「10歳キラキラ白書」心揺れる小学生女子に必要なのはママの共感
「ワコール」が、身体を始め環境や心が大きな変化を迎える”10歳”の女の子の実態を調査。それらをまとめた「10歳キラキラ白書」を発表しました。発表会にゲストとして登場したのは、子どもの発達に関する数多くの著作で知られる渡辺弥生教授(法政大学文学部心理学科)。女子小学生を持つママには「なるほど!」とおおいに参考になる、子どもとのコミュニケーションの取り方についてお話してくださいました。
悩みに胸を痛める娘を叱る? 受け止める?
10歳前後の子どもでまず特徴的なのが、心中に相反するふたつの気持ちがあることを認識し始めることだそう。「明日は運動会で楽しみなんだけど、ちょっと不安とか。ふたつの気持ちを両方同時に抱えていることに気づくようになるのが、この年頃です」(渡辺教授・以下同)。
また幼少期とは違い、自分の気持ちを家族に話さなくなっていくのもこの時期。「悲しい気持ち」「うれしい気持ち」「怒り」の順に減少していく傾向にあるそうです。「大人としては”難しい年頃になったなぁ”と子どもを遠ざけたくなるかもしれませんが、気持ちを理解してあげることが大事」。
そこで渡辺教授が出したのが、以下のクイズ。もし10歳の娘にこう言われたとしたら、あなたはなんと返答しますか?
▼
「学校にスマホを持って行っちゃダメなんだけど、友達から”お願い、ちょっと見せて”と言われて…貸しちゃった」
▼
おそらくほとんどのママが「規則を破ったら、ダメじゃないの」と、ついお小言を言ってしまうのでは? しかし渡辺教授の提案は、こうです。「規則も破りたくないし、友達には親切にしてあげたいし。それは困っちゃったよね」と一度気持ちを受け止めてあげたうえで「でも、学校の規則を破るのはよくないよね」。
この状況、仮に小学校低学年だったとしたら「貸してもいいよ」「イヤだ」で終わるので、悩むまでには至らないそうです。悩みになるのは、10歳だから。世の中には大切なことがいくつもあることが理解できるため、その中でどう優先順位をつけていくかでジレンマを抱えるのだそう。この場合の大切なこととは「規則は守らなきゃいけない」こと。それと同時に「友情」という抽象的なものの大切さも認識できるので、「友達になんとかしてやりたい」という思いもあります。さらに「時間的展望」という未来を見通す力・過去を振り返る力がついてくるため、「ここで貸さなかったら、しばらく口を利いてもらえなくなるかも」という予測もできる。
いろいろな思いが頭を駆け巡っている中で、親に「ダメじゃない!」とアタマから言われてしまったら…「もう相談するのはやめようかな」と、なりがちです。そうならないために大切なのが、共感です。親の価値観で先にジャッジするのではなく、一度気持ちに寄り添ってあげること。そうすれば「あ、この悩みはヘンじゃなかったんだ。ママに言ってよかった。わかってもらえた」と、子どもに安心感を与えてあげることができるのだそうです。
「キラキラ白書」は、娘とコミュニケーションを取るヒントにも
「10歳キラキラ白書」アンケート調査からは、揺れ動くそんな10歳前後の女の子のリアルな今が浮かび上がってきます。
たとえば「ブラジャーやバストのこと、誰に相談したことがある?」という問いには「お母さん」と回答した子が半数以上。その一方で「誰にも相談したことがない」という子も3割近くいました。渡辺教授は「10歳前後になると、自分の気持ちをあけっぴろげには表さなくなります。相談を受け止めてくれるのか過剰に心配されるかわからず、自分が傷つかないように相談を敬遠することも」と、分析しています。
では誰に相談をするのか?といえば、そう、友達です! アンケートでも「悩みを相談できる友だちがいる」子は80%、「いない」と答えた子は20%でした。学校へ携帯などの持ち込みが禁止されている場合も多いのでしょうが、交換日記(交換ノート)や手紙でやり取りしている子が圧倒的。自分の子供時代を思い出して懐かしく感じるママも多いのでは?
「10歳キラキラ白書」には、他にも「カラダ」「ココロ」「トモダチ」「カゾク」とテーマごとに10歳の女の子の実態を紹介しています。「今どきの10歳ってこんなことを考えているのか」と理解が進めば、ママだってより娘の気持ちに寄り添いやすくなるはず。興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
ちなみにブラジャーの所有率は、10歳では約43%。ひとつ年齢が上がった11歳になるだけで約56%に増加します。「そろそろ買いに行きたいけれど、恥ずかしがりそうだし…」と悩んでいるママは、このアンケートをきっかけのひとつにしてみるのも悪くないのでは?
【10歳キラキラ白書2016】
http://www.wacoal.jp/girlsbody/oyanavi/10yearold_whitepaper2016/
文・編集部