幼稚園に行きたくない娘 猫と一緒に行くと言い出した #うちの猫ちょこくんシリーズ<第15話>
娘うっちゃんは3歳になり、この春幼稚園に入園しました。猫のちょこくんは13歳、ある春の朝のおはなしです。
入園式が終わり、数日は通園バスに乗り込むとき緊張した顔をしつつも、嫌がらず行っていたうっちゃんでしたが……
月曜日から金曜日まで毎日幼稚園に通うことをだんだん分かり始めた2週目くらいから、幼稚園に行きたくないと泣き出すようになりました。
うっちゃんをなだめながら寝かしつけ、翌朝はお弁当を作り身支度を整えて……家を出る頃にはママもぐったり。泣き叫ぶうっちゃんを抱っこしながら、半ば無理やり通園バスに乗せる日がしばらく続きました。
毎日ママやちょこくんとのんびり過ごしていた子が幼稚園に通うというのは、子どもにとって大きな変化です。幼稚園に行けば、自分でトイレに行ったり、こぼさないように気をつけながらお昼ごはんを食べたり。今まではママがそばで手伝っていたことも、幼稚園では自分一人の力で頑張らないといけません。
毎日泣くうっちゃんの姿を見ているのは、つらいものがありました。でもママ自身も幼いときにそうだったように、だんだん集団生活に慣れて、少しずつ成長していくんだ、と自分に言い聞かせていました。
ある朝、うっちゃんは「ちょこくんと一緒に幼稚園に行きたい」と言い出しました。
ちょこくんが一緒だったら寂しくないと。うっちゃんも頑張れると……
もちろんちょこくんと幼稚園に一緒に行くことはできません。ママは「ちょこくんと一緒に幼稚園には行けないんだよ」と教えると、ますます幼稚園に行きたくないとヒートアップ。一方でちょこくんは……マイペースに寝ていました(笑)。
通園バスが来る時間が迫り、身支度が整わない状態で追い詰められたママは、ある作り話を始めました。
自分ひとりが幼稚園に行って、ママやちょこくんと離れて寂しい気持ちでいっぱいだったうっちゃんでしたが、近くに猫さん幼稚園があって、大好きなちょこくんがそこにいると思うだけで心強かったのかもしれません。
ママがピンチに追い込まれて咄嗟に作ったお話でしたが、うっちゃんは幼稚園にいくときはちょこくんに「ちょこくんも気をつけて幼稚園に行ってね~」と言って家を出るようになりました。
その後、入園して4か月。幼稚園で仲良しのお友達ができたり、優しい先生とお話ししたりと、幼稚園に慣れてきました。
そんなちょこくんは3年ぶりの静かな日中を満喫して、穏やかによく寝ています(笑)
脚本・横内みか イラスト・んぎまむ