<母親やめてもいいですか?>「私らしく」自分の人生を。成長した息子、笑顔で別れ【第10話まんが】
前回からの続き。今から十数年前、40代半ばだった私ユズキは学校に登校できない息子のコウタロウを必死でサポートしていました。しかし義両親や夫からは「お前のせい」と暴言を吐かれ暴力を振るわれる日々。やがて高校生になったコウタロウまで同じような態度を取るようになり、限界だと思った私は家を出たのです。そして10年が経ちました。
私は地方の旅館で仲居として働きながら暮らしていました。一緒に働く仲間には事情を話していましたが「家族を捨てたとき、どんな気持ちだったか?」と聞かれ……。
コウタロウが社会人になってすぐくらいのころ、「会いたい」と言われて会ったことがあります。
コウタロウは「俺のために頑張ってくれた母さんに、俺、とんでもないことを……。本当に申し訳ありませんでした」立派に成長したコウタロウはそう言って私に頭を下げて、謝ってくれたのです。「頭をあげなさい、コウタロウ」
「俺、大学生になるときに家を出たんだ。何かされたわけじゃないんだけど……、でもいろいろ現実が見えてきて、これ以上ここにいてはいけないって思ったんだ」
「母さんは出て行ったあと、いろいろ考えさせられたんだ……。どんなときでも、俺を支えてくれた母さんがいたこと」そう言ってコウタロウが顔を上げて私を見つめます。
「いろいろな人の支えがあって、優しさに包まれて生きているだって分かったんだ」コウタロウがそう話すのを聞いて、私は「あなたがそれを分かってくれるようになってくれたなら、私が家を出た甲斐があったのかもね。でもね、誤解しないで欲しいのだけれど……」
「だからといって、これからまた親子としてやっていくつもりは…ないの」そう、私はそんな生半可な気持ちでこの子をおいて家を出たわけではないのです。
「私はいつまでもあなたを忘れることはないわ。でも、あなたと離れて、ひとりで生きることを選んだの。最後にあなたの成長を見ることができてうれしかったわ……さようなら、コウタロウ」
思い出話を終えたあと、「本当にそれでいいんですか?」心配して同僚が聞いてはくれましたが、私は「これでいいのよ。さ、そろそろ行きましょ~!」そう言って立ち上がりました。
「休憩も終わり! これから忙しくなるわよ」さぁまた、仕事にいかなくちゃ! いろいろありましたが、今はこの空気の美味しい場所で、深く息を吸って穏やかな気持ちで暮らすことができています。あの家での出来事も、コウタロウとの生活もきっぱりと捨てた私ですが、その決意に今さら後悔はありません。これからは「私らしく」自分の人生をしっかりと生きていきたいと思います。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子