悪い言葉ばかり覚えてくる息子 心に響いた園長先生の言葉
どう注意しても直ることはなく、義母にまで「最近息子くんは、言葉遣いが悪いわね~。お友達が悪いのかしら?」なんて言われる始末……。
みかねた私は、園長先生に相談してみました。すると返ってきたのは「なるほど」と思わせてくれる返答でした。
園長先生「悪い言葉をいっぱい覚えてくる? そうね~、世界が広がればいろいろなことを吸収するから、当たり前じゃない?」
私「でも……言葉遣いって大切じゃないですか? あまり悪い言葉は覚えて欲しくなくて……。汚い言葉をいくら注意しても治らないんです」
園長先生「でもねお母さん、子どもって‟悪い言葉”だけじゃなくて‟良い言葉”もたくさん外の世界で覚えてきているのよ? むしろ数としては悪い言葉より多いんじゃないかしら?」
私:「え……? でも、そんな風には全然見えないのですが……」
私「じゃぁ、悪い言葉との付き合い方って……?」
園長先生「まず、くだらない下ネタ系は全部無視ね(笑)。あれは言った時の反応をみて楽しんでいるだけだから。徹底的に無視してれば、そのうち飽きるわよ。
あとは人を傷つける言葉。これはしっかり声のトーンを変えて説明する必要があります。『気軽に言って良い言葉』であるのか、そうでないのか。言われた人がどういう気持ちになるのか、どういうときに使うべきなのか。まぁ大抵使って良いときなんてないんだけどね(笑)。そういうことを話し合う良い機会になるじゃない。
『悪いこと』『覚えてほしくないこと』なんて、これからもっとたくさん出てくるわよ~!
その度に『またこんな言葉覚えて……。誰が教えたのかしら?』『この子にこんなモノ与えて……まったく』なんて周りのせいにするのではなくて、『またひとつ子どもが勉強になれて良かったわ』くらいに思わなくちゃね」
息子の悪い言葉が増えてきて不安になっていた私の心が、少し救われた瞬間でした。良くないものに触れることを負に思うのではなく、そういうときこそ息子が成長するチャンスなんだとプラスに考えてやっていこうと思います。
脚本・渡辺多絵 イラスト・イチエ