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【後編】「性教育はまだ早い」と、もう言えない!子ども向け絵本『幼児・小学生そしておとなへ あっ!そうなんだ!性と生』

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前編では日本の性教育の現状と世界基準の差をお伝えしました。中編では、ママパパ向け漫画『おうち性教育はじめます 一番やさしい防犯・SEX・命の伝え方』を紹介しましたので、後編では子ども向けの絵本を紹介していきます。

子どもが4~5歳くらいになると、男女の体の違いや赤ちゃんがどのように生まれるのかといった疑問を投げかけてきたことはありませんか。筆者の息子も年長の頃にふと質問してきました。いつも通り赤ちゃんはママのお腹から生まれることを伝えましたが、息子の疑問は一歩先を進んでいたのです。「それは知っているけれど、そういうことじゃなくて、お腹からどうやって生まれるの?」と。
幼い子どもの性に関する疑問は純粋なもの。みなさんならどのように答えますか? もしくはもし問いかけられたときに答えの準備をしていますか。そこで子ども向け性教育絵本『幼児・小学生そしておとなへ あっ!そうなんだ!性と生』をご紹介します。これを機に子どもの性教育を一歩踏み込んでみてはいかがでしょうか。

性に純粋な疑問を持ち始める幼児期から小学校低学年におすすめ

絵本のタイトルに「幼児・小学生」とあるように、まさに幼児期から性について学ぶためにおすすめの絵本。児童福祉や性教育、子ども虐待・貧困などを重点課題として研究されている浅井春夫氏らにより編著され、幼い子どもからの体や性についての素朴な疑問に真剣に向き合い、正しい知識を与える内容に工夫されています。また、勝部真規子氏によるシンプルでかわいらしいイラストは、性についてのリアリティがありながらも優しさも感じるでしょう。

子ども向けに科学的かつ直接的な内容と大人向け解説でフォローアップ

絵本の前半は子ども向けのかわいらしいイラスト付きで、「からだ」「いのち」「わたしとみんな」の3部構成になっています。後半は読み聞かせる大人向けの解説になっていて、読み聞かせるときのポイントなどを絵本の内容に沿ってもう少し詳細に説明されています。まず大人向けの解説を先に読んでおくといいかもしれません。

男女の体の違いや第二次性徴の仕組みを説明

「からだ」編では決して曖昧な表現ではなく、科学的な言葉とともに直接的なイラストで体について説明されています。男女の性器について、女の子の月経の仕組み、月経が始まったらどうしたらよいのか、男の子の射精がおこる仕組みなど、性についての直接的な描写があるので、一緒に読む大人の方が戸惑ってしまうかもしれません。大人にとって「性=いやらしいもの」というイメージがあると、幼い子どもには曖昧な表現で終わらせたり、あえて隠したりしまうこともあるかもしれません。
しかし、成長が早い子どもでは10歳前後から男女で体の成長の違いが表れてきます。予備知識のないまま体の変化を目の当たりにする子どもたちはどのような気持ちになるでしょうか。事前に知識を得ておくと戸惑いや悩みを減らせるかもしれません。

赤ちゃんが生まれる過程や生と死について知る

「いのち」編では赤ちゃんがどうやって生まれるのか、卵子と精子がどうやって出会うのかという子どもにとっては素朴な疑問にもしっかり向き合った内容で伝えています。「からだ」編に引き続き、全てイラスト付きで科学的に説明されているので、読み聞かせる大人がこの絵本を見せて良いのか迷ってしまうかもしれません。
他に「いのち」編では、命はどこにあるのか、死とはどういうものなのかが描かれています。世の中には子ども向けアニメやゲームなどで簡単に生き返る描写があるので、命はひとつしかないことが曖昧になっている子どももいるかもしれませんよね。命は体にあり、自分の体を知り大切にすることがたったひとつの命を大切にすることに繋がると絵本では伝えています。

性被害や子ども同士の性的いじめについて学ぶ

性被害は決して大人から受けるものだけではありません。近年子ども同士のふざけ合いから深刻な性的いじめに発展しているというニュースを残念ながらたびたび耳にします。「わたしとみんな」編では、子ども同士の性的いじめもあるということが具体的な場面で描かれているのです。わが子が性的被害者にも加害者にもならないためにも、幼いうちから性的いじめにつながる行為は、決して子ども同士の「ふざけ」で済ませてはいけないと知る必要があるのではないでしょうか。

そのほか「わたしとみんな」編では、さまざまな形の「好き」があること、家族構成はその家族によって違うということ、「男の子だから」「女の子だから」といった固定概念についても描かれているので、理解度によってジェンダーについても触れることができるでしょう。

参考:高崎市|「男女共同参画社会の実現を目指して」
ジェンダーとは社会的性別を指す。また、「男らしさ」や「女らしさ」についてのイメージや意識、考え方のこと。

子どもからの性に関する疑問は真剣に答える

子どもからの性に関する質問に大人が怪訝な顔をすると、子どもながらに聞いてはいけない話だと感じてしまうかもしれません。筆者は以前より性教育の一環として子どもたちに水着で隠れる場所、いわゆるプライベートゾーンと呼ばれる場所は見せたり触らせたり触ったりしてはいけないということは伝えていましたが、さらに一歩踏み込んだ性教育の必要性を感じました。
そこで子どもたちに絵本を読み聞かせてみたところ、「性=いやらしいもの」という偏見がない状態の子どもたちにとって、戸惑いや恥ずかしさはまだなく、特に年中の娘は今後自分の身に起こる変化に興味があるようで真剣そのもの。小学1年生の息子はときどきふざけていましたが、娘より理解度は高く、疑問も解けたようでした。おそらく息子は今後読み聞かせることはなく、疑問に思えば自分一人でまた絵本を読むでしょう。

幼児期から一歩踏み込んだ性教育

ママやパパが親から性教育を受けてきていなければ、まだ幼い子どもにどのようにどこまで説明したら良いのか分からず、絵本の内容に戸惑うかもしれません。しかし、学校で性教育が始まる年齢の頃では、親と性の話をすることに恥ずかしいという思いや、気持ち悪いといった嫌悪感を抱く可能性もあります。家庭内で性についてそれまで話したことがなければ、なおさら親と話し合ったり相談したりするのが難しくなるでしょう。異性であればさらに難しいですよね。だからこそ、性に対する偏ったイメージを持つ前の小学校入学前後から低学年のうちに親子でこれから子どもに起こる成長過程について話し合ってみてはいかがでしょうか。幼少期から一歩踏み込んだ性教育におすすめの絵本です。

文・ゆかりんご 編集・木村亜希

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