「みんなできたのに私だけできなかった!」5歳娘が初めて流した悔し涙
5歳の娘が通うスイミングでは毎月進級テストがあります。
通い始めた3歳の頃は、「テスト」や「合格、不合格」の意味を理解しておらず、合格してワッペンをコーチにもらう度「こんなのもらった」と不思議そうにするだけ。私も「水嫌いを克服できたらいいな」程度で始めたので、テストに重点はおいていませんでした。
しかし年齢と級が進むにつれてテストの意味を理解し始め、合格しなかった日は残念そうにすることも。スイミングでのお友達も増え、友達が進級したり不合格になったりする様子も刺激になっていたようです。
ママ「一週間、毎日プールに行くんだよ。がんばれる?」
娘「うん! がんばる! 上手になりたい!」
そんなにやる気があるのならと夫とも相談して初めて特訓に申し込むことにしました。
少人数制でいつもより丁寧に教えてくれる特訓に娘は毎日大満足。「今日もコーチに褒められたよ」とレッスンが終わる度に嬉しそう。子どもなりにできないことができるようになる実感もあったようです。娘の充実した様子に申し込んで良かったなと思っていました。
しかし……。
テストが始まると娘はガラス越しにチラチラ私を見ます。「がんばって!」「だいじょうぶ!」と口パクで伝えるも不安げな娘。私も気持ちが張り詰めます。いざ娘の番が来ましたが、笛がなってもスタートができません。
「どうした? 緊張してる? あ、きっと気持ちが折れているんだわ……」と私が思ったと同時に娘が泣き始めてしまいました。コーチが必死になだめ、なんとかスタートを切りましたが、やはり途中で立ってしまい不合格……。
泣きながらプールから出てきました。「大丈夫だよ、頑張った頑張った。また次合格できるよ」と必死になだめるも泣き止まない娘。コーチからのフォローも聞こうとしません。
家に帰って少し落ち着いた様子の娘でしたが、また思い出して泣き始めます。
もともと色んなことを感じやすい娘ではありましたが、ここまで気持ちが爆発するのは稀なこと。こちらも戸惑いながらも、気のすむまで気持ちを吐き出させようと腹をくくりました。案の定、ひとしきり泣いて話をさせると落ち着きを取り戻してきました。
聞けば、仲良しのお友達はみんな合格したのに、自分だけ置いていかれたのが一番嫌だったようです。娘の前では冷静さを保っていましたが、泣いてしまうほどの緊張感や友達に負けて「悔しい」という感情が芽生えたことに驚いたと同時に成長を感じて嬉しくもありました。
またじっくり話を聞いて気づいたことは、まだ語彙が少ないゆえ「緊張する」「悔しい」「注意(指導)される」という娘にとって不快な感情は全て「イヤ」という一言に集約されてしまうことです。
「それはコーチに叱られたんじゃなくて、長女ちゃんが上手になるように教えてくれたんだよ」というように、一つずつ紐解き、説明してあげる作業が必要でした。
いつもなら泣き叫ぶ娘に「もういいよ」と頭ごなしに否定してしまうこともありましたが、普段と違う娘の様子に、娘の気持ちに共感する大切さを再確認し、軽い気持ちで参加した夏の特訓は、私たち親子にとって大きな成長の機会となりました。
娘、夏を越えて一回り成長したように思います。前より積極的にスイミングに取り組むようになり、次のテストでは無事合格をつかんだのでした。
脚本・rollingdell イラスト・イチエ