話題の“月経カップ”。「使ってみたい!でも実際はどうなの?」という疑問に答えます!
第3の生理用品として注目されている「月経カップ」。ママスタセレクトでは、過去にも「月経カップ」についての記事を掲載しています。掲載の度に大きな反響があり、皆さんの関心の高さがうかがえました。その一方で「怖い」「どんな風に使うの?」「安全なの?」といった声も多く届いています。
そこで今回は、日本で初めて医療機器として認められた月経カップ「スクーンカップ」の開発者である浅井さとこさんに、みなさんから寄せられた「月経カップへの疑問」についてお答えいただきました。
気になるけど、使うまでのハードルが高いと感じる方々の疑問
──月経カップは、月経がはじまったら性交渉が未経験でも使用できますか?
『もちろんです。日本では「処女性」という概念がまだ残っていますので、
躊躇する方やその親御さんは多いのではないでしょうか。しかし欧米では10代の子も多く使っていますし、処女かどうかは性行経験があるかないかであって、 月経カップの使用に左右されるものではないという意識も広まって います。母親の勧めで使い出したという子もたくさんいます』
──タンポンが使えないので、月経カップも痛いのではないかと不安です。
『タンポンは膣の中が乾いてしまうこともあるんですよね。
月経カップは必要な潤いは残すので、タンポンが痛いと感じる方でも月経カップなら使えるという方はいます』
──どんなに量が多くても、経血があふれてくることはないんですか?
『きちんと装着できていないせいで斜めに傾いてしまうとか、身体の構造的にずれてしまうという方はいますが、漏れてくるということはほとんどありません。
カップの容量は小さいほうで23ml、大きい方で30mlです。使い続けて、経血の量や血液の状態を把握できるようになれば、子宮内膜症などの病気に気づくためのバロメーターにもなります』
どんな風に使うの?お手入れは?
──どうやって入れるのですか?
『入れ方は、数種類あります。膣の位置や角度にも個性があるので、ご自身にあった入れ方、カップの折り方を見つけてもらえたらと思います。詳しくは、動画があるので見てみてください』
▼スクーンカップ9種類の折り方
──水道水で洗うだけで良いのですか?
『水道水で経血を洗い流したものを膣に戻すことを不安がる方もいますが、膣には自分の力で清潔に保つ機能があります。
気になる方は無香料で低刺激性の石鹸で洗ってもいいですし、外出先であれば水道水で問題ありません。
サイクルとサイクルの間には煮沸消毒を勧めていますが、水道水で洗い、保管して次のサイクルに使うという方もいます。保管する際は濡れたままではなく、 きちんと乾かしてから保管してください』
──取り出す時に手は血だらけになりますか?
『なります。専用の手袋を売ったらどうかという意見も聞きますが、それは、私たちがやろうとしていることに反しているので検討していません。というのも自分の身体の部分を触れるのは、自分の身体を知ることに繋がるからです。
月経カップだと、毎月、自分の血液の状態がわかるようになります。「今月の血はトロッとしている」とか「塊がある」というのは、ナプキンやタンポンではわかりにくいんですよね。
自分の健康状態を測るバロメーターとしての経血に触れる、そのことを通じて自分の身体と付き合っていくということを薦めたいと考えています』
──カップを入れた状態で排泄は可能ですか?
『もちろんです。膣内の内壁にしっかりくっついているので、大も小も普段通りにしてもらって大丈夫です。お風呂も装着したまま入ることができます。実は、プールの時こそおすすめなんですよ。大勢の人の中でも大丈夫なので、生理で我慢しなくてはいけないことが減ります』
──最長どのくらい装着し続けられますか?
『12時間経ったら一度取り出して洗うことをオススメします。膣の中にも雑菌があるので入れっぱなしにはせず、12時間を目安に洗ってください』
──出す時のコツはありますか?
『入れるときよりも出す方が難しいかもしれないですね。「出てこなかったらどうしよう」という気持ちが筋肉を緊張させてしまって、ますます出なくなってしまいます。お相撲さんの四股を踏む姿か、片足を上げてもらうと出しやすいと思います。
外す時は、カップのおしり部分をつまんでひねるとカポッと空気が抜けるので、そのまま出せばOK。
よく尻尾を引っ張る方がいるんですが、月経カップは空気でしっかり装着されているから、引っ張るとちぎれてしまうんですよ。尻尾の部分は、取り出すときにカップの底に指を伝わせるための、いわばガイドのような役目をしているのです。 最初は、お風呂で練習することをおすすめします』
月経カップ自体について気になること
──「月経カップ」の寿命はどのくらいですか?
『劣化や亀裂は見たらわかるので、そういう状態になったものは使わないでください。弊社のカップは継ぎ合わせた作りではないので、繋ぎ目から劣化するということはありません』
──サイズは何種類ありますか?
『直径が45mm(容量 30ml)の大きいものと 40mm(容量 23ml)の小さいものの2種類があります』
気になる「月経カップ」について寄せられたたくさんの質問にお答えいただきました。みなさんの疑問は解決できましたか?
最後に、これから月経カップを始めてみようという方へ浅井さんからのメッセージです。
『ママスタをご覧になっている方たちにも、数年後に初潮を迎える娘さんを持つママが多くいるのではないでしょうか。
日本では保健体育でナプキンの使い方を教えますよね。しかしこれからは、初潮を迎えたら何を使うかを選択できる時代です。生理用品にはどういうものがあるのか、しっかり教えていく必要があると思います。そのためにはママが知識を得たり実際に体験したりすることも、とても大切なことではないかと思います。あと10年くらいしたら、月経カップは今よりもずっと当たり前になっていると考えています。
月経カップを使ってみてもなかなか入らず、1回目、2回目でくじけてしまう方もいます。最初からコツがつかめる人、そうじゃない方がいるんです。でも、3回、4回目では必ずコツが掴めるので、諦めずに使い続けてほしいと思います』
筆者も娘を持つ母親です。いずれ娘に選択肢として提案しなくてはいけないものでもあるというお話に、ハッとさせられました。
自分が使うという立場だけではなく、「教えていく」という立場であることもまた、考えていく必要がありそうです。
文・鈴木じゅん子 編集・しらたまよ