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旦那の「こだわり」に付き合い続けた私が気づいた、重大なこと



18歳のときに親元を離れた旦那、やはり一人暮らしのときも毎食ひとりでご飯を炊いて食べていました。付き合っていた当時は、マメな男だな……くらいにしか思っていなかったのですが、それが結婚してからとんでもなく面倒な男となってしまうのです……。

結婚してから、共働きの生活をしていた私たち。料理は主に私が担当することになっていたのですが、ある日ご飯を炊き忘れ冷凍したご飯をチンして出したときに、衝撃の一言を言われます。
「……ゴメン。俺、炊き立てのご飯しか食べられないんだよ……」
はじめて聞いたときは「はぁ?」と思いましたが、どうやら本当に「炊き立て」しか食べられないのにビックリ! 炊き立てじゃないご飯を食べると、吐き気を催してしまうのです。
牛乳が苦手な人、肉が苦手な人、辛い物が食べられない人と同じ感覚で、「炊き立てご飯しか食べられない」旦那。「だったら自分で炊け!」と言い返したいところですが、「まぁ……ご飯を炊くくらい……」と、新婚だった私はソレを受け入れてしまいます。

毎日お弁当を持っていく旦那のために、まず朝にご飯を炊きます。お昼はないにしろ、夜は夜で炊きます。余ったご飯は食べてもらえないので、極力余らせないようにギリギリの量で。子どもたちがおかわりをして足りなくなったり、急に旦那の帰宅が遅くなった場合には、旦那のためだけにもう一度炊きなおします。そしてまた、次の日の朝用にタイマーセット……。エンドレスな炊飯の毎日です。


旦那の「炊き立て」に対する嗅覚は相当です。炊き立てご飯の英才教育恐るべしですね……。
それから朝のタイマーを入れ忘れてしまった日は、旦那はおかずだけか、食パンとおかずを持っていきます。「焼きたてパン英才教育」よりはマシ? いやいや、炊き立てご飯しばりの生活も結構疲れてくるのです。結婚して10年、今さら根を上げるのも負けた気分になってしまう、私の性格もいけないんですけれど……。

そんな旦那のこだわりを「当たり前」として受け入れてきた私は、あるときご飯を食べている子どもたちを見て、ふと重大なことに気がつきます。

毎日炊き立てのご飯を「おいしいね~」と言って食べている子どもたち……。私、もしかして旦那と同じ「炊き立てご飯英才教育」を施している???

「!!!!!!」

これはヤバい……。これじゃ旦那が小さい頃となんにも変わっていないのでは……。このままだと、将来この子たちも「炊き立てご飯」以外受け付けなくなってしまう……。
同じ歴史を繰り返してなるものか!

その次の日から、旦那のために少し多めに炊いたご飯を冷凍しておき、子どもたちには3日に1度「あえて」炊き立てじゃないご飯を食べさせることにしています(笑)。

育ってきた環境はそれぞれだし、「こだわり」を持つこともとても素晴らしいことです。しかしこだわるならとことん「自分」でこだわり、他人に付き合わせない柔軟性を身に付ける大切さを、子どもたちには学んでもらいたいと思っています。

我が子たちよ、レンチンご飯も充分おいしいでしょ? そして私は今日も、旦那のために炊き立てご飯を準備するのでした。

脚本・渡辺多絵 作画・イチエ

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