未就学児へのマネー教育。何から始める?どこまで教える?
みなさんは、お子さんにお金のことをどのように教えていますか? 節約するママを尻目に子どもは「アレ買って~」とねだったり、ずらりと並ぶゲーム機の前から離れなかったり……。ママとしてはお金の大切さを教えたいところですが「無駄遣いしない」「ほしいものを全部買うことはできない」など説明しても、それだけでは子どもを納得させるのは難しいもの……。子どもへのマネー教育はどうすればいいのでしょうか。
さまざまな家庭の家計相談を行っているFP(ファイナンシャルプランナー)海老原政子さんに、未就学児への金銭教育についてお話を伺いました。
未就学児には親がお金をどのように使っているか見せる
――数字がわからない時期の子どもには、お金の価値をどのように伝えればいいでしょうか?
数字がわからない子どもに1円はこのくらいの価値、1万円はこのくらいの価値……というお金の持つ価値を具体的に数字で教えることは難しく、ましてや大切にお金を使うことの意義はたやすく伝えられるものではありません。マネー教育の基礎はまず「親のお金への関わり方をきちんと見せる」ことです。 普段から“親がお金をどのように扱っているか”を子どもは見ています。小銭に紙幣、お財布の具体的な所作を丁寧に行うことを意識したいですね。
――普段の生活の中で、お金を使っているときの所作などを見ているということですか?
そのとおりです。親が買い物をするときに金額や必要性を吟味して購入している、毎年お年玉をあげるときにも丁寧に扱う(両手で手渡す)というように、親がお金自体を大切に扱っている様子を見せることが何よりの子どもへのマネー教育。特別な教育はなくとも、くらしの中で子どもは「お金は大切なものなんだ」と理解していくはずです。
使えるお金は有限!子におねだりされたときがマネー教育のチャンスです
――「アレ買って! コレほしい!」とおねだりが尽きない子には、どのように対処していけばいいでしょうか?
闇雲に「ダメ」「買えません」と言っても、子どもには伝わらないでしょう。「金額が高いからダメ」「そんなに必要だと思わないからダメ」のように理由を追加しても、子どもにとってはその基準が理解できないと納得できず、結局お金の有限性や価値については伝えられていません。子ども自身が納得するまで子どもに合わせた分かりやすい方法で、繰り返し伝えることが大切です。
――子どもに合わせた分かりやすい方法とは具体的にどんな方法ですか?
おすすめの方法は、選択肢を提案して子どもに選ばせる方法です。たとえば買い物のときカプセルトイをほしがったとします。その場合「今日はお菓子を買おうと思ったんだけど、おもちゃが欲しいのならお菓子はやめておこうか」「今日と明日のお菓子はホットケーキを家で作ったらどうかな?」など子ども自身が限られた予算枠の中で納得して決められるように提案する方法です。
この方法だと、「お菓子2回分くらいの価値があのカプセルトイにはあるんだな」とわかりますよね。どう言ってもダメなときもあるとは思いますが、提案内容を変えるなど何度かやってみて、買えない理由や代わりにやれることを伝え、子どもが学ぶ機会を提供していくことが重要です。
子どもは1回言うだけではわかりません。1回2回で身につくとは思わず、何度も根気よく繰り返し伝えることが大事だと心得ておくと、ママ自身もイライラから解放されるのではないでしょうか。
小さなお子さんを買い物に連れていくことは「大変」だと避けがちですが、マネー教育の観点から言えばチャンスとも言えます。「ほしい!」「じゃあその代わりにコレはやめておく?」こんなやり取りが良い経験になると思います。
誕生日のプレゼントはママが決めていませんか?子どもに選ばせることの大切さ
――クリスマスや誕生日など年に数回ある「おもちゃを買う機会」に、子どもが欲しがるおもちゃでは「長く楽しめそう」にない……もったいないを伝えたいです
親からすると「せっかく買うのだから長く遊べるおもちゃを」など“コスパ”を考えてしまうかもしれませんよね。しかし、このような場合も親と子どもがおもちゃを通してマネー教育できる良いチャンスです。
親の意見を伝えてみたけれど、子どもが納得しないかもしれません。そんなときは子どもの意見を尊重して、子どもがほしがるおもちゃを敢えて与えてみるのもいいのではないでしょうか。
失敗すること、相手の選択を尊重するのも教育のひとつです。たとえ1回や2回しか遊ばずにおもちゃに飽きてしまったとしても、子どもの意見を最大限尊重して買ったものなら、子どもにとっては自分が選んだことへの結果を学ぶことになります。
何かを買うときは親の意見を押し付けてしまうこともあるかもしれませんが、子どもの好きなものを買うからこそ「失敗した!」「これでよかった」などの経験が後々まで活きてくるのかもしれません。親にとっては買い物をマネー教育の場として“教えていくこと”はときに大変ですが、焦らずじっくりと取り組んでいってほしいですね。