【第4話】3.11の東京都心で帰宅困難を体験「連絡がつかない旦那の安否は?」 #あれから私は
大地震で都内の交通がマヒしたため、私は10km以上の道のりを歩いてようやく帰宅しました。一方、旦那は職場で地震に遭っていました。
「やばい! なんだこの揺れ!」
旦那はヘルメットをひっつかみ、工場の階段下に避難。工場の部品や材料が倒れる音や、きしむ音が響きます。
「カヨはどうしてるんだ? 今日はクリニックって言ってたな……大丈夫なのか? ……もしこのまま死ぬなら……もう少し一緒にいたかった」
そう思うくらい、激しい揺れに生命の危機を感じたそうです。
揺れがおさまってから、私に電話をしてみたものの繋がらず。
「なんとか生き延びなさい……だなあ。うん、きっと大丈夫だ」
メールで「無事です」と送って仕事を再開した旦那なのでした。
さて家に着いた私は。靴を履いたまま上がり玄関先の障害物を取り除き、なんとかキッチンまでたどり着いていました。
食器が飛び出さずに済み、奇跡的に割れ物はありませんでした。しかし居間のほうに行くと、部屋の中心に本や収納箱が落ちていました。いつもは部屋の隅に置いてあるのに、半畳分は飛んできたことになります。
「もし私が家にいたら……」そう思うとぞっとしました。少なくともケガをしていたかもしれません。
ちなみに自宅周辺は震度5弱でした。地盤や家の構造にもよりますが同じ都内でも被害の状況はかなり違うようでした。
夜になってなんとか座れるスペースを作って一休み。その頃には携帯の電波も回復したようで、メール問い合わせをすると7件ほど受信しました。親戚や実家、そして旦那からのメールを見て、安心して腰が抜けてしまいました。
「よかった……無事だったんだ」
テレビ周りを片付けて、ようやくテレビをつけるとすさまじい轟音と真っ黒い画面が目に飛び込んできました。
「なにこれ……?」
一体何が起きていたのか、私はこのとき知ることになったのでした。