聴覚の発達のピークは早い!?絶対音感を身につけるなら「3歳まで」が重要
子どもに「絶対音感」を身につけさせたいと思っているママはいませんか? 3,000人以上の幼児から聞き取り調査をして「鬼頭流 絶対音感メソッド」を確立した鬼頭敬子さんによると、「絶対音感」は決して特別な才能ではなく、どんな子どもでも身につけられる能力だと言います。しかし音を聴き分ける力には子どもの脳の発達が関わっているため、絶対音感を身につける上では年齢がとても重要なカギになるのだそう。鬼頭敬子さんにその理由を伺いました。
赤ちゃんは聴覚を頼りにさまざまなことを知る
人間の脳内では五感、つまり聴覚・嗅覚・味覚・触覚・視覚がつながっています。そのうち”音を聴く”聴覚はほかの感覚よりも早く発達します。生まれてすぐの赤ちゃんはあまり視覚が発達しておらず、視力が0.1以下で焦点も合わないため、お母さんの顔もぼんやりとしか見えていません。ですから赤ちゃんは、ほかの感覚に先駆けて発達した聴覚を頼りに、さまざまなことを知っていきます。
大人でも、音の正体が分からないときには不安になるものです。胎内にいた赤ちゃんにとって、産まれてきた外の世界は知らない音ばかりで不安がいっぱいです。そんなとき胎内でずっと聞いていたお母さんの声が聞こえたら、どんなに安心できることでしょうか。
お母さんの声を覚えてもらうためにも、お腹の赤ちゃんには話しかけたり、絵本を読んだり歌を歌ったりして、お母さんの声をたくさん聞かせておきましょう。赤ちゃんとのコミュニケーションも取れるようになり、絆が深まります。
脳が急激に発達する「3歳まで」は、聴き取る能力が高い
子どもが1歳以降になると視覚も発達し、言葉を話すようになることで、だんだん聴覚に頼らなくても良くなります。それに伴い「聴き分ける力」が下がっていくようです。これは3歳までに脳の80%が完成し、使わない能力の間引きが行われていくからかもしれません。
教室で「絶対音感」のレッスンを習っている2歳と5歳のお子さんに、英語を聞かせて発音をしてもらうと、2歳のお子さんの方がネイティブに近い発音をします。これは音を純粋にそのまま聴き分ける能力があったり、その音を真似て同じ音を出せるというだけではありません。それを同じ音だと認識できる能力、「聴き取る能力」が高いのです。脳が急激に発達する3歳までの方が、質の高い「絶対音感」の能力を育てられるのです。
7歳までに子どもの耳は決まる。発達がピークを迎える「臨界期」
聴覚は発達が早い一方で、能力を伸ばせる期間もほかの感覚より早く終わりがやってきます。この終わりの時期を「臨界期」と言います。もちろん「絶対音感」にも臨界期があります。聴覚が発達のピークを迎える6~7歳です。
「鬼頭流 絶対音感メソッド」では、どんなお子さんでも「絶対音感」を身につけられるようになりました。しかしこのすばらしい能力は脳の発達と関係が深いため、身につけられるのはおよそ6歳まで。楽器を習っているなどで、音に触れて慣れているお子さんでも、ギリギリ7歳までというところなのです。
子どもの能力の幅を広げたいと思ったら、早期教育であれこれやらせるよりも、まずは聴覚を鍛える「絶対音感」のレッスンに取り組むのが近道といえるでしょう。
取材、文・井伊テレ子 編集・山内ウェンディ