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痒くてつらい子どものアトピー……植物の力を使った手軽なケアとは?【植物療法士・森田敦子先生】

※2019年12月時点の情報です。


「植物療法は医療や薬を否定しているのではなく、協力しあって治癒を目指すものです」

そう語るのは、植物療法士の森田敦子先生です。森田先生は植物や薬草の力を使って人の健康に役立てる「植物薬理学」をフランスの国立大学で修めらました。日本に帰国後は病院に勤務したり、産婦人科学会に参加するなど植物を通して日本の医療に関わっておられます。女優の小雪さんの第3子妊娠・出産に際してもサポートされた経験があります。

2019年9月27日、食を通じて健康や美をサポートするオーガニックイベント「BIOPLE FES」にて、森田先生は「アトピー」についてお話されました。
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植物療法を試すにしてもステロイドは勝手にやめてはいけない

――子どもがアトピーで痒くてつらい思いをしていると、ママとしては心が痛いものですね。

森田先生:そうですよね。アトピーの子どもを持つママにとっては、子どもがかゆがってかきむしって泣いたり血だらけになったりすることが一番の心の負担なんですよね。アトピーのケアは子ども自身のケアも大切だけれど、ママが悩みすぎるのも良くないことですね。 

――アトピーが治らないと、治療薬であるステロイドをやめられません。

森田先生:ステロイドは急にやめてはダメなんです。急にやめてしまうとアトピーはひどくなってしまいます。植物療法は病院や薬を否定するものではなく、協力しあって治癒を目指すものです。植物療法的なアプローチをしながら肌の保湿力を高め、それとともに少しずつステロイドを減らしていくことは不可能ではありません。

もちろんステロイドを減らすときは事前にお医者さんに相談することが必要です。ステロイドを徐々にやめていきながら血流をよくしたり免疫力を高めるアプローチをしつつ、植物療法で肌の保湿力を高めることになります。

子どものアレルギーに対して家庭でもできる植物療法的アプローチとは

――アトピーの子どもを持つママが家庭でできるケアにはどんなものがありますか?

森田先生:口に入るものを変えることもポイントのひとつです。発酵させた赤味噌、八丁味噌は身体の細胞を活性化し、アレルゲンを寄せ付けないような身体づくりをサポートしてくれる作用があります。

ビタミンとミネラルを多めに摂ることもポイントになります。特にアトピーの人は肌の修復などにビタミンCを健康な人より多く消費するんです。でもビタミンCだけ摂ってもダメで、同時にビタミンEも摂ることが必要です。ビタミンCやビタミンEを日常的に簡単に補給するには緑茶(*1)がおすすめです。

アトピーの人に不足しているとされるヘム鉄(*2)と亜鉛(*3)も積極的に摂ってもらいたいですね。ヘム鉄と亜鉛は同時に摂ることで効率よく身体に吸収されていきます。

■編集部注
(*1) せん茶100gあたり約260mgのビタミンCと、約68mgのビタミンEが含まれています。

(*2)鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄は主に動物性の食品に多く含まれる成分です。ヘム鉄が多く含まれる素材は鶏レバーや牡蠣、牛肉があります。
(参考:鉄 | 海外の情報 | 医療関係者の方へ | 「統合医療」情報発信サイト 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業
(*3)亜鉛を多く含む素材には、牡蠣、チーズ、豚レバー、牛肉などがあります。
(参考:「健康食品」の安全性・有効性情報〔国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所〕「健康食品」の安全性・有効性情報)

――お菓子に関してはどうでしょうか?

搔かないようにするためにはアトピーの治療をする間、精白した砂糖を使ったお菓子などもいったんやめたほうがいいですね。今は精白した砂糖の代わりに、黒砂糖を使ったものやハチミツを使ったお菓子も販売されています。あとは添加物をできるだけ取り除いてあげることです。

――野菜に関しては何かありますか?

アトピーの人は一度加熱した野菜を摂ることをおすすめします。温かいスープやお味噌汁を飲むといいですね。生野菜やスムージーを摂るなら、その前に身体を中から温めてくれる白湯を飲んでからにしましょう。白湯で身体の状態を整えてから他の食べ物を入れてあげるといいですよ。ドレッシングは手作りするといいですね。

お風呂はぬるめの「よもぎ湯」で掻かないようにする

――口に入れるもの以外で気を付けることはありますか?

森田先生:アトピーの人は熱いお風呂は避けたほうがいいですね。よもぎ1つかみと水を鍋に入れて10分ほど煮だし、その煮汁を38℃くらいのぬるめのお風呂にいれてよもぎ湯にしましょう。よもぎ湯につかることでよもぎの抗炎症作用の働きを肌から取り入れることができます。

よもぎの煮汁をスプレーするのも同じように、掻くことを減らす効果が期待できます。搔くのを減らすことで肌のターンオーバーを助けてあげられるようになりますよ。

煮汁をよもぎ茶として飲むこともできます。甘みが欲しいときはハチミツなどで調整してくださいね。

編集部注:1歳未満の子どもにはハチミツを与えないようにしましょう。
(参考:厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」)

 

アトピーを抱える子を持つママにとって、子どもが肌を掻きむしる姿は心痛むことでしょう。お医者さんと相談しつつ、よもぎ湯など手軽に試すことができるケアから初めてみてはいかがでしょうか?

取材、文・しのむ イラスト・あい

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