<NON STYLE石田明さん×足立区長対談>足立区が子ども支援に力を入れるワケとは
子育てが思うようにいかないと感じたとき、「自分が頑張らなきゃ」と、ついひとりで抱え込んでしまうことはありませんか。周囲に頼ることが難しく、気づかないうちに孤立してしまう……そんな悩みを抱える家庭は、決して少なくありません。
足立区では、こうした状況を防ぐため、妊娠期から義務教育終了後の高校・大学生、社会人も含めた若年者に至るまで切れ目なく子どもと家庭に寄り添う取り組みを進めています。今回は、足立区長の近藤やよいさんと、三児のパパで、はじめての子育てが双子だった石田明さんが対談。双子育児のリアルなエピソードを入り口に、子育てを「ひとりで頑張りすぎない」ためのヒントを伺いました。

NON STYLE 石田明さん(以下、石田さん):僕には3人の子どもがいます。しかもはじめての育児は双子で。正直、何もわからないままいきなり2人の赤ちゃんの父親になったので当時は必死でした。出産のときは、妻と一緒に泊まれる産院にして、そこから仕事先へ行く毎日。ただ生まれたその日からわが子たちと一緒にいられたのは、ほんまによかったです。
近藤やよい足立区長(以下、近藤区長):出産のときに父親も一緒に過ごせる環境は大事ですね。
石田さん:それと、2017年時点の会社としては異例やったんですけど、双子だったこともあり10日間ほど育休を取りました。以降、育休を取る芸人が増えたのでよかったと思っています。
近藤区長:はじめての育児、石田さんは、どのように参加されたのでしょうか。
石田さん:とにかく、慣れない育児で当時は相当大変でした。昼間は妻、夜は僕が双子の面倒を見るように分担していて、夜は妻が搾乳しておいた母乳を温めて、泣いたら抱っこしてあげる。その合間に、ちょっとだけ仕事をする。そんな生活が、生後3か月くらい続き、正直、その間はほとんど眠れていなかったですね。
双子って、最初は一緒に泣くんですけど、かまってもらえないとわかると交互に泣きよるんですよ。生まれたばっかりの赤ちゃんやのに、こんなに空気を読むんやって(笑)。

でも双子でラッキーやったこともあって、双子だと人手が足りず、おむつ替えのチャンスが僕に回ってくる。ショッピングモールのおむつ替えコーナーでも、他のパパがてんやわんやしている中で、僕はダントツで手際がよかったですね(笑)。
近藤区長:おむつ替えができることを「チャンス」と言えるのが、素敵ですよね。お若い頃から、こんな父親になりたいという、「理想の父親像」といったものはお持ちだったのでしょうか?
石田さん:僕は子どもの頃の父親との思い出がほとんどなくて、どこかで「認められたい」「振り向いてほしい」という気持ちがあったんやと思います。父親は野球部出身で、料理人やったので、僕も野球を続けて、芸人になる前は板前になりました。
でも振り返ると、父親がうっすら引いたレールを走っていただけやったんですよね。だから、自分の子どもには、「僕を振り向かせたいがために、無理をする人生」は送ってほしくない。常に子どもの近くにいる父親でいたいな、と思っています。
足立区が大切にする「子ども支援」。始まりは親へのサポートから
近藤区長:石田さんもおっしゃる通り、子育ては本当に大変。だからこそ、足立区では日々奮闘しているママやパパを支えることを大切にしています。
そのうえで、区としては「子育て支援」よりも「子ども支援」という考え方を重視しています。最終的にめざしているのは、子どもが将来、経済的にも精神的にも自立できるかどうかです。そのために「親への支援」と「子どもへの支援」の両面から取り組んでいます。
石田さん:どちらも大事なことですよね。でも、「親への支援」といっても、なかなか相談に来られないママたちもいるんじゃないかなと。そういう方々へのサポートはどうしていますか?

