子どもの関係に口出しは必要?我が家の「リカちゃん争奪戦」から見えてきたもの
女の子の人形遊びの代名詞ともいえる存在である「リカちゃん」。自身も幼い頃に遊んだな~という想い出のあるママも多いのでは?
我が家にも、長女が4歳のときに「はじめまして」。筆者が子どもの頃に遊んだリカちゃんとは格段に洗練されたその出で立ちに、「やっぱ女の子は憧れるよね~」なんて微笑ましい気分になります。
しかし、姉妹の家に1つのリカちゃん人形、これがいけなかった……。当時2歳だった次女には、まだリカちゃんなんて……と思っていたら、2歳といえども女子! カワイイお洋服を着ているリカちゃんに憧れないはずがありませんでした。お気に入りのクマのぬいぐるみなんて子どもっぽいと思ったのでしょう(まだオムツもしているくせに……)。欲望の矛先は、リカちゃんで楽しそうに遊ぶ長女へ向かいます。
長女がリカちゃんで遊び始めると、勃発するリカちゃん争奪戦! 仲の良かった姉妹の関係が崩れはじめます。「プリキュアのおもちゃみたいに‟ふたりでひとつを仲良く”ができないの?」なんて言いながら、リカちゃんをふたりで順番に使うごっこ遊びのレベルの高さに「まぁ大人でも難しいか……」なんてひとりツッコミ。
誕生日もクリスマスもまだ先です。ここで次女にリカちゃんを買ってあげる理由がないし……なんて悶々と考えているところに、救世主が舞い降りたのです!
家計の救世主!?100均の「エリーちゃん」
100円均一「ダイソー」で販売されているお人形「エリーちゃん」をご存じですか? なんとなくリカちゃんが模されたようなお人形で、売っているお洋服もリカちゃんとだいたい同じサイズにできているのです(靴はサイズが違います)。
ダイソーで見つけた瞬間、天使のように微笑みかけてくれるエリーちゃんと目が合い、迷うことなく「ようこそ! 我が家へ」。
「リカちゃんにもそろそろお友達が欲しいよね。エリーちゃんって言うの。これでお人形はふたつになったから、ふたりで仲良く遊んでね!」と、長女にエリーちゃんを渡すと、長女は次女に「じゃぁ次女はエリーちゃんを使ってね」と、再びふたりは仲良く遊ぶようになりました。
エリーちゃんは手足が取れやすく、髪の毛もすぐにボサボサに。身体に柔軟性がないので、手足が曲がらない……と、リカちゃんと比べてしまうと色々不具合はありますが、だってエリーちゃんは100円! そもそも値段の大差に、比べること自体がおこがましいのです。それでもリカちゃんと対等に遊べる存在であるエリーちゃんに、我が家は感謝しかありませんでした。ありがとうエリーちゃん!
しかし半年ほど経った次女の誕生日、またもや事件は起こります……。
祖母の一言から「キラチェン リカちゃん」が仲間入り
姉妹としては「リカちゃん」と「エリーちゃん」というふたつのお人形でなんの問題もなく仲良く遊ぶ日々。しかし、その姿を見た祖母よりひとこと「次女はいつまでも100円の人形じゃ可哀相よ……」。そう、この「金と物の価値が比例している」という常識を得た大人が「エリーちゃんはたかが100円の人形」と見下してしまうところから、また姉妹の関係は崩れていくのです……。
そして次女の誕生日プレゼントとして、我が家に「キラチェン リカちゃん」が届きます。
「キラチェンリカちゃん」とは、専用のライトで髪色がピンクからブルーに変わるという、なんともスペシャルなリカちゃん!
