子どもの英語教育、親がサポートできることとは?外国人と上手にコミュニケーションを取るために
将来の選択肢を増やすために、英語などの外国語を子どもに習わせたいと考えるママやパパは多いですよね。現在、小学5年生から必修化されている英語は、2020年度から小学3年生からとなることが決まっていて、英語学習に関する意識がますます高まっています。
2020年の東京オリンピックで多くの外国人観光客が来日することを想定して、外国語を学ぼうとする大人も増えつつある中、『世界をもてなす語学ボランティア入門』(朝日出版社)の発売記念として、株式会社イーオンがセミナーを開催。経験豊富な方々から、教科書には載っていない外国人と上手に付き合うヒントや英語との付き合い方などを聞いてきました。
外国人とのコミュニケーション、コレでなんとかなる!
外国人観光客が増えている最近では、国内の大きい都市や駅ではもちろんのこと、観光名所で多くの外国人を目にしますよね。外国人観光客が日本に詳しいガイドを見つけることができる「TOKYO FREE GUIDE」は、観光客のニーズに合わせてガイドが一緒に観光地を案内してくれるとあって、多くの外国人に認知されています。
ガイド経験が豊富な理事長の川本佐奈恵さんは、外国人と付き合う上で一番大切なことを教えてくれました。
「一番大事なのは笑顔です。目と目が合えばニコッとする。緊張していると笑顔って出ませんよね。笑顔で近づいてきてくれると、それだけで安心しませんか? 笑顔は人を安心させる作用があるんですね」
また英語が通じない観光客には、ジェスチャーで乗り切ることもあるのだとか。伝えたいことはジェスチャーでも伝わるので、言葉ができなくても大丈夫なのだそうです。海外の方は会話の中で名前を呼びかけてくれることが多く、川本さん自身も相手の名前を会話の中で呼びかけることを心がけているようです。
笑顔、ジェスチャー、そして相手の名前を呼びかけること。相手が外国人だから、自分は英語ができないから、そんな理由で目を伏せてしまう方もいるかもしれませんが、まずは目を合わせてニコっと笑うことからコミュニケーションが始まるのもしれませんね。
あなたも聞かれるかも? 外国人が興味のあること
次に登壇したのはインターカルト日本語学校の校長、加藤早苗さん。面白いアンケート結果や外国人が興味のあることを教えてくれました。事前に知っておけば、パニックにならずに済むかもしれません。
意外!外国人に今、人気のある場所
今外国人に人気のある場所は、1位は京都府にある伏見稲荷大社、2位、3位は広島の平和祈念資料館や宮島だそうですが、5位には京都にあるサムライ剣舞シアター、9位は東京都千代田区にある「アキバフクロウ」というカフェ、27位には新宿区にある「サムライミュージアム」なのだそう。海外ではCMなどにサムライを使うことが多く、日本といえばサムライと結びつくようです。
外国人がぜひやってみたいと思う日本の日常
秋葉原にある学校には、さまざまな国から日本語を学びに外国の方が来ていますが、日本に来たら「コタツに入ってみかんを食べたい」という学生が多いのだとか。日本の漫画やアニメの中で見るシーンをぜひやってみたいと思うそうです。日本のカルチャーが世界に広がっていることが分かりますね。
外国人が疑問に思う日本のあんなこと
日本にいる外国の学生たちが疑問に思うことも紹介してくれました。「日本の女子高生は寒い冬なのに短いスカートを履くのはなぜ?」「ベビーカーに犬を乗せている人は、イタリアにはいないけど……」「お店でコンセントを勝手に使ってはいけないのはなぜ?」などなど……外国ではお店などのコンセントを勝手に使う人が圧倒的に多いのだそうですよ。そして「落とした財布やお金が、交番から連絡が来て出てくることが不思議」という疑問も。日本人がとても親切だということが分かる疑問です。
実際は会話であまり聞かれないこと
外国の方と話すとき、神社仏閣についてや富士山の高さなどはガイドブックに書いてあるので聞かれることはほとんどないそうです。逆に、このような日常生活に関する質問を楽しみながら答えられると、外国人と話すことを楽しめるそうですよ。
子どもが英語を学ぶ上で親ができることとは?
最後に登壇したのは、リオオリンピックで語学ボランティアとして活躍された新条正恵さん。なんと彼女は8カ国語を操るマルチリンガルなんです。
どのような子ども時代を送ったらそんなに外国語に堪能な人になれるのか聞いてみると、英語の勉強を始めたのは、なんと中学校からとのこと!
関西出身の新条さんは、子どもの頃から近所に住む外国人の方に「Hello!」と言ったり、国内外から多くの人が訪れる観光名所・奈良公園で外国人に話しかけたりしていたそうです。大学時代にはアメリカの大学に行き、さまざまな国の留学生同士で遊んでいるうちに、いろんな言葉を学んだのだそう。
幼い頃から特別な勉強をしてきたというわけではなく、自然と外国人と触れ合ってきた新条さん。子どもに英語を学ばせる上で、親ができることはどんなことなのでしょうか?
「子どもって同じ人間だなって分かれば大丈夫だと思うんですね。外国人っていう特別なカテゴリーじゃなくて、同じ人間で、ただ話している言葉がちょっと違うだけって分かれば笑顔だけで通じることもあるので、そういう機会をたくさん作ってあげればいいんじゃないかなって思います」
外国語を習得するのには、単に早くから英才教育をすればいいということではなく、外国の方と触れあう機会を作って、楽しいと思える経験があることが大事なんですね。
人生の初めに出会った英語が楽しいどうかが大切だとイーオンの三宅社長もおっしゃいます。
「英語は勉強しないと忘れます。社会に出てからも自分で勉強するために、英語が好きで英語を学ぶと楽しい、という英語に対するワクワク感を小さいときにしっかり持っていただくといいですね。親御さんは英語の授業があったときに、なに習ったの? なに覚えたの? などと聞くのではなく、英語は楽しかった? と聞くことが大事です」
英語は難しいけど我慢して勉強するもの……と叩き込まれたママ世代も多いかもしれません。子どもにはぜひ、英語は楽しいことや外国語が話せると世界が広がることを伝えていきたいですね。
今後さらにグローバル化する世界で生きていく子どもたち。外国人も同じ人間同士と考え、たとえ語学力がなくても笑顔で話しかけたり、ジェスチャーで想いを伝えたりする前向きな姿勢も育みたいものです。
取材、文・山内ウェンディ