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「溶連菌感染症」と風邪を見分けるポイントと家族への感染対策とは

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「さっきまで元気だったのに、いきなり熱!?」。子どもが急な熱を出すことは、それほど珍しいことではありません。しかし気をつけなければいけないのが、単なる風邪ではなく感染症の1つである「溶連菌感染症」の可能性もあります。溶連菌感染症の初期症状や、兄弟に移らないようにするための対処法、合併症についてなど、成田先生に詳しく聞きました。
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初期症状は「のどの腫れと高熱」

風邪と溶連菌。症状は似ているから、ママからしたら見分けるのは難しいですよね。溶連菌の初期症状で多いのは、39度前後の発熱とのどの痛みです。とくにのどは真っ赤に腫れあがり、唾や飲み物を飲み込むのも困難な場合があります。たとえば、いつもは食欲旺盛なのに、食事を残す、または全然手を付けないというときは、喉が痛くて食べられない可能性もあります。また高熱が出るのも特徴です。熱のため、倦怠感や吐き気・関節痛などの全身症状が現れることもあります。

溶連菌と風邪は、時間が経たないと見分けられない

発症初期のころは、風邪と見分けるのは難しいです。発症してから2日ほどたつと、全身に赤くて小さな発疹が現れ、舌はポツポツと赤い発疹ができます。通常の風邪では発疹が現れることはありません。全身や舌に発疹が現れたら溶連菌の可能性が高いということです。

兄弟姉妹など、家族間の感染リスクを下げるためには

溶連菌は接触感染と飛沫感染を起こします。兄弟姉妹がいる場合には、なるべく接触を避け、家の中でもマスクを着用するようにしましょう。また、ドアノブや電気スイッチなどのヒトの手が触れやすいところはアルコール消毒をするとよいです。もちろん、コップなどの食器の使いまわしは厳禁です。

とはいえ、治るまで毎日感染対策をし続けなければいけないというものではありません。溶連菌は適切な抗菌薬を服用すれば24時間で感染力がなくなるといわれています。診断を受けて治療を開始してから24時間はしっかりと感染対策を行うことで、家族間の感染リスクを下げることができるのです。

中耳炎・腎炎・心臓弁膜症・アレルギー性紫斑病急性腎炎など、「合併症のリスク」

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溶連菌にかかったときに気をつけたいのが、合併症のリスクです。たとえば、中耳炎や気管支炎などの合併症を起こしたり、腎炎や心臓弁膜症・アレルギー性紫斑病を起こすケースもあります。溶連菌にかかって治療が終わった後に「1カ月後に尿検査に来てください」といわれるのは、腎炎や心臓弁膜症、アレルギー性紫斑病に感染していないかどうかを調べるためです。

なかでも急性腎炎は比較的かかる頻度が高く、放置されると慢性腎不全に移行することがあります。そのため通常感染後一カ月を目途に尿検査を行います。基本的には入院して適切な治療を受ければ回復しますが、まれに慢性腎不全に移行することがあります。

心臓弁膜症は、溶連菌が心臓に感染を起こしたことが原因で生じます。医療環境が整った日本では、発症は大幅に減少していますが、発症すると非常に重篤な状態となるため注意が必要です。

アレルギー性紫斑病では、下肢を中心に点状の皮下出血が生じ、腹痛や関節痛を併発します。まれにこの紫斑病が原因となって腎炎を起こすケースがあります。

「処方された薬を飲み切る+尿検査」で合併症を防ぐ

溶連菌にかかったあと、「症状が落ち着いたし、1カ月もたったあとにわざわざ尿検査に行かなくてもいいや」と思うママもいるかもしれません。しかし上記のような合併症の感染リスクがあるため、溶連菌に感染したら必ず尿検査は受けてください。

風邪と間違えがちな溶連菌感染症。のどの腫れや高熱が出たときは、病院に行って検査することが大切です。また症状が治まっても処方された薬はすべて飲みきること、1カ月後の尿検査を受けることを忘れないようにしてくださいね。

取材、文・間野由利子 編集・しのむ イラスト・Ponko

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