近藤区長:足立区の子育て世帯への調査でも「相談できる相手がいない」という声が多いです。足立区では健診が少なくなり、行政と接する機会が減る生後5か月から1歳4か月のお子さんがいるご家庭を定期的に訪問する事業を2025年10月から始めました。伺う際には毎回、25冊の絵本の中から好きなものを1冊選べる電子チケットを差し上げています。絵本をきっかけに「最近どうですか?」と自然に話をすることで、相談しやすい雰囲気を作り、そこから必要な支援につなげていきます。この取り組みには、ママパパに丁寧に寄り添うことに加え、お子さんが幼い頃から本に親しんで欲しいという願いも込めています。
相談できる方はいいんです。でも、こちらから声をかけても「大丈夫です」「必要ありません」と言われてしまう方ほど、本当は心配しなきゃいけないと感じることがあります。
石田さん:子育ての中で「これは相談したほうがいいのかな」と迷う場面は、多いですもんね。うちの双子も、言葉が出るのがゆっくりだったので発達支援の相談に行ったんです。専門家の方にアドバイスをもらったおかげで、そこから格段に話すスピードが上がって、早めに相談してよかったな、と思いました。
近藤区長:発達の特性は、本当に一人ひとり違います。「発達に特性があるかどうか」をすぐに判断することよりも、まずはその子の今の状態を丁寧に見て、どう関わっていくのがよいかを一緒に考えることが重要です。
保護者の中には、「相談するほどではないかも」とためらってしまう方も少なくありません。でも、迷っている段階で相談していただきたいですし、「もう少し様子を見ましょう」という判断も、大切な支援のひとつだと考えています。
関わり方の距離感も、ご家庭によってさまざまです。手厚いサポートを求める方もいれば、つかず離れずの関わりのほうが安心できる方もいる。足立区では、そのご家庭にとっての「ちょうどいい距離」を一緒に探しながら、必要なときに必要な支援につなげていきたいと思っています。
育児で実感!子育ては思った以上にお金がかかる!

近藤区長:子育てでは、経済的な負担も無視できない大きな課題ですよね。育児をする中で、「お金の面が大変だ」と感じる場面は、決して少なくないと思うのですが。
石田さん:そうなんですよ。とくに保育料の高さには夫婦で驚きましたね。双子だったこともあって、「こんなにかかるんや!」って思いました。保育料以外にもお金はかかるし、子どもたちにはいろいろな経験をしてもらいたいと思うんですけど……そこにもお金がかかると思うと大変だなと感じます。
近藤区長:子育てには、どうしてもお金がかかりますよね。そこで足立区では、給食費の無償化はもちろんのこと、教材費や自然教室・修学旅行費の補助も行っており、さらに小・中学校に入学する新1年生全員に10万円を支給する制度も新設しました(※)。
またこういったお金の支援だけでなく、区立の小学5年生全員を対象とした劇団四季の観劇など、子どもたちの経験を広げる取り組みにも力を入れています。
子どもへのサポートは体験機会の創出がカギ

石田さん:足立区には、日常の遊び場や、親子で気兼ねなく過ごせるスポットが多いと聞きました。どんなところがあるんですか?
近藤区長:足立区は東京23区でありながら、緑が豊かでとにかく公園が多いんです(区立都市公園面積は23区で2番目)。タコさん滑り台の発祥の地と言われ、特徴的な遊具も多く、子育て世代から高い支持があります。

また、日本最大級の大型ネット遊具がある「ギャラクシティ」は、区外から訪れる方も多いですし、昆虫、魚、両生類、爬虫類、哺乳類などが間近で見られる「生物園」も人気です。

