<ママの働き方・正社員編>専業主婦からパート、正社員へ「働くママを応援してくれる会社」を見つけて
母として子育てをしながら仕事もがんばっているママたち。「働くママたち」に焦点を当てて、現在の仕事に就くまでの経緯や実際にどんな働き方をしているのか、子育てとの両立はどうしているのかなど、ママたちのリアルに迫ります。今仕事をしているママはもちろんのこと、今後、子どもが手を離れたら働きたいと思っているママにも役立つような情報を発信していきます。
今回登場してくれたのは、小学生のお子さんを育てながら、正社員として働くママ。専業主婦からどのように正社員になったのでしょうか?
妊娠判明後に退職、産後はIT企業の正社員に
――IT企業に勤めているということですが、どういう経緯で今の仕事に就きましたか?
私は、現在小学生の息子が1人います。実は、妊娠がわかってすぐにそのとき働いていた会社を退職したんです。出産後、1年ほどして経済的な自立を目指し、仕事を探し始めました。
とはいえ、これといったスキルも資格もない。そこでまずは一時保育などを使って子どもを預け、資格がなくても始められる保育園の補助教員の仕事を見つけて働き始めました。
――週にどのくらい働いていましたか?
週3回保育補助の仕事をして、週2回IT会社の事務の仕事をしてました。ただ当時はパソコンの使い方もわからなかったので、働きながら経験を積みました。その後、事務をやっていた会社から「正社員として働きませんか?」と声をかけてもらい、やっと生活が安定してきたんです。その会社での仕事は、お茶くみやコピーなどの雑用が多く比較的負担が少なかったんですけど、キャリアアップを目指して転職することに決めました。
履歴書を30社に送り、面接を受けたのが10社。内定をもらったのが5社。その中の1つが今の会社です。
会社を選ぶ決め手は「働くママ」を歓迎してくれたこと
――今の会社に決めた理由はなんですか?
実をいうと、今の会社から内定をいただいたとき、どうしようか迷ったんです。もう1社内定をいただいた会社が気になったためです。
そんなとき、今の会社の人事の人から「もし良かったら、今度の連休に会社見学に来ませんか? よかったらお子さんも一緒に連れてきていただいて大丈夫ですよ」と言ってくれたんです。そのときに「あ、この会社は子どものことを気にかけてくれるところなんだ」と感じました。
もう1つの決め手は、就職面接のあと面接官(今の直属の上司)がエレベーターホールまで見送りに来てくれたときに感じました。ドアが閉まった後に「彼女の入社が決まったら、うちの部署はまたママが増えるね」と笑いながら話していたのが聞こえたんです。それを聞いたとき「この会社はママが働くことを歓迎してくれているんだ」と、改めて思いました。
――仕事をするうえで、子どもがいることを歓迎してくれるかどうかというのは、大きいですね。
大きいです。いくつもの面接を受けて、常に「ママを歓迎しているかどうか」を見ていました。「私は子どもがいるんですけど」というと、相手先の企業の担当者が「あ、お子さんがいらっしゃるんですね……」というところもあれば「うちはママ大歓迎です。お子さんがいるママは責任感が強く、物事をてきぱきと進めてくれます」というところもあります。
――ママだからといって、面接のときに遠慮することはないのですね。
そうですね。面接では、企業が自分を選ぶと同時に、私も相手先の企業を見ていました。お互いに良いと思わないと、いずれズレが生じてきます。だから、とにかく面接をたくさん受けて、いろんな会社を見てみたかったんです。
小さな子どもがいると、独身の人よりも採用されにくくなることは現実あると思います。ただ面接を2、3社受けて落ちたら「自分はダメなんだ」「子どもがいるから働けない」とは、思わなくていいと思います。書類を送って面接を受けることで度胸もつくし、それもこれから働くうえでのスキルになってくるはずです。
私は、この会社に入ってはじめに営業の仕事に就きましたが、まさにあの就職面接での体験が役に立っていると思います。度胸がつきました(笑)。
ママが正社員で働くことのメリット・デメリット
――正社員として働いてよかったなと思うのはどんなところですか?
病気やケガ、家族の体調不良等で休んでも、ある程度給料の心配がないことです。パートやアルバイトは休めば給料がもらえませんが、正社員の今は有休や手当金など各種制度があるため、家計への影響を心配することなく休めます。
また失敗やミスをしたときなども、上司が適切にフォローしてくれるので、会社に守られている感じがありますね。その分迷惑をかけないように、子育て中だからといって周りに遠慮されないように、常にスキル向上を心がけています。
――逆に正社員のデメリットはありますか?
マネージメントや会議など、本来の業務以外の仕事が多いことでしょうか。当たり前なのですが勤務時間が決まっていますし、予想外の仕事が入ってしまうためになかなかスケジュールを組みづらいと感じることがあります。また給与体系も会社によって異なると思いますが、欲を言えば、スキルの習得が何かメリットになる仕組みがあればと思います。
「働くママ」を応援してくれる会社は必ずあるから諦めないで
――最後にこれを読んでいるママたちに向けてメッセージをお願いします。
いきなり正社員になるのは難しいかもしれないので、まずはパートで実績を積み、そこから正社員を目指すというのもありだと思います。
会社によっては「お子さんいるんですか……」という人もいれば、「お子さんがいる人は本当に頼りになります」というところもあります。それは一期一会なので、2、3社受けてだめだったからといってあきらめないでほしいです。
今、子どもがいてママである自分のことを受け入れてくれる会社は必ず見つかるので、20社、30社とどんどんチャレンジしてください。誰でも1つくらい得意なことはあるから、それを活かそうとしてくれる会社を見つけてください。
取材、文・長瀬由利子