南明奈さん、東京で幸せを叶える秘訣は「人とのつながり」

朝の支度、園の準備、仕事、夕飯、お風呂、寝かしつけ。ちゃんと回しているのに、ふと「私、これで合ってるのかな」と不安になる日があります。
真面目な人ほど、頑張り方を増やしてしまいがち。でもラクになったのは、完璧にやり切ることよりも、頼れる先を増やす発想でした。今回は、南明奈さんの経験談を手がかりに、制度・サービス・身近な人など、“頼る選択肢”の増やし方をご紹介します。
妊活は子育ての前にあった「頼る」練習期間
いま振り返ると南明奈さんが「ひとりで抱え込まない」感覚を覚えたのは、子育てより少し前、妊活の時期だったと言います。
──2.6組に1組が不妊を心配した、というデータ(※)もあるように、妊娠・出産にまつわる不安は珍しくありません。現在3歳の男の子を育てる南さんは、その過程で不安を感じたことはありましたか?
南明奈さん(以下、南さん):子どもが欲しいと思ったら、すぐに授かるものだとどこかで思っていたので、思うようにいかない時期があることに戸惑いました。結婚後に受けたブライダルチェックでは問題がなかったのに、なかなか授からなくて。夫の年齢的なこともあり、少しでも早く動いたほうがいいのかなと考えて、不妊治療に特化したクリニックに通い、治療を始めることにしました。
──クリニックに通い始めてから、「これは大変だな」と感じたのはどんなことでしたか?
南さん:通院を始めてからは、想像以上に費用がかかることを実感しました。週1回、多いときは週2回通う時期もあり、そのたびに数万円単位の支出になる。しかも、いつまで続くのか見通しが立ちにくい。
「今回も結果が出なかった」「次回も同じだったらどうしよう」と、気持ちが揺れることもありました。先輩ママの話を支えにしながら進めていましたが、精神的な不安に加えて、経済的な不安も重なりやすいのが妊活だと思います。
私が妊活していたときは、保険適用の治療は助成対象外でした。でも東京都の助成が拡充されたと知って、費用面の不安が少しでも和らぐなら、「まだ続けたいけど」と迷う人の支えになるのではと感じました。
──そんな中で、支えになったことや「助かったな」と感じたことはありましたか?
南さん:先輩ママの存在と、経験談を聞けたことが大きかったです。妊活の話って周りにしづらいぶん、実際の体験を知っている人がいるだけで気持ちが少し軽くなる。情報が入ることで、治療についても必要以上に怖がらずに向き合えたと思います。
妊活を通して、夫とも「一緒に考える」時間が増えました。結果として、子どもが生まれる前から“ふたりで動く”感覚を持てたのは、後から振り返ると支えになっていました。


無痛分娩も、医療費も、ベビーシッターも──「頼れる先」がある安心
──出産に関する支援では、無痛分娩への助成拡大も話題になっていますよね。南さんは、どう感じましたか?
南さん:ニュースを見て、「支援が広がるのは大きいな」と思いました。私は最終的には帝王切開になったのですが、もともとは無痛分娩の予定だったので、夫と「あともうちょっと早かったら……私もこれ使いたかった」と話したこともあります。
出産って想像以上にお金がかかりますし、分娩方法で費用に差が出ることにも驚きました。だからこそ、「ママがしたいお産」を選べて、平等にサポートが受けられるってありがたいことですよね。
──子どもが生まれてからは、東京都の支援で「これは助かっている」と感じるものはありますか?
南さん:医療費がかからないことも驚きました。子どもが生まれてから、病院に行く回数が思った以上に多いです。皮膚科に行ったと思ったら、今度は風邪で小児科へ……気づけば、いつもどこかにお世話になっています。だから「18歳まで医療費がかからない」というのは、本当に大きい。支援が途切れずにあるだけで、「また受診が必要かも」と思ったときのためらいが減り、日々の不安も少し軽くなる気がします。育児って想像以上にお金がかかるもの。切れ目なく支えてもらえる心強さを、日常の中で何度も実感しました。

──出産の支援の話が出ましたが、子どもが生まれた後も、家庭の状況によって必要になるサポートは変わりますよね。南さんは産後2カ月で仕事復帰されたそうですが、そのときに利用して助かった支援はありましたか?
南さん:産後2カ月で仕事復帰したので、初めてベビーシッターに預けた日のことは、今も印象に残っています。預けたのは3時間だけで、目的は仕事をするためでした。けれど結果的に気持ちが切り替わって、「少しだけ子どもと離れる時間も、時々は必要なんだな」と感じたんです。
私は子育てに関して、つい真面目になりすぎて、「ああしなくちゃ」「こうしなくちゃ」と自分を追い詰めがちでした。だからこそ、少し手を借りる時間があると気持ちに余裕が生まれて、子どもと向き合う時間も前より穏やかになれると気づきました。ただ正直なところ費用の負担は小さくないので、東京都のように支援があると利用しやすくなると思います。