石田さん:めちゃくちゃいいですね。以前は、休みの日は家族みんなで過ごしていたんですけど、今は僕の休みの日は、妻にはなるべく自由な時間を過ごしてもらうようにしています。僕が子どもたちを連れて出かける担当で。
だから、子どもが思いきり体を動かして遊べる場所があるのは、本当に助かりますね。
近藤区長:公園や運動施設など、子どもが日常的に体を動かせる“生活の土台”が地域にあることは安心のひとつですよね。こうした環境づくりと同様に、子どもの心身を“内側から整える”取り組みも欠かせません。その代表例が給食です。
「日本一おいしい給食」を目指し、かなり力を入れています。その結果、食べ残しが取り組み始めた翌年の2008年と比べて3分の1にまで減っています。「捨てればごみ、食べれば栄養」ですからね。
今は濃い味に慣れた子どもも多いですが、体にいいのは天然の味です。その味を覚えてもらうために、各学校で毎朝出汁をとるところから始めるなど、さまざまな工夫をしています。それでご家庭でも参考にしていただけるように、給食の献立を家庭向けにアレンジしたレシピ本『東京・足立区のおいしい給食レシピ』も出しているんですよ。

給食を通じて、「本来の味をおいしいと感じる味覚」を育てたい。
足立区の給食で育った子どもたちが、大人になったときに、正しい食の選択ができるようになってくれたらと願っています。
ちなみに石田さんは、何か思い出に残っている給食はありますか?
石田さん:「八宝菜」ですね。こんなにいろんな食材が食べられるんだって思いました。たまに休もうとすると、おかんが「学校行って給食だけ食べてこい」って。僕が行かなかったらおかんが給食食べに行くって(笑)。
それにしてもこのレシピ本のジャージャー麵やえびクリームライス、おいしそうですね! 子どもたちからしても毎日の給食が楽しみになるっていいことだと思います。

悩みを抱える子どもは少なくない。不登校のゴールは、学校復帰?
近藤区長:ただどんなに環境を整えても、子育てには想定外の悩みが生まれることもありますよね。
石田さん:最近は心の問題もありますよね。例えば、子どもが学校に行きづらくなったり、不登校になったりすると、「親として何ができるのだろう」「このままで大丈夫なのだろうか」と、ママパパが戸惑い、悩んでしまうことも多いですよね。
近藤区長:不登校の子どもは、コロナ禍以降、約3割増えていると言われています。
「勉強についていけない」「朝起きられない」など、理由はさまざまで、100人いれば100通りあります。だからこそ大切なのは、まず保護者がその現実をどう受け止めるかだと感じています。
「とにかく学校に戻すこと」をゴールにしてしまうと、親も子も苦しくなってしまいます。実際に、フリースクールや通信制など、その子に合った場所に出会って生き生きと過ごすようになった姿を見ると、「この選択でよかった」と思うことが多いです。石田さんのお子さんたちは、「学校に行きたくない」と言うことはありますか?
石田さん:たまにありますよ。「今日は行きたくないな」って言う日。
そんなときは無理に背中を押さずに、「とりあえず一緒に行ってみようか」と声をかけて校門まで付き添います。そこで気持ちが切り替わることも、意外と多いですね。
近藤区長:足立区でも、そのような登校支援を行っています。スタッフが自宅まで迎えに行き、学校まで付き添うことも。教室に入るのが難しければ別室で過ごすなど、無理をさせず、その子のペースに合わせて段階的に支えています。
足立区もハード・ソフトの両面から対策の充実に取り組んではいるものの、悩みを抱える子どもは少なくないと感じています。でもこうした問題についてひとりで悩まず、まずは相談して欲しいと思っています。繰り返しになりますが、子育てはひとりで抱えなくていいんです。
最後に、子育てを日々頑張っているママパパにメッセージ
石田さん:僕は、妻に「○○に行きたい」と言われる前に、自分から「美容室行ってきたら?」「ネイル行ってきたら?」って声をかけるようにしています。
同じことでも、先に言われるのと、自分から言うのとでは、受け取る気持ちは全然違うと思うんですよね。これはママが我慢して言うことじゃなくて、パパ側の意識を変えることが大事やと思っています。
近藤区長:「こんな支援があったらいいな」「ここが少しツラい」と困ったときにSOSを出すことは、決して恥ずかしいことではありません。誰かに頼ることが、当たり前にできる。足立区はそんな区でありたいと、心から思います。
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提供:足立区


