<母親やめてもいいですか?>「母親だから逃げちゃいけない?」自分を縛っていた言葉【第8話まんが】
コウタロウが宝物でした。この子のためなら、何でもしてあげよう。そう思っていました。今すぐにでもこの家を飛び出したいのに、まるで「コウタロウ」という鎖に繋がれて身動きが取れない状況にあるような気がしていました。
この家を飛び出したい。そんな気持ちがあったからでしょうか、私はクローゼットを開けてみました。このカバンはまだ私が仕事に行っていたころ使っていたもの……。中にあった化粧直し用のファンデーションはカチカチ。それは私が仕事を辞めた、コウタロウが小学校4年生のときのままでした。「……あれは? なんだっけ?」
「お母さんも、コウタロウが大好きだったんだよ……」
学校に行かなくても死ぬわけじゃない。きっと別の道がある。ここがあなたの居場所でないだけ。別の場所を一緒に見つけよう。私はそう、コウタロウを励ましながら、一緒に頑張ってきたのに……。その結果が……。
「おめぇーの教え方が悪いんだろうが!」「役立たず!」「おせーよ!」「コイツがいると、何か辛気臭いんだよなー」コウタロウから私に向けられた暴言の数々……。私はいったいどこで間違ってしまったのでしょうか?
私はどんなときでもコウタロウを見捨てないできちんと向き合ってきた。母親である以上、私は「逃げちゃ」いけない。だって母親なんだから……。
「母親のくせに、子どもを捨てて逃げるの?」「母親なんだから。親としての責任から逃げちゃダメ」……。自分で自分を追い詰めるような考えばかりが浮かぶ中、ふと昔私がコウタロウに言った言葉を思い出しました。
「逃げるわけじゃないの。もっとあなたがあなたらしくいられる場所に『行く』だけ。自分らしくいられない場所なんて、あなたの方から『捨てて』やりなさい!」
……私……いいの? 家族を……コウタロウを……「捨てて」もいいの?
ふいに過去の自分が言った言葉を思い出した私。その言葉は今の自分を救ってくれたような気がしました。私はずっと「母親だから逃げちゃいけない」と思い続けてきたのです。でも「逃げるんじゃなくて、自分らしくいられる場所へ行く」だけ……。私はこの家、そしてコウタロウとの生活を捨てる決意をしたのです。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子