【前編】<在宅ワークママ座談会>”自由な働き方”とは限らない!社員orフリーランスで大きな違いも
新型コロナウイルスの影響で一気に広がった感がある在宅勤務。もしもママ友が「私、在宅で働いてるの」と言ったら、皆さんはどんなイメージを思い浮かべますか? 自由がきいてラクそう? それとも専門技術が必要で大変そう? ひとことで「在宅で働いている」と言っても、仕事の内容はもちろん、雇用スタイルもさまざまです。そこで今回はママスタセレクトの読者から寄せられた声から始まった企画、「会社員で在宅勤務のママ」と、「フリーランスで在宅ワークのママ」、両方からその実態を聞いてみました。
【今回の座談会メンバーはこちら】
酒井さん:地方在住。小学校低学年の娘1人。在宅勤務と出社を併用している。
久保田さん:都内在住。小学校高学年の娘1人。以前は会社勤めだったが、現在はフリーランスで在宅ワーク。
中村さん:地方在住。小学校低学年の娘と、もうすぐ保育園を卒園する息子のママ。久保田さんと同じくフリーランスで在宅ワーク中。
在宅で働く場合、自由に動けるの?
まずは会社員で在宅勤務中の酒井さんが語ります。なんでもお子さんの小学校での保護者当番を巡って思うところがあったようで……。
酒井さん :娘が所属しているスポーツクラブでは、当番の保護者が「16時に体育館のカギを開けて道具を消毒する」という仕事があるんです。当番について親が申請する書類に、「仕事だけど抜けることは可能」というチェック欄ができたんですよ。在宅で働く人が増えたからなんですけど、それって「在宅で働いている人は仕事から抜けられる」と思われてるってことなのかなって。
久保田さん:子どもの都合に合わせたり、子どものことを見ながら仕事ができるってイメージなんですかね。
中村さん:仕事の合間で好きことをやっていい。合間に家事やったり、出かけたり、お迎えに行ったりができるって思われてる。
酒井さん:そう! でも、うちの会社の場合は在宅勤務であっても原則、中抜けはできません。それに△時~△時までは働いてはいけないというルールもある。そのルールがあって、そのうえで1日8~9時間は仕事の時間を取らないと回していけないんです。
久保田さん:結構ルールが厳しいんですね。
酒井さん:会社のルール関係なしに、本当にメリハリをつけて働くなら、子どもが起きる前に仕事して、日中は育児に集中しつつ、テレビを見ている間などに仕事して、家事やって、寝かしつけてからまた働く……これが理想なんですよ、私的には。でもそれができるわけではない。普段、周囲の人にこんな風にいちいち説明したりはしないけど、「在宅で働いている」という言葉に、どういうイメージを抱かれているんだろうと気になることはあります。
会社員とフリーランスの大きく違う点
「仕事をしてはいけない時間がある」のは、「時間が自由」と思っていた人にとっては意外ではないでしょうか。さらに「必ず仕事をしていないといけないコアタイム」もあるのですから、仕事をこなしながら家族の都合に合わせて動くのは大変です。このあたりはフリーランスの人と大きく違う点のようです。
「在宅で働く=ラク」と思われてる?
久保田さん:私も「いいね、家で仕事できて。子どもの参観日だからって休み取らなくていいんでしょ」とかは言われたことはあります。
酒井さん:「朝1時間だけ子どもの学校に行って……とかできるでしょ」ですよね。私の場合は、それは遅刻扱いになるんですけど。
中村さん:たとえ昼間、他のことに時間を使ったとしても、その分夜に仕事してるんだけどな。
久保田さん:「在宅でラクしている」みたいな。通勤ないし、家事したりお茶したりしながら仕事できるんでしょって。
中村さん:「私もそっちがいいなー」とも言われますね。逆に「在宅きつくない?」とは言われたことはない。「在宅で働く=大変そう」というイメージはないんでしょうね。ラクそうに見えるのかな。
酒井さん:私は「正社員分の仕事をしてないのに給料もらえている人」みたいな印象があるのかな、と感じることがあります。ここだけの話ですが、繁忙期の前の週末、どれだけ食事のストックを作ってると思います? 冷蔵庫の中を見せてあげたいですよ(笑)。この前なんか食パン2斤買ってきて、ピザトースト6枚、ハムチーズトースト6枚を下ごしらえして冷凍。さらに、おにぎり20個も冷凍。それからチキンライスとか煮物とかカレーとか、長期保存できるものをいっぱい作っておくんです。だって平日の日中にできるわけないですから。
在宅勤務のリアル。家事は週末にまとめてやる!
