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女の子が性被害に遭わないために、ママが子どもに伝えられることは?

女の子のママは、ニュースなどで性犯罪の報道を目にするたびに不安になるのではないでしょうか。我が子を守るためにできること、それこそが性教育の要ともなってくるかもしれません。
女の子が性被害にあわないためにはどのようなことを伝えたらいいか、『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』の著者であり、性教育アドバイザーで元泌尿器科看護師である、のじまなみさんにお話を伺いました。

のじまなみ

露出の多い服が引き起こす性被害

――女の子の洋服は、最近はすごくかわいいものや露出の多いものとかありますよね。洋服と性被害が結びつくことはありますか?

あります。肩が出ているような服や、襟や脇ぐりが大きく開いたような服を着ているのに、キャミソール1枚も身につけない無防備な子が多くいるのです。乳首が丸見えになっているような子や、あまりにも過度に露出が多いと男性の注目も集まり、盗撮被害にあう危険性を否定できません。
露出が多すぎる服を避けるように伝えたり、胸がふくらみ始めたら『二重下着をつけようね』と話したりしてみてください。自分の体は大切で、人には見せてはいけない部分があるんだよということを教えてあげることは、盗撮などの性的な被害を起こさせない観点でもすごく大事です。
女の子が性被害にあわないために

二重下着、スポーツブラ、ジュニアブラ……知っておきたい女の子の下着事情

――子ども自身が「ブラジャーをつけたくない」と言ったとき、どういう声かけをすればいいですか?
今も昔も、女の子たちは輪の中で生きているんです。だから人と違うことをすることを極端に嫌がるんですよ。1人で別行動するのが嫌だという子も多いです。

うちの娘はみんなよりも生理が早く来たんです。それはつまり体の成長が早いってことです。だけど周りのお友だちは、まだブラジャーも二重下着すらつけない時期だったので、1人だけブラジャーをつけることをすごく嫌がりました。今はスポーツブラをつけているのですが、私がそろそろジュニアブラにしなさいといっても、まだ周りがスポーツブラだから嫌だと言っています。

――「二重下着」というのはどのようなものですか?
下着の胸の部分が二重になっている、胸元だけに裏地がついているのがそうですね。ユニクロのブラトップみたいなカップ付きのものもあります。ブラトップまではいかなくても二重下着にするだけで、乳首が擦れてヒリヒリするのを防いだり、乳首が目立つのを防いでくれます。ですからまずは二重下着から始めるといいですね。

二重下着から使いはじめて、スポーツブラに移行していき、ジュニアブラというのが大体の流れです。生理が始まって2~3年もしたら高性能なジュニアブラを使うのがいいと思いますけど、娘はまだ嫌だと言っています。

――嫌がった場合はどうしたらいいですか?
嫌がって下着をつけたくないというときは、お友だちと一緒に買いに行くというのが一番の解決策ですね。女の子には「誰々ちゃんと一緒だよ」という言葉はすごく効果があるんです。「ママが連れてってあげるから、お友だちも一緒に買いに行こう!」って。お友だちのお子さんのママにも話して、一緒に買ってみんなで同じものをつけると抵抗なく使えるようです。

女の子への性教育、どのようなことから始めるといい?

――性教育は早ければ早いほど子どもに話しやすくなるとのことですが、何歳ぐらいから始めればいいですか?
私は3歳頃から始めてもいいと思っています。正直な話、0歳からでもいいのです。皆さん、何から伝えるのという話になるので、まずは「女の子・男の子の体ってどんなもの?」といった体つきのことから、「あなたの体は素晴らしい体なんだよ」と自分の体を肯定的にとらえる価値観をはぐくみ、そしてそのあと、人と違っていいんだよということ、その両方の意識を伝えることがすごく大事ではないかと思います。

――身構えてしまい、子どもに話すときの雰囲気なども考えてしまいます。
性の話はとかく難しく考えがちなので、明るく普通の日常の会話の中に組み込めたらすごくやりやすいのに!と私は常日頃思っています。そんなに堅苦しく考えなくても、ママが自分の価値観を伝えるだけでいい。大きくなった女の子に対してだったら「体を大事にしてほしいな」とか「簡単に男の子に体を許すような人にはなってほしくないな」とか、「大好きな人に出会えるといいね」とか。

