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教育費を保険で貯めるとお得?保険で学費を貯めるメリット・デメリット


「子どもに目指す夢があるにも関らずお金がネック」とならないように貯蓄しておきたいと考えるママは多いのではないでしょうか。貯蓄のことを調べていると、保険で貯蓄するという方法も視野に入ってきますよね。保険で貯蓄するには、どんな人が向いているのでしょうか?
さまざまな家庭の家計相談を行っているFP(ファイナンシャルプランナー)海老原政子さんにお話を伺いました。
海老原政子さん

保険を検討する前に「どの貯め方が自分たちの家庭にあっているか」を検討してほしい

――教育費を保険で貯めていると聞くと、保険で貯めることは得なのかなと気になります。

海老原先生:教育費を保険で貯めるご家庭もあれば、自分で定期預金などに入り貯めるご家庭もあると思います。どちらが得だとか、正解だということは一概には言えません。
子どもが生まれると学資保険が気になり「どの保険に入るか?」を検討してしまいがちです。どの保険商品にするかを決める際には、返戻率(戻り率)※で比較するといいと思います。返戻率(戻り率)の比較のためのデータは、それぞれの保険会社さんに試算していただけます。
でも本当はそれよりも大前提として考えてほしいことがあります。それは「我が家はこの貯め方であっているかどうか」ということです。商品選びの前に、自分たちの家庭に合っている貯蓄方法かどうかをしっかり考えることが一番のポイントです。

※返戻率(戻り率):払った保険料の総額に対して受け取ることのできる満期保険金などの総額の割合

――保険で貯めることが合っている家庭とは、どのようなご家庭ですか?

海老原先生:銀行口座で貯めるとつい取り崩してしまう可能性があるなど、なかなか貯金できないタイプの人に保険はオススメです。また、一定額を何年も払い込み続けても大丈夫な家計にゆとりがあるご家庭ならば、保険を選ぶのも良いかもしれません。

保険で教育費を貯めるときのメリットとデメリット

――保険で教育費を貯めるメリット・デメリットを教えてください。

海老原先生:保険で教育費を貯めるときのメリットとしては、将来にわたり、貯蓄額の推移が目に見えてわかりやすく、したがって続けやすい点があります。また子どものためという目的があるうえに、途中解約は損になることが多いため、何か入用になったとしても心理的に取り崩しにくいところですね。
デメリットとしては一定の保険料支払いが固定化されてしまうことです。想定外の出費や親の転職などで家計が変化しても毎月固定の保険料が発生します。保険料が負担になり、毎月の家計が赤字になる可能性も出てきます。保険商品の最大のデメリットは「中途解約」です。支払いができなくなるだけでなく、満期になる前の解約返戻金は元本割れしてしまいます。満期になったときのお得さに目が行きがちですが、「満期まで支払い続けられるか」「途中で取り崩す可能性はないか」というところは必ず押さえておきたいところです。

学費を保険で貯めるとき何を選ぶ?学資保険、低解約返戻金型終身保険を検討するときに考えておきたいこととは

――子どもの教育費を貯めるための保険商品にはどのようなものがありますか?

海老原先生:学資保険※のほか低解約返戻金型終身保険※などがあります。

・学資保険とは:子どもの教育資金を準備するための貯蓄型の保険。子どもが怪我をしたときのための医療保障がついているものや、節目ごとにお祝い金が出るタイプなどさまざまな商品がある。
・低解約返戻金型終身保険とは:保険料支払い期間の間に解約した場合、払い戻される解約返戻金が低く抑えられた保険。保険料払込期間が終わってから解約すると解約返戻金が保険料の総支払額よりも増えるよう設計された商品。

学資保険の特約付加は元本割れする可能性があることを把握して

――子どもの学費と聞くと思い浮かべるのは学資保険ですが、買い時などあるのでしょうか?

海老原先生:予定利率が下がり続けており貯蓄性は下がっていますが、短期払いにするなどプラン次第で戻り率を上げる方法もありますので、いつを買い時と考えるよりは、お金のかからない時期に無理のない保険料で貯めることを考えたほうがよいでしょう。また、注意する点として、学資保険に特約をつけた場合、特約保険料も含めて考えると元本割れする可能性もあります。保険料とお祝い金(満期保険金)の関係をしっかり把握しておく必要があります。

低解約返戻金型終身保険は毎月の固定保険料が割安でお得?最大のデメリットは「途中解約」

――学資保険と並んで教育費の貯蓄時に検討される低解約返戻金型終身保険とはなんですか?

