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<かわいそうという言葉>【前編】親世代からの「子どもがかわいそう」これって善意?それとも呪縛?

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子育てをしていると、いろいろな場面で他者から「お子さんがかわいそう」って言われることはありませんか? そしてその言葉が必要以上に胸に突き刺さって、なかなか消えないことも……。今回はママたちに「かわいそう」という言葉について思いを語ってもらいました。

【今回の座談会メンバーはこちら】

田辺さん:中学生の長男、小学校中学年の次男、低学年の長女の3人きょうだいのママ。初めての中学校生活に親子でドキドキ。

石井さん:小学校中学年の女の子のママ。遠方に住む義母とはたまに会うだけだが、会ったときの圧がすごくて押され気味。

遠野さん:小学校低学年の女の子のママ。娘が幼稚園年中のときに都内から地方へ移住。夫婦ともに実家は近いが、それゆえにいろいろと言われることも……。

私は子どもにかわいそうなことをしているの?

遠野さん:「きょうだいがいないとかわいそう」とか「母乳で育てないとかわいそう」とか。言ってる方は多分、悪意はないっていうか、もう本当に会話の流れで言ってるんだけど。でも言われた方は「私、かわいそうなことしてるの?」みたいな感じで。

石井さん:やっぱり義母とか実母とかの世代って「ミルクより母乳が一番いい」って感じで……。「ミルクはかわいそう」って言われちゃうと、もう呪いのようになっちゃって。

田辺さん:わかる!

遠野さん:私自身は母乳をどうしても出したくて、できるだけミルクを減らして頻回授乳をしてたんです。娘は元々よく泣く子だったんですけど、実母が「お腹すいてるから泣いてるんじゃない? かわいそう」、「お腹すいてるから寝れないんだよ。かわいそう」みたいなことを言ってくる。「ミルクあげればいいじゃない。お腹いっぱいになったら寝るから」って言われて……。そうじゃないんだよ。私は母乳を出したいし、わかっていて頑張ってるんだからと思いつつ、一方で、この子は本当はお腹すいて眠れないって泣いてるのかなと考えはじめたら、もうなんかそれがぎゅっと来ちゃって。すごくつらかったのを覚えてますね。

田辺さん:そのときの自分にとっては譲れない方針だったんですよね。

遠野さん:そう、今は本当にミルク飲ませれば良かったって思うんだけど(笑)。

田辺さん:産んだばっかり不安いっぱいの育児のなかで「かわいそう、かわいそう」って言われるのしんどいよね。

石井さん:いっぱいいっぱいで頑張って考えてるところに、そこに対して「かわいそう」って言われるともう。

遠野さん:迷いながら育児してる部分がすごくあるからこそ、余計に「かわいそう」って言葉が残っちゃうみたいな。

田辺さん:しかも「かわいそう」の行き先が自分じゃなく子どもに向けられてるときですよね。自分に対して「かわいそう」みたいなこと言われても「でしょう?」って返せるんだけど(笑)。子どもに「かわいそう」って言われると、私が子どもに何かを強いているような。

遠野さん:そうそう。

田辺さん:「あなたがしていることは、子どもに対してかわいそうなことなんじゃない?」って言われると、「そうかあ、私はこの子に対してかわいそうなことをしているのか」って思っちゃう。

石井さん:悩みますよね。

子育てに自信がないからこそ、そのひと言が重い

とくに1人目の育児のときは、ママは何もかもが初めてで戸惑うばかり。そんなときに周りから「子どもがかわいそう」って言われてしまうと、自分に落ち度があるのではないかと思ってしまいますよね。まだ話せない赤ちゃんに「どう思う?」と確認することもできず、自分を責めてしまうママもいるのではないでしょうか。

「かわいそう」と言ったほうが立場が上?

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石井さん:あと親世代の「1歳になったらオムツを取ってあげないとかわいそう」とか。今は発達スピードは子どもそれぞれで、無理にオムツを外さなくていいっていわれると思うんですけど。そういう育児情報がアップデートできてないがゆえの「かわいそう」っていうのが……。

田辺さん:うちは「チャイルドシートかわいそう」って言われる。

遠野さん:あー。

田辺さん:赤ちゃんのときのチャイルドシートは親も必要って分かってるけど。少し大きくなってよく動き回るようになって本人が座るのを嫌がるようになると、ジュニアシートやチャイルドシートはすごく「かわいそう」って言われる。

石井さん:「窮屈でかわいそう」って言われますよね。

遠野さん:あとあれ、食物アレルギー問題!

田辺さん:ありました、ありました!

遠野さん:親が孫に勝手にいろいろ食べさせようとして、私が「それはまだちょっと早いんだよ」って言うと「かわいそうに」。

石井さん:子どもが小さいときって、まだ義両親とかに反論ができなくて。だんだんちょっとずつ、「それはちょっと、できないんで」とか言えるようなったけど。たとえば「赤ちゃんに靴下を履かせないのは体温調整するためなんです」とか、自分のなかでちゃんと理由があってやってることであれば「かわいそうに」と言われても今だったら多分言い返せると思うんだけど。

遠野さん:それでも無知な側は「裸足でかわいそう」って思っちゃうのよね。「かわいそう」っていう言葉でマウントを取っているような……。不思議だよね。知ってる側の方が上のはずなのに、育児情報を知らなくて「かわいそう」って言った方がグンと上にいるような……。「赤ちゃんのことを思って言ってる私」ポジションだからかな。

石井さん:「かわいそう」って言ってる自分が好きなんだろうなっていうのが透けて見えちゃうとね……。「私すごくいいこと言ってるでしょ」みたいな。

「かわいそう」と言ったもん勝ち?

