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教育格差はさらに広がる!?「これからの子どもたちに本当に必要な学力」とは

pixta_14954202_m朝日小学生新聞、朝日新聞メディアラボ主催で小学生の子どもを持つ親向けに開催された講座「これからの子どもたちに本当に必要な学力とは -『考える力』は親子の会話ではぐくめる-」。

そこで語られたのは「今までの20世紀型教育では生き残れない」「今後、さらに教育格差は広がっていく」という長年予備校講師として教育の第一線で活躍してきた出口汪先生の言葉。私たち親は、これから先どのような力を子どもに身につけさせたらいいのでしょうか。

現・中学2年生、小学4年生も対象。2020年、2024年に大学入試制度が大きく2度変わる

ご存知の方も多いかもしれませんが、2020年と2024年の2段階にわけて大学入試制度が大きく変わります。
今までは教科書に答えが書いてある「正解」を求める試験だったのに対して、これからは「思考力、判断力、表現力」が問われる問題が出題されます。
小学生のお子さんをお持ちの父兄の方からすると大学入試はまだ遠い存在かもしれませんが、実はそうではあません。2020年度といえば現在の中学2年生、2024年は今の小学4年生が新しい受験制度で入試をする年です。今しっかり必要な力を身につけておかないと、まずは大学入試でつまずきます。今は教育の大転換期で、大学入試制度の変更はその一端にすぎません。

これから先は20世紀型教育では生き残れない

なぜ教育を変えなければいけないかといえば、世の中が必要とする学力が変わってきているからです。今まで僕やみなさんが受けてきた学校教育は20世紀型教育といい、大量生産、大量消費する時代はうまくいっていました。そこで求められるのは暗記力と計算力。いかに短い時間で正確に処理できるのかということです。
しかし、今はもうその時代は過ぎ、これまでの学力はもはやまったく必要なくなってきています。なぜなら知識も計算もすべてのコンピュータに内臓されているからです。

子どもは自分で教育を選べない。子どもの力を伸ばすのは親の責任

これから先は、ご父兄の方は本当に大変なときになってきます。今までは有名な学校、進学塾に入れておけばよかったのです。そこではこれまでの時代で活躍できる人を作ってくれていたからです。

それがだめだとなってくると、親が子どもにしっかりとした力をつけていく以外ないんですよ。それによって子どもの人生は変わります。今、きちんと親が教育に対して高いアンテナを立てて情報収集をするか、正確な判断ができるかによって、子どもの学力は大きく変わってきます。

論理力を身につけることで基礎学力が上がる

では、いったいこれから先はどんな力が必要となるのかというと「論理力」です。論理力とは筋道を立てて考えることで、これはすべての学力の土台となる力です。今、文科省でも新たに「論理国語」という科目を出してくるなど、注目が高まっています。
論理的な力を身につけるためには、まずは親自身が論理について勉強し、それを子どもに伝えていく必要があります。なにも難しいことはありません。論理力を身につけるためには、まずは親子の日常会話を少し意識して変えてみることから始めましょう。
たとえば、子どもは親に対して単「いやだ」「ほしい」など、文章ではなく単語で話すことがありますよね。そのような場合、お互いになんとなく相手を理解しあうのではなく、まずはきちんと主語、述語のある文章を意識し、なにかしてほしいことがあれば理由を聞いて子どもに答えさせる。それによって子どもの論理力、コミュニケーション能力は確実に上がってきます。今後はそういう家庭で育った子どものほうが伸びてきます。

論理力を身につけると思春期以降も良好な親子関係が築ける

親子ともに論理力を身につけることで思春期以降の親子関係が変わってきます。通常、思春期になると自分の不快な感情を「うざい」「むかつく」と表現し、突然キレたりします。
しかし、幼いころから論理力を身につけた子は「なぜ自分はむかついているのか」「どうすれば解消できるのか」「相手に何を望んでいるのか」ということを誰にでもわかるように説明できるのです。そうすると突然キレるということはなくなります。ですからぜひ親が子どもに論理力を教えてあげてください。

親子で論理力を高めたいと思ったときに読むおすすめの一冊

『出口式 親子で学ぶ国語 はじめての論理国語 考える力を伸ばすトレーニング』

学校では教えてくれない論理力を、親子で学ぶときにおすすめの一冊。朝日新聞社提供のDVDもついてくるので、ぜひ親子で一緒に見てみては?

出口汪先生プロフィール
1955年東京生まれ。関西学院大学大学院文学研究科博士課程修了。広島女学院大学客員教授、論理文章能力検定理事、東進衛星予備校講師、出版社「水王舎」代表取締役。

 

文・長瀬由利子

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