安田美沙子:第3回「生まれてきた息子に、刷り込みをしようとする主人の姿を見て笑っちゃいました」
「生まれてきた息子に、刷り込みをしようとする主人の姿を見て笑ってしまいました」
2014年にデザイナーであるご主人と結婚。2017年5月には、第一子となる息子さんを出産された安田美沙子さん。第3回は、安田美沙子さんの出産時についてのお話です。
以前安田さんにテレビ番組でコメントをいただいた、ママスタセレクトの人気コンテンツ「#産後カルタ」と同じように、安田さん自身も壮絶な出産エピソードをお持ちなのだとか。約30時間かかったという安田さんのお産がどのようなものだったか、じっくりお話を伺います。
【産後カルタ】
「命がけで生んでいます!ママたちの壮絶な出産体験 #産後カルタ」
――こちらはママの泣ける思い出、笑える出来事など、産後に感じた喜怒哀楽をカルタで表現した「#産後カルタ」のエピソードです。今回の産後カルタは、さまざまな出産エピソードを紹介しているものです。お産は、十人十色ですが、安田さんのお産はどんなものでしたか?
出産は本当に命懸けですよね。出産前にまわりの先輩ママからいろいろ壮絶な話は聞いていました。無痛分娩を予定していたので「全然痛くないし、予定分娩だから大丈夫」という安心感がどこかにあったんです。
でも、無痛分娩を予定していた日より前に陣痛が始まってしまったんです。突然陣痛が来たことで予定していた通りにはいかなくて、お産は本当に大変なことなんだと感じました。
病院に到着した時点では、まだ子宮口があまり開いてなくて、担当の先生から「時間がかかるよ」と言われました。そして、実際に生まれるまでに30時間かかりました。出産を経験して、お産は人それぞれだということを改めて実感しました。
――30時間!? それは壮絶なお産でしたね。お産はどのように進んだのですか?
朝早くに陣痛を感じて病院に行ったんです。まだ子宮口が開いていないということで、様子を見ながら15時頃に麻酔を打ってもらいました。でも麻酔は全然効かないし、お産は進まないし……、その日は分娩室で一晩過ごすことになったんです。
その日担当の先生が、本当は同窓会の予定でお休みだったんですが、同窓会を抜けて麻酔を打ちに来てくれました。でも全然効かなくて、「夜だけは眠れたほうがいいから」と、麻酔を強くしにまた戻ってきてくれました。
「夜中のうちには産まれると思うよ」という看護師さん達の予想に反して、そのまま朝になり、昼になり、翌日の15時頃に生まれました。産む瞬間は無痛でしたが、それ以外の時間はずっと陣痛の痛みがあったので、30時間のお産はしんどかったです。
――出産は、旦那さんも立ち会ったんですか?
もちろん(笑)。「絶対、いてね」と言って立ち合ってもらいました。私としては、妊娠中に色々あったので(第2回参照)、お願いしやすくてよかったです。
――30時間のお産の間、旦那さんはずっと横にいてくれたんですか?
いえ……、実は、近所のラーメン屋さんにご飯食べに行っちゃったんですよ。それはめっちゃ怒りました。その間に分娩室に移動したんですよ。「今、主人いないのに……」と思いながら。
立ち合い出産でイメージしていたのは、痛がっている私の腰をテニスボールで押してくれる主人の姿だったのに、ラーメン食べに行っちゃうし。私の母は、時間がかかるからと、途中で家に帰っちゃうし (笑)。私1人で痛みに耐えながら「あれ? お産ってこういうものなの?」と思っていました。
――生まれる瞬間、旦那さんは立ち合えたんですよね?
はい(笑)。ラーメンを食べたらちゃんと分娩室に戻ってきてくれてカメラで撮影して、生まれる瞬間は、隣で手を握ったりしてくれていました。
産まれたら、「よく頑張ったね」と言ってヨシヨシとしてくれたんですけど、赤ちゃんが看護師さんに抱かれて運ばれていったら、そっちについて行っちゃったんです。
――え? それは、なぜですか?
鳥は卵から生まれて最初に見たものを親だと思う“刷り込み”があるじゃないですか。主人は、刷り込みのことを考えて「自分のことを最初に見てほしい」と、赤ちゃんに産後のケアをする看護師さんについて行っちゃったんです。
私がいる分娩台から、キレイにしてもらっている赤ちゃんの姿が見えるモニターがあったんですけど、そのモニターに、どうにか最初に自分を見てもらおうとしている主人の姿が映っていて面白かったです。
「何やってるんだろう……。私はまだ胎盤が出てきたりして大変なのに、私への応援はないのかな?」と思って見ていたんですが、主人は刷り込みに必死でしたね。
今思い出すと笑っちゃうことばかりでしたが、息子が産まれて泣いている主人の姿を見られたのは嬉しかったし、感動しました。
――出産を経験して、どのようなことを感じましたか?
お産の途中に、出てきている途中の頭を触らせてもらったんです。
無痛分娩だと赤ちゃんが出てきている感覚がないので、プニプニした頭をそっと触って「うわぁ」という感じになりました。
産まれた瞬間は、喜びより「泣いてくれるかな」という不安のほうが大きくて。主人と「泣くかな……?」と話をしていたら、元気な泣き声を聞けたので、そのときに初めて「あぁ、良かった」と感動しました。
あと赤ちゃんを見た瞬間に、主人と2人で「こんにちは」って言ったんです。人って、赤ちゃんを見たら「こんにちは」って言っちゃうんだな~と感じましたね。
30時間のお産は、本当に長かったので終わりが見えなかったんですけど、無事に産まれてきてくれて本当によかったです。
30時間に及ぶ出産のなかで旦那さんがラーメンを食べに行った、というお話を笑いながら話してくれた安田さん。一生忘れないといいながらも、旦那さんのマイペースさを寛容な気持ちで受けとめているのがよく分かるインタビューでした。
次回もお楽しみに。
取材、文・上原かほり 撮影・chiai