妊娠がしやすくなるために「ピル」を使用!生理と妊娠の関係性とは
昔の女性に比べて初潮が早くなり、出産回数が減った現代の女性たち。毎月の排卵で卵巣が傷つき、その結果卵子が老化して妊娠しづらくなっているといいます。「疲れ切った卵巣を救うには低用量ピルを飲むこと」とは、新宿区にある杉山産婦人科理事長、杉山力一先生。詳しくお話を伺いました。
生理と妊娠の関係性は?
――妊娠しやすさは、生理が始まる年齢と関係していますか?
関係していますが、昔と比べて生理が始まる年齢はだいたい3歳くらいしか違いはありません。昔は14歳くらいで初潮を迎えることが多かったと思いますが、最近は発達がいいので10歳ぐらいです。毎月の排卵で卵巣が傷つき、その結果卵子が老化しやすく、妊娠しにくいのです。高校生になって初潮を迎えるとなったらそれは相当遅いですが、10歳で生理がくるよりも15歳で生理がきた方が卵巣の状態は若いのです。
――毎月、生理で排卵するたびに卵巣は傷ついているというのは、本当ですか?
本当です。人間が年齢とともに老化していくように、排卵することによって、卵子の数が減り、少しずつ老化していくのです。
――逆に排卵させなかったら?
極端な話、ずっと排卵しないように、ピルを飲み続けていると多少はいいかもしれません。それでも卵巣が30歳という年齢は変わりませんよ。
子どもを産む前に卵巣は疲れている!?
――ピルはずっと飲んでいたほうがいいですか?
低用量ピルはずっと飲んでいたほうがいいですね。飲んでいれば、飲んでいなかった人に比べて、同じ30歳になったときに卵子の状態、卵巣の機能がいい状態の人が多いです。ピルを飲んでいるときは、体が妊娠しているのと同じです。まったく同じではないですが、ピルを飲んでいるから排卵しません。無排卵で生理が起こる状態なのです。
ピルを飲んでいない30歳と、ピルを飲んでいる30歳を比較したら、ピルを飲んでいたほうが卵巣の機能がいい状態を保てるので妊娠しやすいと思います。
次の出産まで時期をあけたいならピルを飲む
――たとえば1人目を産んでから、「2人目はまだいいや」というママもピルを飲んだほうがいいですか?
そうですね。次の妊娠までに3年ほどあくのならそうした方がいいと思います。1年くらいなら飲まなくてもいいかなとは思います。ピルを飲むことで排卵しなくなるから卵巣を休ませることになります。卵巣を休ませることは有益です。
だからといって、ピルを飲めば年齢が上がっても妊娠しやすいままでいられるということではありません。なにもしないよりかは、ピルを飲んたほうがいい。その程度です。
生理にまつわる女性の体のトラブルは「ピル」で解消できる
――不正出血、生理痛など、生理にまつわる女性の体のトラブルはいろいろありますよね。
それはピルで全部解消できます。
――ピルを飲むのは避妊のためだけではないのですか?
ピルを飲む目的は排卵を止めることです。すべてのトラブルの原因は排卵によるものです。排卵が狂うから出血があったり、生理がくるのが遅くなったり早くなったりするわけです。ピルを飲んでいるときは排卵が起きないし、ピルを飲むのをやめたら生理がきます。生理痛も軽くなります。
――ピルをやめたら前と同じ状態になるのでは?
多少改善している場合もあるし、数カ月たったらまた戻る場合もあります。でも、それは元の状態に戻るだけです。
不正出血が続く場合はポリープや子宮筋腫の可能性あり
――出血があった場合、病院を受診した方がいいですか?
何度も不正出血があるなら、一度病院にいったほうがいいです。子宮の中にポリープとか子宮筋腫があるなどの可能性もあります。それは検診したらわかります。たまに出血があるという場合は、ホルモンバランスの乱れかもしれません。1年に1回は検診にいったほうがいいですね。
――「なかなか生理が来ない」という場合もあると思います。どのくらいの間こなかったら病院にいったほうがいいですか?
医学的な根拠があるわけではありませんが、生理不順の人の場合は半年こなかったら一度病院にいくことをおすすめします。逆に毎月生理が来ているという人の場合は、3カ月来なかったら病院にいったほうがいいです。なぜなら、妊娠している可能性があるからです。
取材・編集部 文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ イラスト・天城ヨリ子