日中に在宅していても、家事をする時間が確保できるとは限りません。とくに会社員で在宅勤務を経験したことがある人ならば、そのあたりを想像しやすいのではないでしょうか。フリーランスの人も、日中に家族のために時間を費やせばその分働ける時間は減りますから、夜間や早朝でカバーするしかありません。一概に在宅で働く=ラクとは言い切れないようですね。
在宅で働くことが過大評価されることも
久保田さん:あ、でも私の場合、ママ友とかに「在宅ワークしてる」って言うと逆に過大評価されることもあるんですよ。ものすごいスキルの、ものすごい人だから在宅できるんでしょって。それはそれで気恥ずかしい……
中村さん:「在宅ワークしてる」って言うと、PCにめちゃくちゃ詳しいと思われますね。
久保田さん:それあるある(笑)。
中村さん:「PCを使って仕事する=エンジニア」みたいなイメージなのかな。「PCとかの知識ないと無理でしょ?」なんて言われたり。そうとも限らないけど、でも「そんなことないです」とも言いづらい。
PCに詳しい人ばかりではない
「PCの扱いに不慣れだと在宅ワークはできない」というイメージが強いのかもしれませんね。もちろんそういった面もあるでしょうが、誰でも扱いやすいアプリやサービスも充実してきています。PCを使っているからといって誰もがエンジニアの仕事をしているわけではありません。在宅勤務を取り入れている業種は多岐にわたります。在宅ワークママたちも、自分の仕事にまつわる知識を深める方に、より力を入れているのではないでしょうか。
雇用形態も人それぞれ
久保田さん:在宅で働くといっても、社員かフリーランスかで違いますね。外から見たら一緒なのかもしれないけど。
中村さん:知らないと分からないですよね。フリーランスの私たちは在宅ワークの大変さは知ってるけど、酒井さんみたいに社員さんが在宅で勤務する大変さは知らないわけだし。自分たちと同じように昼間出かけることができると思いこんでお話ししてしまうことがあるんじゃないかな。コアタイムとか知らなかったし。
久保田さん:在宅ワークって言葉のなかに数種類あるような気がしますね。在宅だとかノマドだとか………ひっくるめてイメージされてるのかな。
中村さん:いろいろルールがあるんですね……。在宅ワークにもいろいろあるんだなと勉強になります!
当の本人たちもお互いに知らないことだらけ
最近は自宅だけでなく、コワーキングスペースやホテルなど作業環境が整った場所で仕事をしたり……と、「在宅勤務」とはいえ、働くスタイルも場所もさまざま。かといって、在宅で働いている人の誰もが自由なスタイルで働けるとは限らないようです。社員かフリーランスかで制約に違いがあることにも、ママたちは改めて気づいた様子でした。
「在宅で働く=自由」というわけではない
いかがでしたか? 在宅で働くことについて、今まで知らなかった一面もあったのではないでしょうか。今回の座談会では、同じ在宅ワークでも、会社員かフリーランスかでかなり実情は異なることが見えてきました。自ら望んで在宅ワークを選んだ場合と、コロナ禍の会社の方針で在宅勤務を選ばざるを得なかった場合でも異なるかもしれませんね。ただどちらのスタイルで働くママも、周囲から「在宅で働くのは自由、ラク」と思われているのではないかと感じることがあり、違和感を覚えることもあるのだとか。たしかに「通勤がない」などのメリットはありますが、ラクとも言い切れないのが本音のようです。
文・千永美 編集・Natsu イラスト・Ponko