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学費が足りなくなったらどうする!?知っておきたい奨学金制度とは


何年もかけて我が子の学費を貯める計画を立てていたとしても、貯めている間の人生は何が起こるかわからないもの。もし我が子の学費が足りなくなったら、どうやって工面すればいいのでしょうか?さまざまな家庭の家計相談を行っているFP(ファイナンシャルプランナー)海老原政子さんにお話を伺いました。
フィナンシャルプランナー海老原先生

知っておきたい奨学金や教育ローンなどの制度。返済しやすい “学費の借り入れ先”の選び方は?

――子どもがいざ大学入学、というときに親の病気や失業など諸事情で学費が足りなくなることもあるかと思います。どうすればいいですか?

海老原先生:人生何が起こるかわかりませんし、兄弟が多いとすべて親が用意するということも難しくなります。そんなときは「借りる」という選択肢があります。学費の支援には、下記のようなものがあります。

独立行政法人 日本学生機構の奨学金

一定額を借り返す必要のない「給付型」の奨学金、返す必要のある「貸与型」の奨学金があります。「貸与型」は、無利子で借りられるもの、有利子で借りられるものの2種類です。
参考:独立行政法人 日本学生機構:https://www.jasso.go.jp/shogakukin/index.html

国の教育ローン

年1.78%(※)で、幅広い学校、さまざまな用途に対応可能なローンです。
参考:日本政策金融公庫:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/ippan.html

※固定金利・保証料別。扶養する子どもの数によって金利は変わります(平成30年11月12日現在の金利)

大学独自の給付型奨学金

大学によっては独自の返還不要な奨学金制度を運用しているところもあります。

職業団体独自の就学支援制度

特定の職業団体では、独自の奨学金制度を設けています。たとえば看護師や保健師などの場合、卒業後、自医院で働くことを条件として給付型奨学金を設ける病院があります。

自治体の無利子融資制度

自治体に就学支援制度がある場合も。自治体のサイトで「就学支援」「就学費用」などのキーワードで探してみてください。

奨学金の選び方

――お金を借りる際は、誰が返すにしてもできるだけ負担が少ないようにしたいものです。奨学金をどのように選べばいいでしょうか?

海老原先生:貸与型奨学金より先に、まず大学独自の給付型奨学金を探してみましょう。入学を希望する大学のオープンキャンパスなどに参加して質問してみてください。目指す職業が決まっている場合は、職業団体等の奨学金および貸与条件を調べてみましょう。
また、東京都のように独自の就学費用の支援をしている自治体もあります。なるべく返済しなくていい給付型、もしくは無利子で借りられる奨学金制度が自分に当てはまらないか、探してみてください。それでもダメなら有利子となります。貸与型を検討する際は、返済するタイミングや金利がどのように決まるのかなども事前に確認しておきましょう。

奨学金を調べ始める時期は早めのほうが安心


――奨学金の申し込みにあたって注意しておくことはありますか?

海老原先生:奨学金をもらう可能性がでてきたら、早めに情報収集をすることです。
給付型、貸与型ともに、奨学金の申し込み期限が早い場合が多いからです。
日本学生支援機構の奨学金は、予約採用といい、第一次の募集は大学入学前年度の春に説明会が開催されます。在学している高校を通して手続きすることになっているので、学校によって多少前後しますが前年度の夏までに申し込みを締め切りとなります※。また予約採用の採用通知を受け取った後に借り入れを辞退することは可能です。枠を押さえる意味でも早めの行動が吉です。

※浪人生の場合は卒業後2年までは母校でこの手続きを行います。大検利用者などは日本学生支援機構に直接申し込みとなります。

奨学金の借り入れが決定しても大学入学手続き時に資金が間に合わない場合もあります。そうなると入学時に必要な費用を自前で用意する必要があるため、不足額をどうするかを考えるためにも、早めに情報収集して備えましょう。情報収集のときの確認ポイントは申込要件や申込時期、お金の受け取りまでどれくらいの期間かかるかということです。

――奨学金の審査で落ちることもありますか?

海老原先生:あります。子どもの借金ながら、借り入れ可能かどうかは親の収入や信用情報、子の成績基準などもあります(日本学生機構)。しっかり要件をチェックしておき、予約採用など万一の審査落ちにも対応できるよう早めに行動をとることをオススメします。

選択肢が広がって複雑さが増す奨学金制度。1つ先の進路を見すえて早めの情報収集を

――親世代が利用した奨学金制度と変わっている点があるのですね。

海老原先生:そうですね。奨学金の選択肢が増えてきましたが、その分複雑さも増えてきているように思います。親世代では「日本育英会」を思い浮かべると思いますが国の奨学金は現在「日本学生支援機構(JASSO)に引き継がれています。以前は「貸与型」しかなかったですが、今は返済しなくてもいい「給付型」も新設されました。
条件や申請時期がそれぞれ異なりますので、自分の家庭の場合どれに申請できるのかなどの情報収集だけでも時間がかかります。教育費の準備と同様に、1つ先の進路を見据えて早めに情報収集したいところです。

――早めに情報収集と言っても、子どもが高校に入ってからになりますよね?

海老原先生:そんなこともありませんよ。例えば高校入学前の入学説明会で大学を見据えた情報収集ができたりします。希望する高校の卒業生が何割大学に行ってそのうち何割が私立大学へ入学したのか、短期大学の割合は、などを聞いておくことで、子どもの進路の可能性を考えることができるようになります。可能性のある進路を把握するだけでも、具体的に必要になってくる金額を想像することができるはずです。情報を知れば次に、貯蓄額を確かめたうえで高校の間にどのようにお金を貯めようか、奨学金も調べておこうか、といった感じで具体的に対策が取れますよ。

――子どもの進路が最終的にどうなるかわからないものの、情報を得ておくことでいろいろな進路への具体的な備えができるということですね。

海老原先生:「進路が決まったのに、お金をどうしよう……」と悩んでしまうのは、やはり避けたいもの。そのためには小学生なら中学、中学生なら高校、高校生なら大学や専門学校といったように、今子どもがいる場所の1つ先の進路を見すえて情報収集することが大事です。具体的にお金のことを考えていく、状況が変われば柔軟に軌道修正をする……といったように、子どもと一緒に家族一丸となって、早め早めに動いていただければと思います。

 

1つ先の進路を見すえて、早めの情報収集を行い、お金を準備する……大事なことですね。たとえ必要がなさそうでも、お金を借りる先のことも余裕があるうちに調べておくことがリスクヘッジになるかもしれません。

取材、文・しらたまよ イラスト・善哉あん

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