「ひとりで抱え込まない」ために。つながれる場所がある東京都
──お話の中で「夫と一緒に」という言葉が出てきましたが、普段はどんなふうに分担していますか?
南さん:私が仕事も子育ても幸せに向き合えているのは本当に“夫のおかげ”なんです。妊娠中も病院に付き添ってくれて、付き添えない日も必ず「今日どうだった?」と細かく聞いてくれて。一緒に向き合ってくれる、という安心感がありました。
産後、初めて仕事をした日の私が、目に見えて嬉しそうだったみたいで。それを見て「仕事も大事なんだ」と気づいてくれて。そこから、私が仕事の日は夫が子どもを見る、という交代制にして、ふたりで無理なく続けられるようにスケジュールを調整してくれています。
──東京都では男性の育業取得率を高める取り組みも進んでいますが、濱口さんと「夫婦で協力できている」と実感できるのは、どんなときですか?
南さん:夫は仕事柄、育業のような長期のお休みは取らなかったのですが、子どもが生まれてからも、夜中の授乳で一緒に3時間おきに起きてくれていました。授乳が終わると、夫がオムツを変えてくれて、またふたりで寝る、という感じで。座ったまま寝てしまうこともありましたけど(笑)。仕事で疲れているはずなのに、「一緒にやる」姿勢が伝わってきて本当に嬉しかったです。

──東京都では家事・育児関連時間の男女差を2時間30分以下にすることが目標とされています。南さんのご家庭ではどのようなバランスですか?
南さん:家事も育児も、きっちり半分ずつというより、できるほうができるときに、という感じで回しています。料理は基本的に私ですが、食器洗いは夫が担当で、コンロの掃除までしてくれることもあります。
送迎も行けるときはふたりで行きますし、私が手一杯になっているときは「行ってくるよ」と動いてくれる。夫も子どもとの時間を大切にしているので、わが家は「ママじゃなきゃダメ」になりにくいんです。だから私も任せやすくて、復職後もふたりで調整しながら続けられていると思います。
──夫婦の関係を保つために、日々心掛けていることはありますか?
南さん:毎日の中で意識しているのは、子どもが寝た後にほんの少しだけ、夫婦で同じ時間を持つことです。たとえば甘いものを食べながら、その日に撮った子どもの写真を見せ合う。
子どもがいると毎日バタバタで、気づくと一日が終わってしまいますよね。でも、ほんの数分でも「今日の出来事」を一緒に振り返る時間があると、気持ちが整う感じがします。大きなイベントじゃなくていいから、同じものを見て笑える時間を、これからも大事にしていきたいです。


ひとりじゃないし、繋がっている。望めば意外と叶う──それが東京都で幸せに暮らせる理由
──今の毎日を回すうえで、「これがあるから続けられる」と感じている支えはありますか?
南さん:私自身、夫をはじめ、友人や周りの人にいつも助けられて、毎日を回しています。だからこそ、まずはひとりで抱え込まずに、口に出してみてほしいなと思うんです。
私はわりと、ひとりで悩んで、ひとりで抱え込んでしまう癖があって。そのままにすると疲れてしまうこともあるので、「困ってる」「こうしたい」を言葉にするだけでも、少し楽になると感じています。
──ひとりで抱え込まないために、南さんはどんな“つながり”を大事にしてきましたか?
南さん:「ひとりじゃない」って感じられることだと思います。もともとSNSで子育てについて投稿するようになったのも、同じ“困りごと”を抱えている人や、似た状況で頑張っている人と繋がっていたい、という気持ちからなんです。夜泣きで寝られないときに、「アッキーナも頑張ってるんだ」「ひとりじゃないんだ」って感じてもらえたらいいなって。
──こうした支えやつながりに加えて、街の環境も子育てのしやすさに関わりますよね。実際に都民調査でも「2050年代の東京は今より良くなる」と期待する声が多いそうです。
南さん:24年後、子どもは27歳か……まだ想像できないですね(笑)。もう十分に幸せなのですが、強いて言うなら、大きな公園がもっと増えたらありがたいです。子どもができて、こんなにも公園が重要な存在になるとは思っていなかったので。ママ友と住環境の話をしていても、「大きな公園がある」とか「公園が近い」とか、自然と公園が話題の中心になるんです。子育て世代にとっては、公園が生活の起点。これからも、もっと豊かな自然が増えていったら嬉しいなと思います。
──実は都立の公園の緑は、2019年から東京ドーム約40個分増えているそうですよ。
南さん:それを聞くと、すごいなと思います。公園や緑が増えることって、日々の子育てがしやすくなるだけじゃなくて、災害のときに人が集まって身を守れる“広い場所”がある、という安心にもつながると思うんです。子どもがいると、どうしても「もしものとき」を考えるようになるので。そういう意味でも、街の環境が少しずつ整っていると知ると、安心材料になりますね。

──最後に、これからパートナーを持つ・子育てをする方へ。南さんから伝えたいことはありますか?
南さん:まずは、困っていることや「こうしたい」という気持ちを、誰かに話してみてほしいなと思います。結婚したい、子どもが欲しい、子育てや働き方に悩んでいる──どんなことでもいいんです。相談を聞いてくれる人もいるし、具体的な支援につないでくれる場所もある。直接窓口に行かなくても、SNSやチャットで気軽に相談できる時代ですし、まずは話すこと、聞いてもらうことが大事だと思います。
ひとりじゃないし、ちゃんと繋がっている。 そして、望んだことは、意外と叶う。その実感があるから、私は東京都で子育てできて幸せなんだと思います。

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撮影・伊達直人 スタイリング・八杉直美 ヘア、メイク・坂口勝俊

