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WHOが「ゲーム障害」を疾病として認定。スマホゲームはなぜ止められないの?

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ちょっとした隙間時間にすぐ手に取ることができ、いつでもどこでも始めることができるスマホゲーム。家庭内でも、育児をお願いしているにもかかわらず子どもをほったらかしにしてスマホゲームに熱中する旦那さんや、勉強そっちのけでスマホゲームに没頭する子どもにお怒りのママもいるのではないでしょうか? スマホゲームをしすぎることで、健康面や対人関係にも悪影響を及ぼすスマホゲーム依存は、もはやただの「ゲーム好き」という一言では言い切れないほどの国際的な問題となっているようです。

世界保健機関(WHO)が「ゲーム障害」を新たな疾病として認定

世界保健機関(WHO)は、2018年に第11版に改訂された国際疾病分類に、「ゲーム障害(gaming disorder)」という名称を加えたと発表しました。ゲーム障害とは、ゲームをしたい衝動を抑えられず、日常よりもゲームを優先して健康が損なわれたり、家族や学業、仕事にも支障が出たりする症状が、少なくとも12カ月以上続いている場合に診断されるとのこと。ゲーム依存は医学的に“疾病”として認識され、国際的な問題となっているのです。

スマホゲームを続けたくなる原因は?

国立病院久里浜医療センターの院長であり、『スマホゲーム依存症』の著者である樋口進先生は、著書の中で、私たちの生活に入り込むスマホゲームの危険性を指摘しています。
スマホゲームを続けたくなる原因の一つとして、終わりがないスマホゲームの特質をあげています。パパやママの子どもの頃にあった「ファミコン」などの家庭用ゲーム機は持ち歩くことができませんでしたが、スマホは持ち歩くことができ、いつでもどこでもプレーできます。また、新しいキャラクターやカード、武器などが定期的に改善され“アップデート”されることでユーザーは飽きません。子どもの頃、ゲームをクリアするために徹夜した経験のある方もいるかもしれませんが、オンラインで常につながっているスマホゲームは常にアップデートされるため、明確な「クリア」がなく、ゲームをやめることが難しいのです。

依存リスクが高い「ガチャ」

また、樋口先生が特に依存リスクが高いと指摘するのが「ガチャ」という課金システム。スマホゲームの「ガチャ」とは、ユーザーが課金するとガチャガチャを回すように中身がランダムなアイテムを得ることができるシステムのこと。「次は何が出るんだろう?」という高揚感は、ギャンブルに似た刺激や興奮を得るのだそうです。このため、「ガチャ」のために親のクレジットカードを使って課金してしまったり、親の財布からお金を勝手に抜いてしまったりする子どもも樋口先生の元を訪れる患者さんの中にはいるのだそう。

スマホゲーム依存をチェック

上記のような原因からスマホゲームをなかなかやめることができず、睡眠不足から健康への問題や、人間関係にまで悪影響を及ぼしかねないスマホゲーム。スマホゲーム依存かどうかをチェックをするための、「インターネットゲーム障害」のスクリーニングツールというものが書籍内で紹介されています。実際には10項目の質問に対して、自分がよく当てはまるものが5つ以上あった場合に「インターネットゲーム障害」と見なすものだそうですが、その一部はこのような内容でした。

・睡眠不足や勉強・仕事がはかどらない、家族や友人と口論する、するべき大切なことをしなかった、などの問題が生じているにもかかわらず、長時間ゲームをしたことがあるか。

・ 自分がどれぐらいゲームをしていたかについて、家族や友人、大切な人にばれないようにしたり、嘘をついたことがあるか。

・自分の嫌な気持ちを晴らすためにゲームをしたことがあるか。

・ゲームのために、大切な人間関係を危うくしたり、失ったりしたことがあるか。

・過去12カ月間で、ゲームのために勉強や仕事がうまくできなかったことがあるか。

身近な人のスマホゲーム依存を疑う場合に、本人がこのような症状によく当てはまると考えるなら要注意。書籍では、スマホゲーム依存に悩む家族へのアドバイスも分かりやすく紹介されています。

『スマホゲーム依存症』


タイトル:『スマホゲーム依存症』
著者:樋口進
出版社:内外出版社
価格:1,280円(税抜)

 

文・山内ウェンディ 編集・横内みか

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