海老原先生:終身保険の一種です。終身保険は長く保険に加入しているとお金(解約返戻金)が増える仕組みの金融商品です。終身という名前どおり解約しない限り一生涯保障が続きます。解約した際に返戻金が支払われるため貯蓄代わりに使う人がいるのはそのためです。その中でも低解約返戻金型というのは、保険料を支払っている期間に解約した場合の解約返戻金を低くする代わりに毎月の固定保険料を割安にした終身保険のことをさします。教育費を目的とする場合、お子さんが15歳~17歳になるまでを保険料の支払い期間に設定し、必要な時期に解約するプラン設定が多いのではないでしょうか。

――低解約返戻金型終身保険のメリットとデメリットはありますか?

海老原先生:メリットは保険料の支払いが終わった時点以降、その解約返戻金が支払った保険料の総額よりも多くなる点です。反対に最大のデメリットは、保険料支払い期間中の「途中解約」です。これは低解約返戻金型終身保険に限らず、学資保険でも言えることですが。

魅力的に見える外貨建て保険は手数料が大きい!為替リスクもあるので慎重に。

――外貨建て保険で教育費を貯めることもできると聞いたことがあります。そもそも外貨建て保険とは何でしょうか?

海老原先生:保険の仕組みは学資保険や低解約返戻金型終身保険などと同じです。根本的に異なるのは外貨で運用するという点です。つまり、受け取り時点で外貨から円に戻す必要があり、保険をかけているときよりも一定以上円安になれば収益がプラスになりますが、円高に振れると受取額が総支払保険料より下がる、実質マイナスになる可能性もあります。また、円へ戻す際に手数料がかかったり、交換レートによって受取額がさらに目減りする場合もあります。外貨建ての低解約返戻金型終身保険は表面的な利率が高く、魅力的ではあります。しかし、注意点が多いことも事実です。基本的に投資の基本はその金融商品の仕組みをしっかり分かってから契約することです。分からないまま、いいことだけを聞いて判断することや、マスコミで取り上げられているなどの流行にのって契約することは禁物です。あとで「そんなはずではなかった」と後悔しても覆水盆に返らずです。

保険商品は途中解約がなによりも損!保険自体が得か損かよりも「我が家にあっているかどうか」で決める

――保険は、パンフレットなどの宣伝文句に惑わされず、自分で運用できるかどうかで決めないといけないのですね。

海老原先生:そうですね。得か損かも大事なことではありますが、何よりも途中解約が最も損です。「我が家に合っているかどうか」で決めればいいと思います。保険に入るにしても、家計のやりくりがしやすいように、無理なく払える保険料を設定するほうが安心です。今時点での家計では支払えるけれど、今後も大丈夫かどうかを考えることですね。また保険だけでなく会社の財形貯蓄も併用すして将来の家計変化に備えるなど、分散して貯蓄できる状況を作るとやりくりの自由度も増すためオススメです。

――家計のやりくりとして、保険料を払いやすくするコツはないですか?

海老原先生:“支払いの時期をずらす”方法をオススメしています。子どもが複数いて、年払を選んでいるのであれば、保険料をまとめて払うのではなく、夏のボーナス時に第1子、冬のボーナス時に第2子分を払うなど時期をずらすことで負担が大きくならずに済みますよ。ちなみに学資保険ではなくても、“支払いの時期をずらす”方法は家計に応用できます。たとえば自動車保険を夏のボーナスに、生命保険や住宅ローンの繰り上げ返済を冬のボーナスの時期に、という感じです。そうすることで家計のやりくりがラクになると思います。ぜひ活用してみてください。

 

保険の検討を始めると、どうしても返戻率に注目して「どれが得?どれが損?」と考えてしまいがちです。しかし、一番大切なことは「支払い続けられるか。途中解約するリスクはないか」を考えることだとわかりました。子どもが1人のときは支払えるけれど、兄弟が増えた場合も支払い続けることができるのか、なども考えて無理のない貯蓄方法を見つけたいですね。

取材、文・しらたまよ イラスト・善哉あん

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