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休校・休園中、子どもたちの心の中では何が起きている?専門家に聞いた「今すべき心のケア」【前編】

休校や休園中、子どもたちの心の中では何が起きている?専門家に聞いた「今すべき心のケア」【前編】
新型コロナウイルスの感染拡大によって、子どもたちの生活は一変しました。多くの子どもたちは突然休校になり、卒業、入学のイベントも例年通り行えず寂しい節目になってしまった挙句、約1ヶ月半もの間学校へ通えていません。また自由な外出もままならない状況です。終わりの見えない新型コロナウイルスとの戦いは、大人でも日々不安を募らせてしまうもの。この状況は子どもたちの心にどのような影響を与え、また親はその中でどのように対応していけばいいのでしょうか。今回は、国立研究開発法人国立成育医療研究センター こころの診療部 児童・思春期リエゾン診療科の診療部長である田中恭子医師に、いま子どもたちに必要なこと、気をつけるべきことについてお話を伺いました。
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子どもは非日常な生活やテレビのニュース映像に不安を感じやすい

――今の状況は、子どもたちにどのような影響を与えると考えられますか?

子どもたちは、毎日通うことが当たり前だった学校や幼稚園・保育園に突然通えなくなってしまいました。子どもたちにとって、今は非日常の連続です。普通であれば、お友達と会ってお喋りしたり、遊んだり、授業を受けていたりするはずなのに、それらが一切なくなってしまいました。あるべき日常が奪われた喪失感からストレスは増加し、不安も大きくなります。

――日常が奪われた以外に、子どもたちに不安やストレスを与えてしまうことはありますか?

子どもたちは、視覚的情報からとても影響を受けやすいんです。テレビや動画などの映像で見た新型コロナウイルスの怖いニュースや映像も記憶に残ります。それをきっかけに「自分や家族が感染するかもしれない」という心配や、「会えていないお友達は何をしているんだろう」という気持ちから不安が増幅してしまうことがあります。子どもはとても想像力が豊かなので、自分のことに置き換えて、より不安を感じるということがあります。

心身や行動に異変が起きたら要注意!気をつけるべき子どものストレス反応

――子どもがストレスを抱えていることを、親はどのように見極めたらいいのでしょうか。

子どものストレス反応は、大きく分けると2つあります。1つ目は心身に現れる反応です。心にストレスを抱え、頭が痛い、お腹が痛い、眠れない、皮膚が弱くなり湿疹ができるといった症状が現れることがあります。
2つ目は行動面に現れる反応です。落ち着きがなくなったり、お喋りになったり、いつもより泣いたり、大人にくっついて赤ちゃん返りのような状態になることもあります。中には夜尿がある子もいます。食欲が増えたり、ご飯を食べられなくなったりする場合は注意信号です。

――そのような症状がみられた場合は、どの程度で専門機関に相談すればいいですか?

今回のような非日常では、子どもだけでなく大人も含めて誰でも不安になり恐怖心を感じます。今はストレス反応が出ていたとしても、慌てる必要はありません。「この子だけじゃなく、みんなそうなんだ」と思ってください。ただ中でも見逃してはいけない危険なサインがあります。1番危険なサインは自傷行為です。自分の体を傷つけたり、また他者を傷つける暴力、物を壊す器物破損が頻繁に起きる場合は、保護者の方だけで悩まず病院や専門機関へ相談してほしいと思います。それ以外の症状に関しては、2週間以上続くようであれば、一度専門機関に相談してみるのもいいでしょう。今は病院もなかなか受診できないので、まずは各自治体にある公的な相談窓口などの電話相談を利用してください。

大切なケアは「正しい説明」「安心と安全の保証」「お母さんの自信」

――子どもがストレスを抱えこみ過ぎないために、親がいま何をすべきなのでしょうか?

今回のことでトラウマや心の深い傷にならないよう予防をするためにすべきことが2つあります。これからご説明するケアをぜひご家庭で行ってください。
1つ目は非日常がなぜ起こっているのか、なぜ学校や幼稚園、保育園に行けないのかを子どもがわかりやすい方法で教えてあげてください。情報をごまかさず、正直に説明してください。そして、学校や幼稚園、保育園に行けないのは、誰かがあなたを困らせようとか意地悪しようとして起きていることではないということを伝えてあげましょう。学校や幼稚園、保育園は「3つの密」に該当する場所で危険だから、大人や国がみんなのことを考えてお休みにしたのだということ、あなたの命を守るための休園・休校だとしっかり説明してください。

――現状を隠さずにしっかり伝えて正しく理解してもらうことが大事なんですね。

とても大事です。そして2つ目は隠さずに説明をしたあとに「安心と安全の保証」をしてあげること。まず意識してほしいのが、いつも通りのリズムで生活をすることです。学校がお休みだからといって特別なリズムにしないこと。朝起きる時間や食事の時間、勉強の時間、寝る時間、非日常の中でも今まで通りの習慣を維持することを心がけましょう。
また子ども自身で安全を確保できる方法を教えてあげてください。例えば「手洗いは20秒間しっかりと手首まで洗う」とか「咳エチケット」「3つの密を避けること」。また定期的な換気をすることなども。新型コロナウイルスから守る術を知り、行動することで「自分も大切な家族も守ることができるんだ」という気持ちになり、子ども自身で安全を確保できるようになります。

――しっかり現状を把握し行動することが、子どもたちの安心につながるのですね。

本当は子どもたちにとっては、お母さんが1番の安全基地なんです。何か特別なケアをしなくてもお母さん自身が安全そのものなんです。だからお母さんご自身が安全を確保し安心して、どんな状況でも大丈夫だと自信を持っていれば、子どもたちも安心できるんですよ。

家でできる子どものストレス解消法

――外出自粛生活の中で、子どものストレス発散におすすめの方法があれば教えてください。

YouTubeなどで配信されている体操やストレッチなどおすすめです。家のテーブルでできる卓球や、お家でできるエクササイズなどもいいですね。できるだけ身体を動かしてください。またお絵かきや日記を書くことや、レジンやプラバンなど、集中してできる手作業もいいですね。没頭できる時間がストレス解消に繋がります。

――親子の時間も増えるので、親がサポートしたほうがいいことはありますか?

先日病院に来たお子さんは、ママと一緒にお料理をしたと楽しそうに話してくれました。その子はすごく美味しかったと言って満足そうでした。安全が確保できる範囲で家事を子どもに役割として与えてみてください。家事を手伝ってもらって、いっぱい褒めてあげることで子どもの自己肯定力が高まります。せっかくの機会なので、できる限りお子さんにできることはやってもらって褒めて、自信をつけてあげましょう。

大人でも戸惑ってしまうような日々の中、子どもが感じているストレスや不安は計り知れないものがあるではないか、と心配しているママは多いと思います。田中先生が教えてくださったストレス反応、最近のお子さんの様子に当てはまるものはありましたか? この状況ではストレスを感じて当たり前。大事なのはストレスを感じていることを理解して、心の傷にならないようケアしていくこと。その方法を知ったことはママたちにとって安心になったのではないでしょうか。
なぜ非日常が続いているのかを年齢にあった伝え方で話し聞かせて、子どもたちの安全な生活を守ってあげてくださいね。後半は子どもだけではなく、ママやパパに必要なケアについて、田中先生のお話をご紹介します。

文・鈴木じゅん子 編集・木村泉 イラスト・Ponko

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