いつも食べているアレが原因で緊急手術!?【朝ごふんコラム】
乳幼児による誤飲があとを絶ちません。目にするものをなんでも口にしてしまう0歳児はもちろんのこと、少し大きくなった3歳児くらいの子どもでものどにモノを詰まらせてしまうことが。子どもの安心、安全について、朝5分で家族と話し合うための「朝ごふんコラム」では、読者のみなさんにアンケートを行い、その結果をもとに「身近な食べ物の安全対策」について考えます。解説してくれるのは、小児科医で「子どもを事故から守るプロジェクト」代表の出口貴美子先生です。
『小さなあめを3歳の息子にあげたら喉につまらせた。慌てて子どもをひっくり返して背中を叩いたら、コロンと出てきた』
アンケート結果をみると、あめの危険性は認知されているけど、53.8%の人があげると回答していますね。1歳、2歳の子にはあげなくても、ある程度の年齢になったらあげるというママたちが多いのかもしれません。ただ、気をつけないと、上記のように3歳過ぎてものどにモノを詰まらせる場合があります。あめをあげる場合、棒つきのものの方が比較的安全です。そしてかならず座って食べさせるようにしてください。
弁当の必須アイテム……だけど、意外とキケン!?
『ほかの兄弟に取られないようにと、ミニトマトをあわてて口の中に入れたため、のどに詰まった。幸い、背中を叩いてすぐに出たからよかったけど、かなり焦った!』
子どもがのどに詰まらせやすい食品は、身近な食べ物にもあります。たとえばミニトマト。丸くてつるんとしているので、口に入れたら、噛む前にのどの奥に入ってしまうことも。真っ赤なミニトマトは、1つ入れるとお弁当の彩りが華やかになるから、定番のものとして入れているママもいるかもしれませんね。お弁当に入れる場合も、ご家庭でも、窒息予防のためにミニトマトは、半分から1/4にカットしてくださいね。
体にはいい食べ物だけど気管支に詰まることも
形は小さいけど丸くて詰まらせやすいのが、納豆や枝豆。
とくに納豆は落とし穴。80%のママたちが「あげている」とありますが、離乳食として納豆を使いたい時は、どちらも潰してください。いくら納豆が体にいいからといっても、気管支に詰まったら非常にキケンです。
同じ理由で、枝豆も要注意。つい手づかみメニューとして子どもにあげたくなるところですが、与えないよう注意してください。また、パパのおつまみとして子どものいる前で出すと、ほしがります。パパに枝豆を出すときは、子どもが寝たあとなど、目に触れないところで食べてもらいましょう。
どちらも丸くて小さくて、つるっとのどの奥や気管に入りやすい食べ物です。3歳未満のお子さんには注意が必要です。
ナッツ類は乳幼児には絶対に与えないで!
『おつまみのおせんべいピーナッツを食べていて、肺まで落ちて緊急手術をしてとりのぞいた』
今回のアンケート結果で一番びっくりしたことは、ピーナッツなどのナッツ類をあげているママたちが44.5%もいたことです。ナッツ類は、私たち小児科医もいろんなところで危険性を伝えているのですが、認知度が44.5%とまだまだ低いです。
なぜナッツ類が危険かといえば、窒息事故の原因となることがダントツに多いからです。食品安全委員会の調査では、乳幼児の気管・気管支に異物が入り込んだ症例799件のうち、585件は異物が豆類・種実類であったということがわかっています。そのほとんどがピーナッツでした。それくらいピーナッツというのはキケンです(※)
「あんなに小さいのに窒息するの?」と思われるかもしれませんが、子どもの細い気道に詰まったら窒息する可能性は高いです。また、かみ砕いたかけらが気道の奥にある気管支に入ると、肺炎を起こします。そうなったら緊急手術となり、最悪、肺の一部を切除することにもなりかねません。
子どもにナッツ類を与えるということは、そういう危険性があるのです。「今まで大丈夫だった」といって、この次あげても大丈夫とは限りません。子どもにはナッツ類を与えない。子どもの前で食べない。子どもを守りたかったら、これを徹底してください。
ミニトマトや納豆、枝豆、ピーナツなど、気づかずあげてしまうと窒息の原因になりかねません。ママが「のどに詰まりやすい食べ物」を認識することはもちろん、パパ、おじいちゃん、おばあちゃんなどにも伝えて、子どもにかかわる大人たちみんなで安全な環境を整えていきたいですね。
「毎朝みんなでゴハンを食べながら、たった5分でも家族のコミュニケーションをとって欲しい」という想いからはじまった『朝ごふん』プロジェクト。
このコラムは、忙しい朝でも親子で話せる子どもの安心・安全情報について紹介しています。
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