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【体験レポート】風邪かと思ったら「溶連菌感染症」!感染したら気をつけるべきポイントは?


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第6回目は、たんなる風邪かと思いきや実は感染症の一種である溶連菌だったというお話。放っておくとまれに急性腎炎 を起こすことも。子どもが溶連菌にかかった場合、自宅での対処法や、気をつけることについて小児専門医の橋本直也先生にお話をお伺いしました。

対象者:3歳の女の子
症状:発熱、鼻水。3日前に病院で溶連菌と診断され登園停止に。
アクセス方法:メッセンジャー

風邪の症状と間違えやすい「溶連菌感染症」とは?

質問者:少し鼻水が出るのでかかりつけの小児科に行ったら風邪だといわれて、薬をもらってきたんですけど、別の病院に行ったら溶連菌だと言われて……。

橋本先生:どんな症状でしたか?

質問者:鼻水が少し出ているくらいです。

橋本先生:咳や、お熱などはありましたか?

質問者:最初の小児科に行った時はなかったんですが、夜中に38.8度の熱が出たんです。

次の日、仕事があったため、別の病院の病児保育に連れて行ったんですが、そこで「溶連菌ですね。お薬を10日間飲んで、1か月後におしっこの検査に来てください」といわれました。

橋本先生:なるほど。

質問者:「えー! 最初の病院では風邪だといわれたのに~」と思ってビックリです! しかも「 保育園は3日間登園停止で、登園許可証が必要」とまでいわれたんですけど、知らなかったらそのまま登園させてましたよ!

橋本先生:そうですね。ただ、溶連菌も一般的な風邪もすべてバイキン感染ですから、その意味ではどれも感染症の仲間です。子どもたちのよくかかる喉のバイキン感染の中で、溶連菌は唯一特効薬である抗生剤が効果的です。なので、逆に溶連菌という原因がはっきりしたのなら、しっかり治療できるので、心配 しすぎることはないですよ。

抗生剤をしっかりと飲み始めてから24時間以上が経過すると感染力が落ちるので、その時点で熱がなくて元気であれば集団生活に戻れますよ。

こんな症状の時は「溶連菌感染症」かも!?

質問者:ところで溶連菌感染症ってどんな病気ですか? 普通の風邪とどう見分けたらいいのでしょうか? 病院がとても混んでいて、先生に聞きそびれちゃって……。

橋本先生:普通の風邪とはっきりとした区別がつかないこともあります。特徴としてまず3歳以上の子どもに多いと言われています。症状としては、発熱、喉の痛み、扁桃腺が赤く腫れて白い膿のようなものがつく、首のリンパ節が腫れる、赤い発疹がでる、などがあります。また、咳が目立たないことも特徴です。

症状、年齢、接触歴から溶連菌を疑うと、病院で喉を拭う検査をし、その場で結果がプラスと出たら溶連菌と診断されます。

その場合、抗生剤がとてもよく効くので、内服薬を出します。ただ、自然治癒もありえるんですよ。

質問者:そうなんですか!?

橋本先生:検査せず、見つからないまま治っている症例もあります。熱以外に、舌の表面に赤いぶつぶつが出たり、発疹とかは出てなかったですか?

質問者:舌は見てないのでわからないんですけど、発疹とかはとくになかったかな。痒がることもなかったし。元気で、ただ熱があって、いつもよりちょっとだけご飯を食べないな~という感じでした。

あの、妹がいるんですけどうつる可能性ってありますか?

橋本先生:はい、せき、鼻、くしゃみからうつります。さきほどもお伝えしましたが、抗生剤をきちんと飲めば、24時間ほどで人にうつす可能性はぐっと減ります。

食事に関しては特に制限はありませんが、喉が痛いのが特徴なので、のどごしのよいものを選んであげたほうが食べやすいでしょうね。

後日、尿検査をすることも

質問者:「1カ月後に尿検査に来てください」といわれたんですけど、なにを検査するんですか?

橋本先生:溶連菌にかかった後にまれに腎炎といって、血尿や尿の中にタンパク質がもれでしまうことがあります。その症状は溶連菌の感染後、10日ほどででてくるので、その時期にチェックをする場合があります。おしっこの検査は腎炎の兆候がないかの検査でしょうね。ただ、症状は血尿やむくみ、食欲低下など結構見た目に明らかなことが多いので、元気な状態であれば必ずしも尿検査を確認しないこともあります。

質問者:これって普通の風邪だと思って病院にいかなかったらどうなるんですか?

橋本先生:自然に治ることも期待できます。しかし、やはり抗生剤がてきめんに聞きますし、放っておいてたまに喉に膿がたまったりしてしまうこともあるので、疑わしかったら検査をしてしっかり治療をすることをおすすめします。

質問者:今は熱も下がり、食欲も出てきていますが、今後自宅で気をつけるべきことはありますか?

橋本先生:お元気になってきてよかったです。一番大事なことは、処方された抗生剤をしっかりと最後まで飲みきることです。少し内服期間が長いですし、後半はすっかり元気になって忘れがちですが、途中でやめてしまうと、治しきれずに再燃してしまうことがありますので、辛抱強く飲ませてあげてください。

質問者:ありがとうございました。


橋本直也 先生

都内小児科クリニック勤務。小児科専門医。日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修、国立成育医療研究センターにて小児科医研修。東京大学大学院にて公衆衛生修士号取得。
小児科医にLINE、電話、テレビ電話から相談できる「小児科オンライン」を運営。「救急外来に行くべき?」「子どもの発達が気になる」そんな時気軽に利用できるサービスを目指す。

 

取材、文・長瀬由利子 イラスト・森乃クコ

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