――性交渉以外の話もすればいいんですね。

そうですね。お父さんお母さんの馴れ初めを話してみたりとか、出産のエピソードを話してみたりとか、生理の話、体の話、あと防犯の話など、話すことはいっぱいあるんですよ。

――普段から構えることなく、話しやすい雰囲気を作ることが大事なんですね。

そうです。ママたちが普段から性に対するアンテナを広げておいて話をしていれば、子どもたちも色んな話をしてくれるようになるのです。「中学校で性教育があったよ」そんな話も私の娘は先日教えてくれました。

――それは理想的ですね。

ママが恥ずかしがらずにいろいろな話を子どもたちにしていれば、子どもたちからも話してくれるようになりますよ。

多感な時期の娘とパパの関係性

――家庭の中で一番近くにいる異性「パパ」との関わりで気をつけることはありますか?
女の子のパパとの関係性
ママが男の子と一緒にお風呂に入るのは遅くとも4年生ぐらいまでにしたほうがいいのですが、その逆の女の子もパパと一緒にお風呂に入るのは4年生ぐらいまでで終わりにしたほうがいいですね。うちも「パパと一緒にお風呂に入るのは4年生の終わりまで」と話していました。そうしなければならない大きな理由に、男性に対する「恥じらい」がうまれないということがあるのです。

――異性に対しての恥じらいがうまれないとどのような問題がありますか?

いつまでもパパとお風呂に入っていると、服の下にキャミソールなどを着なくても平気だとか、異性に大切な部分を触られても平気とか思ってしまう可能性があります。だから自分の中の守るべき大事な価値観や、恥ずかしいと感じる部分があるということ、そのような価値観を植え付けるためにも、パパを異性として見るということはとても大切です。

パパ自身の意識改革もママの役割。女の子を女性として扱う大切さを知ってもらおう

――パパだけじゃなく、ママも4年生ぐらいの子どもの前でお風呂上がりに裸でウロウロするのもよくないということですよね?
基本的にはよくないです。うちではパパにも隠しなさいと言っています。「娘ももう中学生だから、大人も水着ゾーンは隠しましょう」、「もう子どもたちに見せていいものじゃないんだよ」と夫婦で話しています。

――4年生を超える年齢になると、娘でもレディとして扱いなさいとおっしゃられてますよね。生理のことも含めてデリカシーのないことをパパが言わないことも大切ですか?
そうですね。余計なことはいわないようにとパパにはそっと言っておきました。生理が始まる時期は子どももすごく敏感な時期じゃないですか。女の子にとっては自分の体が変わっていくということは恐怖なんですよね。そんな時期にパパからなんやかんやと言われることを、この世代の女の子はすごく嫌がるんです。体の成長は素晴らしいことだから、「おめでとう」と一言だけでいいんじゃないかと思っています。

――パパにも性教育に参加してもらわなくていいのでしょうか?

パパを無理やり性教育に巻き込まなくていいと思います。性教育が当たり前にできる家庭環境を作っていけばいいだけであって、率先してパパに関わりを持ってくださいというのは実際問題、難しいことが多いんです。もちろん、積極的に関わってくれるパパならぜひ参加してもらいましょう! でも過度な期待は禁物です。なぜならパパ自身がママ以上に性教育を教えてもらっていないからです。

私の周りを見ても、ママが意を決して性教育を始めようとするときに、パパに出鼻をくじかれるというケースが残念ながら多々あります。性教育の是非をめぐって夫婦関係を悪化させては本末転倒ですので、パパにはそこまで求めなくていいと思います。まずはママだけで十分。どちらかというと、そうすることで性教育は学校だけで十分だと考えているパパの価値観をママが変えてあげられるかもしれません。

ママと娘、同じ女性であっても性教育というのは敷居が高いような気がするかもしれませんが、同じ女性だからこそ伝えておかなければならないことがあるはずです。あまり堅苦しく考えず、オープンな親子関係を築いていけるといいですね。

取材・編集部 文・櫻宮ヨウ 編集・山内ウェンディ イラスト・ももいろななえ

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