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生後2ヶ月から受けられる「肺炎球菌」の予防接種!詳しく知っておこう

※2018年7月時点の情報です。

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赤ちゃんが産まれると生後2ヶ月ごろから「予防接種」がスタートします。厚生労働省が勧める標準的なスケジュールで生後2ヶ月ごろから受けられる予防接種のひとつが「肺炎球菌ワクチン」です。日常的なシーンではなかなか聞きなれないかもしれない「肺炎球菌」。今回は「肺炎球菌」について詳しく解説していきます。

「肺炎球菌感染症」とは

厚生労働省のHPによると、「肺炎球菌感染症」とは、

『肺炎球菌という細菌によって引き起こされる病気』

とされています。

肺炎球菌によって引き起こされる病気

どのような病気が発症するかについては、

『菌が何らかのきっかけで進展することで、肺炎や中耳炎、髄膜炎などの重い合併症を起こすことがあります

(厚生労働省HPより)』

とのこと。中でも危険度が高い病気が「髄膜炎」であり、髄膜炎に子どもが感染した場合、難聴や手足の麻痺といった後遺症を残したり、亡くなってしまったりするケースもあるそうです。

肺炎球菌自体は集団生活をしている子どものほとんどが持っているとのことですが、小さい子どもほど病気を発症しやすく、0歳児では特に発症するリスクが高いそうです。

肺炎球菌の感染経路は

肺炎球菌の感染経路は

『主に気道の分泌物により感染を起こします

(厚生労働省HPより)』

とのことです。健康な人が自然に菌を持っていて、人が咳やくしゃみをすることで空気中にまき散らされることも経路のひとつだそう。

「肺炎球菌ワクチン」接種で予防が期待されること

『小児の肺炎球菌による髄膜炎は、2008~2010年は10万人(5歳未満)あたり約2.8人が罹患していましたが、ワクチンが普及した2012年には、約0.8人と、73%の患者減少が見られています。

(厚生労働省HPより)』

との統計結果が発表されています。肺炎球菌ワクチンの接種により、患者が減少したと見られます。これは2013年6月より前に使用されていた、7種類の肺炎球菌に対応したワクチンでの結果。現在は13種類の肺炎球菌に対応しているワクチンが使われているので、さらに予防できる範囲が広いということですね。

じつは肺炎球菌には90以上も種類があります。となると、たった、ともいえる13種類だけが含まれたワクチンで効果があるのか、と考えることもできるかもしれません。しかし、多くの肺炎球菌は、予防自体ができないのです。

『ワクチンに含まれない種類の肺炎球菌の多くは予防できないため、ワクチンを接種しても肺炎球菌感染症を発症することがあります。

(厚生労働省HPより)』

予防できる肺炎球菌は、ワクチンで予防しましょう。

「肺炎球菌ワクチン」予防接種のスケジュールを把握しておこう

「肺炎球菌ワクチン」の定期予防接種を受けることができるのは、生後2ヶ月以上5歳未満の子どもです。

「肺炎球菌ワクチン」の推奨される接種開始時期

「肺炎球菌ワクチン」の推奨される接種開始時期は、

『生後2ヶ月以上7ヶ月未満で開始

(厚生労働省HPより)』

とされています。接種を開始した時期によって、合計の接種の回数が変わります。

【標準】生後2ヶ月から生後7ヶ月未満に接種を開始した場合

生後2ヶ月から生後7ヶ月未満に接種を開始した場合、接種回数は合計4回。初回の予防接種が終わったら、通常は27日以上の間隔をあけて2回目の予防接種を受けます。さらに再び27日以上の間隔をあけて3回目の予防接種を受けることになります。追加の予防接種については「生後12ヶ月から生後15ヶ月」と期間が設定されています。

スケジュール例)
初回:生後2ヶ月
2回目:生後3ヶ月(※)
3回目:生後4ヶ月(※)
追加:生後12ヶ月から生後15ヶ月
(※)ただし、初回2回目及び3回目の接種は、生後12ヶ月に至るまでに接種し、それを超えた場合は行えません(追加接種は実施可能)。

生後7か月以上から12ヶ月未満の間に接種を開始した場合

生後7か月以上生後12ヶ月未満の間に接種を開始した場合、接種回数は合計3回となります。初回の接種から27日以上の間隔をあけ、2回目の予防接種を受け、その後60日以上の間隔をあけて、かつ1歳を過ぎてから追加接種を受けることになります。

スケジュール例)
初回:生後7ヶ月
2回目:生後8ヶ月(※)
追加:生後12ヶ月以降(直前の接種からは60日以上の間隔をあける)
(※)ただし、初回2回目の接種は、生後13ヶ月に至るまでに接種し、それを超えた場合は行えません(追加接種は実施可能)。

1歳以上2歳未満に接種を開始した場合

「肺炎球菌」の予防接種の開始時期が1歳以降になった場合は、60日以上の間隔をあけて2回の予防接種を受けること、とされています。

スケジュール例)
初回:1歳
2回目:1歳2ヶ月以降(初回の予防接種から60日以上の間隔をあける)

2歳以上5歳未満の場合

接種開始時期が2歳以上になった場合は、5歳になるまでの間に1回のみ予防接種を受けます。

個別に特段の事情がなければ、厚生労働省が推奨する期間のうちに予防接種を開始しましょう。

「肺炎球菌ワクチン」を接種することで起こりうる副反応とは

ワクチンの接種は免疫をつけることを目的とするものですが、免疫をつけること以外で起こる体調の変化のことを「副反応」といいます。「肺炎球菌ワクチン」の場合は、発熱したり食欲がなくなったり、まれに発疹や嘔吐がみられることがあるとのこと。症状が続くようなら予防接種を受けたお医者さんに相談してくださいね。

「肺炎球菌ワクチン」と同時接種できる予防接種

あくまで標準的な予防接種の期間を基準としたものですが、「肺炎球菌ワクチン」と同時接種できるワクチンがいくつかあります。

生後2ヶ月

・ヒブ(Hib)ワクチン
・B型肝炎
・ロタウイルス

生後3ヶ月

・ヒブ(Hib)ワクチン
・B型肝炎
・四種混合(DPT-IPV)
・ロタウィルス

生後4ヶ月

・ヒブ(Hib)ワクチン
・四種混合(DPT-IPV)
・ロタウィルス(ワクチンによる)

1歳

・ヒブ(Hib)ワクチン
・四種混合(DPT-IPV)
・麻しん・風しん(MR)
・水痘(水疱瘡)
・おたふくかぜ

標準的なスケジュールで生後2ヶ月に予防接種を開始するとしばらくは毎月のように予防接種を受けることになります。赤ちゃんやママ自身の体調不良などでスケジュール通りにいかないこともあるでしょう。予定していたスケジュールどおりにいかなくなったら、かかりつけのお医者さんに相談してくださいね。

参考リンク:小児用肺炎球菌ワクチンの切替えに関するQ&A / 国立感染症研究所「日本の定期/任意予防接種スケジュール」/MSDマニュアル家庭版「肺炎球菌感染症」

文・しのむ 編集・しらたまよ

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