カワイイ……確かにカワイイけれど、嫌な予感が……。そう、このグレードの高いりリカちゃんに長女が黙っているはずはありませんでした。我がもの顔でキラチェンリカちゃんとリカちゃんを使う長女。そして次女は、相変わらず100均のエリーちゃんで遊ぶ日々。
「ちょっと待って! キラチェンリカちゃんは次女のだよね?」と聞くと
「借りてるの。ねーーーー?」と次女に向かって微笑みかける長女。そして次女はそれにニッコリ「ねーーー」と答えるのみ。
いくら注意を促しても、一向にキラチェンリカちゃんを手放す様子がない長女と、相変わらず100円のエリーちゃんで楽しそうに遊ぶ次女。本当にこれでいいの? 「新しいものは姉」「妹はいつも残り物」という、いつになっても変わることのないその構図にだんだんモヤモヤしてくる筆者。そもそも妹に、姉よりレベルの高いものをあげちゃダメなのに……なんて、せっかく祖母から頂いたプレゼントにまでケチをつける気持ちに駆られてしまいます(涙)。
もはやリカちゃんで遊ぶ姉妹の姿は「高いリカちゃんを独占して遊ぶ姉」と「いつまでも100均の人形でしか遊ばせて貰えない不憫な妹」に見えてくる始末……。
そして長女がキラチェンリカちゃんで遊びはじめると、「まずは次女に使わせてあげなさい!」といちいち口を出す筆者。そんな筆者をだんだんうとましく思った長女は、次第に次女とリカちゃんで遊ばなくなってしまいました。
本当に可哀相だった?次女の本音とは……
そんなある日、長女が幼稚園に行っているときにの次女の様子を思い返してみたとき、そういえば最近キラチェンリカちゃんでも、エリーちゃんでも遊んでいないことに気づきます。何でだろう……理由を尋ねてみると、次女がひとこと
「おねえちゃんがいないと楽しくないから……」
そっか……次女は、お姉ちゃんと遊ぶお人形遊びが好きなんだね……。
次女は、手持ちの人形がキラチェンリカちゃんだろうが、エリーちゃんだろうが、なんでも良かったのです。それを、新しいもの好きの長女は「それいいじゃん!貸してよ!」となり、次女は「いいよ!じゃぁ一緒に遊ぼう!」と、きっとこんな軽い気持ちで遊んでいたのでしょう(こんな会話のやりとりはありませんが)。
そこには、エリーちゃんが100円で可哀相だとか、いつも新しいものばかり使っていてズルいだとかは皆無であったはずなのに、いろいろな損得勘定をもった大人が介入してしまったことで、ふたりの関係が崩れることに。
もちろん、なんでも新しいものは一番に手を付けようとする長女には頭を悩ますところですし、願わくば次女のおもちゃは、なるべく次女に使わせてあげて貰いたいのが本音です。しかし、長女に取られてしまったおもちゃを取り返すのであれば、それは次女が自分でしなくてはいけないこと。それをしないのは、次女がその状況を納得していると考えなくてはいけなかったのです。
長女は「新しいものが好き」だけど、次女は「お姉ちゃんと遊べればなんでもいい」。
でも、別の面を見てみると次女は「抱っこが大好き」だけど、長女はきっと「我慢している」でしょう。長女は「なんでも新しいものを買って貰える」けど、次女は「だいたいお古が多い」だし、長女は「親の期待を背負って妹の前を歩く」日々だけど、次女は「お姉ちゃんの後ろを安心して歩く」日々。
次女が生まれてから3年間で、姉妹はそれなりにふたりのバランスを保ってきていたのです。
幼くても姉妹には姉妹にしか分からない距離感、空気感があり、そこに親が正論をかざして希望を口だすのは間違っていたんだな……と反省しました。
今では、どちらかが泣いてケンカになりSOSを発信するまでは、とりあえず放っておくことに。どんなことでも(限度によりますが)互いが納得して行動しているのだと考え、見守るのが一番……ということですかね。またふたりの年齢があがってくれば、悩みも変わってくるかとは思いますが。
子育てって難しいですね……(涙)。
それにしても、次女とエリーちゃん……100均の人形で遊ぶ不憫な子なんて思ってゴメンなさい。次女にとってエリーちゃんは100円だろうが一万円だろうが、大切なお人形のはずなのに……と、猛省。ずいぶん心の薄汚れた大人になってしまったのもだと、改めて子どもに気づかされました。
みんな、我が家では大切なお人形たち! いつも姉妹と遊んでくれてありがとう。
これからもヨロシクね!