<空気の読めない旦那>義父が亡くなった!「以心伝心の仲」だった義母の悲しみは……【第1話まんが】
数年前の話です。私は西田メグミ、2人の子どもを育てています。旦那(アツシ)と結婚して義実家の近くに住んでいます。義父は昔ながらの人間で、亭主関白でした。
義父「オイ!」
義母「はいはい」
義父の「オイ!」だけで、義母は義父がなにを求めているか分かっています。さっと新聞と老眼鏡を渡すと、無駄な動きなくお茶を入れて出します。
「お義母さん、すごくお義父さんのこと分かっているんですね」「もう結婚して40年近く経つからね~」まさに以心伝心。
私が2人の関係性に感服していたら、「そんないいものじゃないわよ(笑)。真似しない方がいいわよ~」と笑われてしまいました。
義母は子どもを2人育てており、私の旦那であるアツシが長男、次男のリョウタさんは現在独身でひとり暮らしをしています。家事と育児をすべて担い、パートもしていた義母のバイタリティはとても尊敬しています。義母が昔の出来事を話してくれました。
「子どもたちが小さいときはね~、本当に息つく暇もないくらい慌ただしかったわ~」そう懐かしそうに微笑む義母を見て、アツシから聞いた話を思い出します。
昔はそういう時代だったからと義母が言うけれど、パートをしながら子ども2人育てるのは大変だったでしょう。義父は亭主関白なわけだし……。
義母が突然「子どもたちが巣立っても、ホラ、うちのお父さん、ひとりじゃ何もできないから」なんて言うもんだから、義父に聞こえていないかキョロキョロしてしまいました(笑)。
「いつになったら楽になるのかしらね……(苦笑)。なんて、そんなこと言っちゃいけないわよね」「お義母さん……」義母の口から出たのは本音か冗談か。私はこれ以上、深く聞くことはできませんでした。
しかし、その後義父は病に倒れてしまい、数ヶ月の闘病生活を経て亡くなってしまったのです。ついこのあいだまで元気だったのに。私もアツシも突然の訃報に言葉がでませんでした。
火葬が終わるのを待ちながら子どもたちの相手をしていると、向こうに見える義母がとても疲れているように見えました。
メグミ「お義母さん、ここはあと私がやるので少し奥で休んでいてください」
義母「メグミさん……ありがとう……」
大切な人を亡くす悲しみは、私にはまだ想像することしかできません。でもきっと心に穴が空いたような気持ちになるのでしょう。それは「何か」が埋めてくれるものではなく、「時間」が解決してくれるものなのかもしれない……そう思っていました。
そして、義父と義母の夫婦としての歴史は、私たちには計り知れないものがあるでしょう。なかなか気持ちの切り替えも難しいだろうけれど、どうか義母の気持ちを大切にしてもらいたいと思います。私もできるかぎり手伝っていこうと決めたのでした。
脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子