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「楽しかった思い出」が時限爆弾のように花開く。将来へ繋げる「幼児期の体験」とは【衆議院議員・下村博文】

幼児期の体験
「幼児期の体験が大人になってから花開く」という言葉を聞いたことがあるママもいるかもしれません。しかし、どんな体験をさせたらいいのでしょうか? 「公園に咲く梅の花を嗅がせるだけでもいいし、美術館に行くのもいいですよ」と話すのは、元文部科学大臣で、教育再生大臣を兼任した下村博文先生。幼児期の体験について、詳しくお話を伺いました。

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幼児期の体験は、大人になって花開く

今、子どもを育てるお母さんに「これだけは伝えたい」という言葉があります。それは井上靖の小説『しろばんば』(新潮社)という物語の中に出てくる話です。

「子どもの頃は時限爆弾を抱えているようなもので、その時は何の反応もないし、何も変化は起きないかもしれない。だけど、10年、20年とたったときに、子どもの頃の体験がいきてくる」

という話がありました。

たとえば、今のこの時代でいえば、子どもに梅の花をかがせることかもしれません。「梅の花がきれいに咲いているね。とってもいい香りがするね」と声をかけてあげることで、子どもは梅の花の香りをかごうとします。もしくは、梅の花の香りをかがせても、まだ幼くて何の反応もないかもしれません。

しかし、その高貴でかぐわしい香りは、なんとなく子どもの記憶に残るものなのです。梅の花の香りがずっと頭に残っていて、10年20年たったとき、初めて梅の花の香りの良さがわかるようになるのです。それは幼児体験が繋がっているのです。

美術館や図書館で過ごした時間が「楽しい記憶」になる

家族で出かけるとき、子どもの好きなところに連れて行ってあげるのもいいかもしれません。しかし美術館や図書館などに行くことも大切です。「きれいな絵だね。どんな絵が好き?」「いろんな絵本があるね。これは動物の出てくるお話だね」と、美術館や図書館を訪れて絵を見たり、本を読んだりする体験をさせることは、子どもたちにとって非常にいい経験になるのです。たとえ、絵や本に特別な興味関心を示さなくても、美術館や図書館は、子どもにとっては「お父さんやお母さんと一緒に来た楽しい場所」として記憶されるのです。

公共の施設を何度も訪れ、親子で「対話と振り返り」を大切にする

「幼児期にいろんな体験をさせることが、将来につながる」といっても、なにも特別な場所に連れて行かなくても大丈夫です。今お話ししたように、美術館、図書館を始め、科学館や博物館など、公共の施設はたくさんあります。親子で何度も訪れて、子どもに色々な体験をさせてあげてください。

そのときに注意してほしいのは、ただ連れて行くだけではなく、子どもとの対話を大切にすること。「どんなところが好きだった?」「不思議だなと思ったことはある?」など、子どもに質問したり感想を聞くなどして、親子で一緒にその日の体験を振り返ってみてください。たったそれだけで、子どもの記憶にはより深く残るものです。

成長するにつれて「お父さんとお母さんと訪れて楽しかった思い出」が、徐々に興味へと変わり、時限爆弾のように花開き、興味関心へと移っていくのです。一緒にいられる時間が長い幼児期こそ、親子で一緒にいろんなことを体験してみてください。

取材、文・長瀬由利子 編集・北川麻耶

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