<トイレに母乳>搾乳してまで働く意味って何?仕事と子育て、優先するべきは…?【第4話まんが:夫の気持ち】
前回からの続き。息子の生まれ月と保育園の入園時期の関係で、息子が生後5ヶ月のときに職場復帰をした妻。ある日、「今日は飲み会で遅くなるね!」とLINEをしたところ……。
確かに小さいうちから預けることに抵抗があるのも分かる。でも子どもなんだからすぐに順応するだろうし、何より産後すぐの妻は、育児にとても疲弊しているように見えた。だったら仕事しながらひとりの時間をもちつつ、子どもと物理的な距離を持った方が「妻のためにも」うまくいくと思ったのだった。
そもそもウチの会社は、「男性の育休」は取らないのが暗黙のルールだ。だから正直、俺は何もできないと思う。協力できない人間が下手に口出しすることの方が無責任だと思って、妻に任せる形にしていた。でも、どこか仕事を辞めたさそうだったから、妻のために「そんなに悩むなら辞めたら」と提案をした。怒られるし……。
実際に仕事がはじまってからも、情緒不安定。時短で早く帰れるんだから、そこまで負担ではないのでは? と思っているのだが、そんなこと言ったら大変だ(苦笑)。そんな最近の妻のことを同期に相談しようとした飲み会の連絡の返信がこれだ。
俺は急遽飲み会をキャンセルして、家に帰宅した。すると家の中は真っ暗。子どもの保育園の荷物と小さな紙袋が玄関に置いてあっただけだ。妻は保育園から帰宅して、そのまま実家にでも帰ったのだろうか。
この紙袋、なんだ……? と思って中を開けると、搾乳器と母乳らしきものがついた哺乳瓶が入っていた。
なんで搾乳器が? もしかして会社で搾乳しているのか? ……まさかな……。でも、そういえば保育園に預ける前はずっと母乳育児だったし、急に出なくなるわけではないのかも?
急いで妻の実家へ向かうと、玄関の外でお義父さんが息子を抱きながら寝かしつけていた。
「お義父さん、すみません……」
中に通されると、妻の声が聞こえる。泣いているようだ……?
子どもを産んだばかりの妻の身体は、まだ赤ちゃんと一緒にいるようにできているのだ。そのリズムに無理矢理仕事を入れ込んだら、そりゃ無理が出るよな……。10ヶ月もお腹に宿して、産まれてからもずっと一緒にいて……まだ心も身体も「ふたりでひとつ」なところがあるのに、「物理的に距離をとった方が」なんて、なんて安易な考え方だったんだ。「母と赤ちゃん」はそんな簡単じゃないんだ……。「妻のため」とか言いながら、面倒くさがって、本来目を向けるべきところに目を向けられていなかったのかもしれない。浅はかだった自分を恥じた。
妻と義母の話が一段落した頃合いに俺は部屋に入り、妻に謝った。
「ママ、今までひとりで悩ませちゃってごめん……。何もわかっていなかった……。お義母さんが言ってたように、ママがどうしたいか、ちゃんとふたりで話し合って、ママが一番笑顔でいられる方法で、ふたりでやっていこう。だから、もう一度ちゃんと話そう。今までごめんな」
やっぱり俺は「ママ」じゃないから、ママの気持ちを理解しきれる自信はない。でも「ママの笑顔」のために俺ができることは、どんなことでも協力しようと心に誓った。
「ママの笑顔」を守ることが、父親としての最初の仕事なのかもしれないな……。
原案・編集部 脚本・渡辺多絵 作画・イチエ