中尾明慶:第8回 30歳になったら、悪役に挑戦してみたいなと思っています
ドラマ『奥様は、取り扱い注意』、映画『今夜、ロマンス劇場で』など、数多くの作品に出演されていて、主演ドラマNetflix『Jimmy~アホみたいなホンマの話~』の配信が控えている俳優・中尾明慶さん。私生活では、4歳の息子さんのパパです。
普段あまり見ることのできない、パパとしての日常や、プライベートな部分をたくさんお話いただいたインタビューも今回で最後です。最後は、中尾さんご自身の今後の活動について伺いました。また、インタビューを見てくださったママたちへのメッセージもいただきましたよ。
――今年(2018年)、30歳になることで意識していることはありますか?
29歳っていうと、「意外と若いんですね」と言われることが多かったんですが、そんな僕も今年で30歳です。
10代はがむしゃらに駆け抜けてきて、20代は、10代で駆け抜けた反動というか、いろいろ
しんどいこともあったから、30代は今までやってきたことを丁寧にひとつひとつやってい
きたいなと思います。
――中尾さんにとって「30歳」とはどんなイメージですか?
30歳は、僕の中ではすごく大人なイメージだったんですよ。その30歳を目前にして「あれ?俺は何も変わってないな、ヤバいな」という焦りがあったりします。
これまでは、若さゆえの強さもあったと思うんですけど、これからは、そうじゃないものを見ていきたいですね。
――お仕事に対しての意識に変化はありますか?
最近、現場のスタッフさんの方の中に、僕よりも年下の人がいたりするんですよ。これまではずっと年上のスタッフの方ばかりの環境にいて、甘えられるような居心地の良さを感じていたけど、気がつけばスタッフさんにも役者さんにも僕より下の子がたくさんいるんです。
これからもっともっと下の子たちも増えてくるだろうし、もちろん先輩もいるので、その中でうまくバランスが取れる役者でありたいなと思いますね。
――役者の先輩とは、どんな距離感を意識していますか?
僕は子どもを持ったのが早いほうだったので、子どもはうちの子のほうが年上だけど俳優としては大先輩という方がいるんです。そうすると大先輩と、「4歳ってどんな感じなの?」という話になったりするんですよね。先輩たちとプライベートなお話をさせていただくことはなかなかないんですけど、子どもを通して、先輩たちとお話させていただく機会が増えたかなと思います。
子どもがいる役者さんとは、芝居の話より子どもの話をしているほうが多いんじゃないかな。現場も明るい雰囲気になるし嬉しいです。
――今度、挑戦してみたい役柄などはありますか?
僕はこれまで、意外と良い人の役が多かったんです。でも最近は、悪役をやってみたいなと思いますね。30代の僕は、今までとは違った役どころに挑戦していくと思います。
――8回に渡り、子育てやお仕事について語っていただきました。中尾さんが感じる、“子育てをしやすい世の中”に必要だと思うことを教えてください。
地域の大人たちが、みんなで子どもを育てていける社会になったらいいなと思います。
そういう意識はあるんだろうけど、冷たさを感じる瞬間ってまだあるんですよね。子どもが歩いてるのに、その横をスピードも落とさずに走りぬけていく車とか。僕は、子どもを持ったことでそういうことをすごく意識するようになりました。
地域の大人たちみんなが子どもと触れ合える世の中っていいですよね。僕もできることはやっていきたいし、子どもたちとたくさん触れ合うパイナップルくん(※)でありたいなと思います。これからも、パイナップルくんは頑張ります(笑)。
(※第3回参照)
――最後に、このインタビューを読んでくれているママたちへ、メッセージをお願いします。
育児はすごく責任感があるし、プレッシャーを感じることもありますよね。正解がわからないから適当なことは言えないですが、もし頑張りすぎているママがいたら肩の力を抜いても良いんじゃないかなと思います。僕自身もそう思ってるし、自分の妻に声をかけるとしたらそう伝えます。
家事はやらなきゃいけないんだけど、「できないときは、できないでいいじゃん」て思うんです。子どもだってわかってくれると思う。何かに追われて苦しい顔をするくらいなら、それをさぼっても笑ってる家庭のほうがいいんじゃないかなと思うんですよね。
仕事から帰ってきて慌ててご飯を作って、バタバタ食べて「家族との会話が何もなかった」と思うよりも、外ででもみんなでご飯を美味しく食べられるなら、そっちのほうがいいかなと思うんです。
ママだけじゃなくてパパの理解も必要だと思うんですが、うまく手を抜いて頑張りすぎないでほしいなと思います。
子育て中のママの気持ちに寄り添い「頑張りすぎなくていい」とメッセージを送ることのできるのは、中尾さんが育児の大変さを理解しているからこそですね。今後は「悪役」に挑戦したいという中尾さん、実際に演じている姿を目にできることを楽しみにしています。全8回にわたり、ありがとうございました。
取材、文・上原かほり 撮影・chiai