に向かって拳を振り上げます。でももう私は怖くありません。「殴ればいいわ」
「殴ったら、警察を呼びます」毅然とした態度でそう言い返す私に、夫も義両親も返す言葉がないようです。「とっとと離婚しておやり! こんな役立たずで根性ナシの嫁なんていらないよ!」
「今後のことは弁護士さんを通して話し合っていきましょう。今まであなたたちが私にしてきたことや暴言はこのノートにメモしてあります。暴力をふるわれてできた傷やアザはその都度写真に撮ってあります。このままで終われると思わないでくださいね」そしてコウタロウに尋ねました。「あなたはどうする? 一緒にくる?」
「はぁ? お前みたいなヤツと、一緒に行くわけないだろ?」
コウタロウは私と一緒に来ないだろう。思った通りの答えでした。私はこれを最後と気持ちを伝えることにしました。「あなたは一度学校に行けなくなってしまったけれど、それは恥ずかしいことではないわ。誰だってつまづくときはある。つまづいたら少し休んで、パワーが十分に溜まったら、また歩き出せばいいの」
「……今は分からないかもしれないけれど、それが分かる大人に、いつかコウタロウがなってくれると母さん嬉しいわ」
「訳の分からないことをペラペラしゃべってないで、早くいけば?」コウタロウに私の気持ちは届かなかったかもしれません。それでも伝えられた……。「もし、ひとつだけ後悔があるとしたら……」
「はじめてこの家の人たちに暴力を振るわれたあの日、あなたを連れてこの家を出ればよかった。それだけが私の選択ミス。ごめんね……」
「ゴメンね、コウタロウ。本当にゴメンなさい。どうか、元気でね……」こうして私は家族を捨て、コウタロウを捨て、この家から逃げ出したのでした。コウタロウをこんな環境で育ててしまったのは私の責任です。けれど成長したコウタロウはもう「私」ではなく「この家」を自分から選ぶようになっています。私は母親として、精一杯やってきた……そう思って、これからは自分の人生を歩んでいきたいと思います。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子