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<園トラブル>【後編】園の送迎バスでドーン!?今後の対応を園に求めたら、思わぬ結果に……

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前回からの続き。もしわが子を預けている保育園や幼稚園、小学校でトラブルが起きたら……あなただったらどうしますか? しかも目撃者はまだ幼い子どもたちだけだった場合、わが子が言うことをどこまで信じますか? そして園や学校にどう対応を求めますか? 後編では、実際に幼稚園に対応を求めたママ・白井さんの体験談を紹介します。

【今回、お話を聞いたのはこちらのお二人】
真野さん……小学校中学年の娘&夫との三人暮らし。周囲に気を遣いすぎてしまいがち。
白井さん……小学校低学年の息子&夫とともに地方都市で暮らしている。マイペースな性格。

「園バスがドーンってぶつかった」って、どういうこと!?

白井さん:息子が年長のときの話なんですけど、その日、園バスの帰りは「いつもよりちょっと遅いな」くらいだったんです。お迎えの場所でのやり取りも、バスに乗っていた先生と「お待たせしました~」、「ありがとうございます~さようなら~」といつもの感じで。ところが同じバスに乗っていた女の子の一人が、夜になって「今日ね、バスがぶつかったんだよ。ドーンって」、「なんか体がちょっと痛いかも」みたいなこと言い出して……そりゃ「えっ!?」ってなりますよね。

すぐにその子のママから私に連絡が来たんです。私が息子に聞いたら「うん、ドーンってぶつかった」って。「どこどこの場所でバスがぶつかって~。うわ~ってなって~」みたいなことを言いだしたんです。

その時点で夜だったんで、もう幼稚園には連絡取れず。年長さんの言ってることって大人の感覚と違うし、先生は何も言ってなかったし、その夜は「何が起きたの?」とモヤモヤしてしまいました。

子どもの証言だけだと不安は増すばかり

もし本当に園バスが衝突事故に遭ったのなら、何事もなかったかのように「さようなら~」とはならなかったはず。けれど年長さんの言うことも無視できません。ママたちが「どういうこと?」と混乱したのは当然ですよね。

真相はわかったけれど……

白井さん:朝になって早速、私とそのママ友で「子どもがこういうことを言ってて。本当にあったんですか」って担任に聞いたんです。そしたら担任は知らなくて「確認します」と……。結局、左折するときにバスの車体が塀をこすったみたいだと報告がありました。

その事故自体は大人の間で処理すればいいことかもしれませんが、やっぱりお迎えのときに何があったか話してほしかったですね。「さっき、こういうことがありました。もしお子さんがどこか痛いって言ったら教えてください」と言ってもらえていたら、こっちだって「アクティブに動くのはちょっと控えておこうかな」とか子どもとの過ごし方が変わるし、子どもの体調に変化があったら原因の候補に入れられるじゃないですか。「そういう連携を大人同士でしなきゃいけないんじゃないか」みたいな話を担任にしたら、淡々と「そのときのバス担当の先生に伝えますんで」と言われてしまいました。その後、バスを担当していた先生からは謝罪がありました。

でも私とママ友は、バス担当の先生が動揺してたのも十分に理解できましたし……怒ってたわけじゃなかったんです。突然トラブルが起きて先生もドキドキしただろうし、本当はダメだけど「気が動転して、その後の対応をいつも通りやってしまった」みたいなことだったらしょうがないよねって。ちょうどドライバーも新しい人だったんで対応できなかったんだろうね、と。

だから「これを機に、こういうトラブルが起きたらこうするっていう、何かマニュアルみたいなのを作ったらどうですか」って担任に言ったんです。今回のことで何もしないまま、またそういうことが起きちゃって、次の先生も同じ思いをするんだったら……という気持ちがあったんですね。でも結局「すいません、すいません」で終わっちゃったんです。私たちは、謝罪を求めてわけじゃなかったんですが……。
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先生の事情も汲んでの提案だったのに……

突然イレギュラーな対応をしなくちゃいけなくなったら……先生だって完璧ではありませんから、うまくできなくても仕方ない面はありますよね。でももしマニュアルがあったら、少しは助けになったはずです。先生も得るものがある提案なのに、園には白井さんたちの意図が伝わらなかったようです。

その後も園側は何もせず……このままでいいの?