相手が善意から言っていると分かっていても、言われた側は責められているように感じてしまう言葉「かわいそう」。とくにママパパが子どものことを思っているからこその行動を「かわいそう」と言われてしまうと、モヤモヤしてしまいますよね。「かわいそう」のひと言で立場に上下ができる……なんとも厄介です。

親世代の「かわいそう」に物申す!

田辺さん:それでも見ず知らずの第三者から言われるのはまだ流せるけど、身内からの「かわいそう」は……。

石井さん:親世代と違うことしていると「かわいそう」と言われがち。それで自分たち(親)がやってた育児どおりにスムーズにいかないと、こっち側(ママパパ側)が悪いみたいな。

遠野さん:うちは私が幼稚園だったから、娘を保育園に入れたら実母から「かわいそう」って言われた。しかも毎日泣く子だったから、「こんなに毎日毎日泣いててかわいそうだから、3歳から幼稚園でいいじゃない」って。

石井さん:親世代が子育てしてた頃って、共働きがあんまりない時代だから。

遠野さん:そうそう。私が小さい頃は周りの大人も「保育園にいるのは、お母さんが働かなきゃいけない、かわいそうな家の子」って雰囲気があったし。

石井さん:弟夫婦の子どもが7カ月のときに義妹が職場復帰したんですけど、やっぱりうちの母親は「子どもがかわいそう」と思っていて。でもそれって義妹の人生でもあるし、旦那である弟と話し合って決めたことだから。「子どもがかわいそう」って絶対にお嫁さんに言っちゃダメだよ、追い詰めちゃうよって母には言ってるんですけど。納得してないんですよ。

田辺さん:そこは「応援してあげよう」ですよね。

石井さん:でもやっぱり親世代は、それを口に出すか出さないかは別として「かわいそう」が一番に立つみたいで。孫かわいさなのかな。

田辺さん:そもそも親の子育てって、記憶が綺麗になってますよね。

石井さん、遠野さん:そうそう!(笑)。

遠野さん:大変だったことを忘れてるんだよ、絶対

田辺さん:美化されちゃってんだよね。

自分たちの理想を押し付けないで!

時代が違えば社会情勢も違うし、育児を取り巻く環境も違います。ママ世代と親世代では、育児に対する考え方も違ってきて当然です。でもそれを飛び越えてきてしまうのが「孫がかわいそう」という祖父母としての思い。善意ゆえに困ってしまいますよね。
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「かわいそう」という言葉の呪縛

田辺さん:いま予防接種って、いっぺんに複数打つことがあるじゃないですか。それが「かわいそう」って親に言われたなぁ。

遠野さん:言われる言われる!

田辺さん:いや、そこは 「頑張ったね」でいいでしょう、って思うんだけど。

石井さん:「頑張ったね」って言ってほしいですよね。

遠野さん:本当は「かわいそうなこと」ってそんなにないと思うんですよ。愛情持って育ててるわけだし。そう思いつつ、気にしすぎなのかもしれないけど「かわいそう」っていう言葉の呪縛っていうのは何かある。自分の中で消化する時間がすごくかかりますね。

田辺さん:今でも、ふと「かわいそう」って言われたときのことを思い出したりしません?

遠野さん:
するする。なんか寝る前とかに、ふと思い出すんですよね。未だに「あの頃やっぱり母乳が足りなくてお腹すいて泣いてたのかな、すごくかわいそうなことしてたのかな」って、時折ふっと。

石井さん:つらい。

遠野さん:多分「かわいそう」がついてるから記憶に残っちゃうのかな。もし「かわいそう」が付いてなくて「お腹すいてんだからミルクあげなさいよ」だけ言われたなら、言われたこっちも「もううるさいな!」、「分かってる!」だけでスルーできたのかも。どうしても「かわいそうなことをした」っていうのが残っちゃう。

田辺さん:難しいですね。

何年経ってもママたちを苦しめる記憶

自分のことを「かわいそう」と言われるのはスルーできても、子どものことを「かわいそう」と言われるとスルーできない。それは母としての愛情ゆえでしょう。そう分かっていても、他者から「かわいそう」と言われたことが心の中に重く残ってしまうのはしんどいですよね。周りは「かわいそう」という言葉よりも前向きな言葉で、ママたちを応援してほしいです。

ママたちが「かわいそう」を気にする理由

「母親になってから“かわいそう”に敏感になった気がする」という意見に、他のママたちも「確かに! 独身時代は他人から“かわいそう”って言われても“余計なお世話”くらいに思ってた」と頷きが止まらないご様子。なぜそんなに敏感になってしまうかというと、自分ではなくわが子に向かっての言葉だから。そしてわが子を通して、ママ自身が責められているように感じてしまうからでしょう。

ただ言っている方は善意で言っていたり、深い意味はなかったりする場合が多いよう。だからこそむやみに反論することもできず、モヤモヤを抱えたままになってしまいがちです。そんなママたちの気持ち、周囲の人たちにも理解してほしいですね。

後編へ続く。

インタビュー、文・千永美 編集・ここのえ イラスト・Ponko

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