【後編】中学生時代に受けた嫌がらせ……学校の対応とその後
ある上級生女子からの度重なる嫌がらせに、ついにぶちキレた母。母はあるところに電話をしはじめました。それは私が通っている中学校でした。
母「もしもし、猫田でございます。お聞きしたいのですが、学校では女子の肌着やブラジャーについて規則はありますか? 詳しく教えてほしいのです。……実はうちの娘が上級生から嫌がらせを受けていまして……」
後日、全校集会が行われました。
学年主任「みなさんは成長期です。そして個人差があります。でもそれを茶化したり、バカにしてはいけない。それが同性であっても異性であってもです。これは非常に悪質な嫌がらせです。今後見つけたら厳しく対処します!」
その後、先生たちは女子だけを集めて、ブラジャーの必要性をレクチャー。
いったん騒ぎは落ち着きました。
あのとき怒った母の顔は本当に怖かった。でも、今なら何であんなに怒ったのかわかります。あまりにも理不尽だったからです。「年頃の娘がブラジャーも付けられないまま出歩かなければいけない状態で、もし不審者に目をつけられたら……」と母は危惧していたのでしょう。もし、自分の娘がそんな理不尽な目にあったら……。私だって黙っていません。
上級生女子の「ブラジャーをつけるな」という発言は、今ならば単なる嫌がらせというだけではなくきっと「セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)」として問題になるでしょう。しかし当時はまだ「セクハラ」という言葉さえ、あまり浸透していない時代でした。私自身、まさか同じ女子である上級生からセクハラを受けるなんて思ってもみませんでした。
今思い出しても、上級生からの嫌がらせを、すぐに周りに相談して本当によかったと思います。私のビビりな性格が功をそうしたわけです。この話を以前母にしたら、母は「私は黙っていられない性格だから」と笑っていました。
あれから20年以上。近所のお店の肌着売り場に行くとジュニア用のブラジャーやインナーが、たくさん陳列されています。色やデザインも豊富でびっくり。娘もかわいいブラジャーを見て「こんなにいっぱい種類があるんだ。よかったね~」とニコニコ。
その姿を見て、私はホッと胸を撫で下ろすのでした。
【ブラジャー事件その後】前編へ続く。
文、イラスト・猫田カヨ