<思春期のキモチ>【後編】「お母さんといると息苦しい」これが言えたのは成長では?今後の接し方は
前回からの続き。中学2年生の娘さんから、「お母さんといると息苦しい。私が私でいられなくなる」と言われてしまった今回の相談者さん。娘さんの主張は、「お母さんが見ているのは私でなく理想化した子どもだ」「だから本当の私のことを何も分かってないし、お母さんには話せる気がしない」「いつも私はお母さんに気を遣って、嘘の自分でいなきゃならない」というものでした。相談者さんは、「いつも娘のことを考えているのに、どうしてこんなことを言われなければならないのか……」とパニックになっています。
自分のことは自分で考えたい年ごろというのもあるかも
今回娘さんがこのようなことを言い出したのは、決して相談者さんの育て方が悪かったからというわけではありません。
筆者自身同じくらいの年齢のときのことを思い出してみても、相談者さんのお子さん同様やはり多感な時期でした。親が「この子と友達になるのはよくない、あの子と仲良くしたらいい」「あなたのこんなところがダメだ」などと私の友達や性格にも口を出してきていることに敏感になってしまいウンザリしたものです。
『私も高校生のときにそんなことを書いた手紙を母へ渡して泣かせたことがある。中高生ってほんとの自分とか嘘の自分とか、そういうことを考え込む時期な気がする。アイデンティティの確立というか。相談者さんが悪いわけじゃない可能性もあるよ。でも、娘さんは今そう思っていて、ツラいというのも事実あるんだと思う』
『精神的に自立しようとしているんじゃない? そういうことを考えるような年齢だよね。成長過程としては悪くないじゃない?』
もしかしたら娘さんは、「自分とはなんなのか」「自分はどんな人間になりたいのか」など自身のことについて深く考える時期に差し掛かっているのかもしれません。もちろん「そんなこと気にしない!」と考えられる子もいれば、相談者さんの娘さんのように真剣に考えようとする子もいるでしょう。お子さんの性格や年齢によっても考え方はさまざまです。ただ、娘さんはいま、“なりたい自分”と“お母さんがなってほしい私”の差異に混乱しているようにも感じられます。
子どもは成長するもの、やさしく見守ってあげて
相談者さんが娘さんに自身を否定されたように感じてショックを受ける気持ちは十分にわかります。娘さんのために頑張ってきた行動を嫌だったと言われれば、大切に思いやってきた分余計に悲しくもなるでしょう。けれど、考え方によっては自分の気持ちをこんなにハッキリとお母さんに伝えられる娘さん、とても素晴らしいのではないかとも思うのです。
『そういう時期、あったよ。通りすぎたら、また変わるよ。むしろいつも娘さんのこと考えているのを半分くらいにしたら……。私もなかなかできなかったけれど。声掛けを減らすとか、部屋に入らないとか。きちんとした言葉で気持ちを伝えている娘さんはえらい。うちの子は単に、「ほっといて。うっとおしい」だったし』
『大丈夫。私も同じようなことを息子に言われたから。それがそのときの本音だとしてもいいじゃない。悲しいけれど、言ってくれただけでも私は良かった』
自分が産んだ子どもなのですから、いつまでたってもお世話をしてあげたいし、安全に幸せをつかめる道を歩ませてあげたいと思う気持ちもよくわかります。けれど、お子さんの自分で考えて進みたい気持ちも理解してあげなければいけませんよね。だって娘さんは相談者さんの子どもである前に、一人の人間なのですから。そのことを考えながら接すると、思春期を抜けた後により良い関係になるかもしれませんね。
文・物江窓香 編集・古川純奈 イラスト・Ponko
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