<投げやり入学>反対を押し切って挑んだ高校受験は残念な結果に。ひどく落ち込むわが子に何ができる?
受験をする子どもの数だけ、さまざまな物語があります。みんながみんな、必ずしも希望する進学ができるわけではありません。合格をいただける子がいる反面、残念な結果となってしまう子どもも相当数いることでしょう。そのような残念な結果を受け止めきれず落ち込むわが子に、親は何をしてやれるのでしょうか。そんな悩みが寄せられました。
『周りの反対を押し切って挑んだ公立高校受験が、残念なことに不合格となってしまいました。推薦と一般、両方ダメだったのでわが子は相当落ち込んでしまっています。その高校へ行くことしか考えていなかったので、滑り止めは適当に決めた私立高校。結局その私立高校へ進学することになったのですが……。落ち込みがひどく、やる気も出ないようで態度も悪くなる一方です。どうすればいいのでしょう』
少し厳し目の志望校。しかし本人の強い意志と、あと少しの努力で手が届くかもしれない可能性がある。そのような状況で挑む受験を「チャレンジ受験」と称することがあるようです。今回のケースは、まさにそのチャレンジ受験だったのかもしれませんね。しかし結果が振るわず落ち込むわが子。親にできることはあるのか、一緒に考えてみましょう。
思いが強いほど落ち込むし荒れる
今だから話せることですが、筆者の子どもも公立高校受験はご縁がいただけず、併願で受験した私立高校に通っていました。筆者の子どもの場合はチャレンジ受験ではなかったのですが、こればかりはどうしようもないですよね。ですから、投稿者さんとお子さんのツラいお気持ち、多少なりとも理解できるのでとても心が苦しいです。きっと親子それぞれに相当なストレスを抱えていることでしょう。
投稿者さんのお子さんは、入学手続き中もずっとイヤな顔をし、制服の採寸のときも投げやりになっていたのだそう。あげくのはてには「こんな学校、行きたくない」と口に出してしまう始末。褒められるようなことではありませんが、そのような悪態をついてしまうほど傷ついているのでしょう。高校受験を終えたとは言えまだ10代半ば。受け止めきれず抱えきれず、行き場のない思いが言葉や態度に出てしまうのかもしれません。
親にできることは見守ることぐらい
筆者の経験談からアドバイスするとすれば……、この状況で親ができることはないのかもしれませんということ。現状では、励ましても慰めてもなんだか裏目に出てしまうんですよね。筆者の子どもの場合、私立高校の選択肢も少なかったので、どうしても「諦める」しかありませんでした。公立に落ちたことがわかった朝から、午後の私立への入学手続きの間、まあとにかく無言。重苦しい空気に耐えながら乗り切りました。
親としてはわが子の将来を思い、お金も払えば手続きなどの面倒なこともやってのけるしかありません。相当な落ち込み方をしているのは親も同じなのに、子どもに気まで使わないといけないので大変ですよね。しかしそこで何か言って、わが子を追い詰めてもいけませんし……。そうなると、できることって本当にないんです。当時を振り返ると、見守ることが一番必要なことだったのでは? などとも思います。
時間薬で何かが変わるかもしれない
筆者の子どもも、盛大な不平・不満を抱えつつも、なんとか高校生活を3年間成し遂げました。大学生になった今も、いろいろと不平不満は消えないし、通っていた高校には興味も関心もないそうです。それでも3年間通えたのには、高校へ行ったからこそ得られた学びや周囲との交流などがあったからだと、見守っていた筆者は思います。
投稿者さんのお子さんも、今はまだその高校に価値を見いだせないかもしれません。しかし高校生活を送るなかで、思いがひっくり返る瞬間があるかもしれません。ステキな仲間に出会えるかもしれませんし、一生かけて学びたい何かと出会えるかもしれません。それは御縁があった高校へ通ってみないとわからないことなのです。そしてその“何か”に出会うために、お子さんには時間が必要なのです。
時間薬という言葉がありますが、すごくよくできた言葉だと思いませんか? 時間が解決してくれることって、生きているととても多いですよね。お子さんも今は受け入れられない現実に耐えきれず荒れてしまうかもしれませんが、時の経過とともに景色が変わっていくことで、何かを見つけるのではないでしょうか。
適度な距離を取りながら“何もしない”をやろう
落ち込むわが子を見ていることは、親として本当にツラいですよね。不平不満をぶつけられ続けることもツラいと思います。元気になってもらいたい、気持ちを切り替えて高校生活をエンジョイしてほしいと思うことも当然だと思います。しかし本当に今は、時間しか解決してくれる術がなさそうなのですよね。
耳に優しい言葉や甘い言葉で元気づけようとしたってきっと拒絶されるでしょうから、今は放っておいて時間薬に期待しましょう! それに、あまりアレコレすると「〇〇してあげたのに……」なんて、よくない感情が出てきてしまうこともあります。親と子、互いのためにも適度な距離を取り、時間の流れに身を任せてみてもいいのかもしれませんね。
見守る以外のサポートは?
わが子が高校生活を送るなかで、何かを見つけられるまでは、親はただひたすら見守るのみ。しかし、自分に刺さる何かをなかなか見つけられずくすぶっているようであれば、いろいろな経験や体験をさせてあげてください。映画やイベントに行ってみるとか、新しい趣味になりそうなことに誘ってみるとか、選択肢を増やしてあげるチャンスかもしれません。
学校だけが世界を広げてくれるわけではありません。もし何かを見つけられたら、そこからは全力でサポートし応援してあげたらいいんです。ぜひ検討してみてください!
文・櫻宮ヨウ 編集・荻野実紀子 イラスト・Ponko
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