白井さん:しばらくして先生に「どうなりましたか」って聞いたら、結局何も進んでなかったんですよ。もともと私もママ友もあんまり言うタイプじゃなかったし、もう卒園間近なのにゴチャゴチャしたくないって気持ちもあったんですけど……。でもこのまま何もしなくて、次の子どもたちが同じ目に遭ったらイヤだしよくないよね、みたいになって。で、結局私が園長先生と話すことになっちゃったんです。

そもそも先生間の連携がうまくいってなくて、園長先生がよく分かってなかったんですよ。1時間ぐらい私から話して「あーそういうことがあったんですね」みたいな。

で、事情が分かったら園長が若干言い訳をしだしたんです。「でも感染症対策で大変なんでね、教職員もバタバタしててね」って言われて。私が思わず「そうですよね。バタバタして、感染症大変だから、こういう事故があっても仕方ないですよね」って言ったら、園長もハッとしたのか「いや、それは違いますよね」って言って、私も「そうですよね」って(笑)。私、何でこんなに園長と駆け引きしてるんだろうと思いましたよ(笑)。

卒業間近だからこそスルーもできたけど……

園長先生の言い訳に「そうですよね」と返した白井さん。なかなかの上級テクです(笑)。感染症対策が大変だからといって、事故が起きるのは仕方がないというのはおかしいですよね。白石さんの返答に、園長先生は自分が言っていることがブーメランで戻ってきて、「いや、これは違うな」と気付いたのでしょう。卒業間近での園への提案は「卒業前だからこそちゃんとしておきたい」、「もうすぐいなくなるからこのまま穏便に」……どちらの考え方もありでしょう。でも白井さんたちは、園に次に入ってくる子どもたちの「これからのために」を優先させたのです。

やっとマニュアル完成。しかし思わぬ結末が……

白井さん:結局、私たちが卒園ギリギリでマニュアルが完成して、みんなにも「こういうことがあって、こういうマニュアルを作りました」って報告があったんです。でもその後にバスの担当をしてた先生が辞めちゃって。責任取ってなのか理由はわからないけれど……。だから何か罪悪感があって……。子どもたちのためにって思ってやったことだけど、「自分たちがやったことって正しかったのかな」、「私の言い方が強かったのかな」とか葛藤がありました。ママ友は「ここで辞める先生だったら、多分辞めていいんだと思う」なんて言ってくれましたけど、その先生が辞めたことは自分の中でも重たかったですね。

それに結局はもともと園側のトラブル対応がしっかりされていれば、こんなことにはならなかったんですよね……。私達はただ大人の口から「こういうことがありました」って、ちゃんと聞きたかっただけ。怒ってたわけじゃないんですよ。だから切ないです。

モヤモヤが残る結末。でも“成果”も残った

先生が辞めた理由が何だったのかは分かりませんが「みんなのために」と頑張った白井さんが「自分が悪かったのか」と苦悩する、理不尽な結末になってしまいました。でも子どもたちの安全管理をより良くするためのマニュアルは、ちゃんと残りました。そこは胸を張ってほしいですね。
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子どもたちの安全を守るために、頑張るべきは誰?

人によっては「園に何も言わなければよかったのに」と思うかもしれません。しかし、もしあなたが白井さんと同じ園に子どもを通わせていたら? もしくはこれから通わせるとしたら? 同じようなトラブルが起きたとき、「前にもトラブルがあったなら、先輩ママたちも園もちゃんと対応を決めておいてくれていたらよかったのに」と思ってしまうのではないでしょうか。

そもそも子どもたちの安全は、一部の保護者や先生のみが考える問題ではないはずです。保護者同士や園全体がそれぞれ考えて、互いに連携しつつ、よりよい環境を目指すべきではないでしょうか。そのなかで、ときには地域の協力をお願いすることもあるかもしれません。子どもたちが笑顔で毎日を過ごせるように、周囲の大人たちが連携して「子どもの安全」を守っていけたらいいですよね。

インタビュー、文・千永美 編集・ここのえ イラスト・Ponko

【つぎ】の記事:<学校トラブルから親バトル!>靴が泥まみれ!?ウソでしょ、謝罪も弁償もナシなの?【第1話まんが】

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