長期化する新型コロナウイルス対策、子どもたちのケアは大丈夫?【熊谷俊人千葉県知事・第3回】
前回からの続き。学校での新型コロナウイルス感染症対策について、少しずつ緩和される動きが出ています。千葉県では、2022年12月より給食の黙食について見直す動きも。同時にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどを増員し、子どもたちの心のケアにも力を入れています。熊谷俊人千葉県知事にお話を伺いました。
見逃してはいけない子どもたちの心のケア
――新型コロナウイルス感染対策が継続されるなか、千葉県では子どもたちの心のケアにも取り組まれているそうですね。
熊谷俊人千葉県知事(以下、熊谷知事):感染症対策によって給食の時間は黙食になり、運動会や遠足などの学校イベントは縮小。給食での黙食は、徐々に見直す学校も出てきましたが、継続する学校もあります。全体的に、友だちとの会話や遊びを通じてのコミュニケーションがとりづらくなっていることから、ケアが必要な子どもたちも出てきています。そのため子どもたちの変化にいち早く気づけるように、スクールカウンセラーを大幅に増員し、子どもたちの心のケアに当たってもらうことにしました。学校で気づいたことがあれば、家庭と学校、地域と連携しながら問題解決にあたっていきます。
――それらの対策を行った結果、「変わってきたな」と実感したことはありますか?
熊谷知事:スクールカウンセラーとともに、いじめや不登校、虐待などの対応に当たるスクールソーシャルワーカーを増員したことで、いままで気づかなかった課題に気づきやすくなってきました。実際に、解決したという報告もあります。子どもたちだけじゃなく、教師もスクールカウンセラーに早めに相談できるようになったこともよかったです。
コロナ対策は継続したほうがいい?見直すべき?
――保護者からはどんな意見がありますか?
熊谷知事:新型コロナウイルス感染症対策については、いろいろな声がありますね。たとえば、これまで千葉県では黙食を推奨してきました。しかし現在は学校給食におけるガイドラインを訂正し、各小学校や中学校に対して「黙食の見直し」を依頼しました。
それに対して「感染症対策が十分なのか」という声もあれば、「子どもたちが制限のあるなかで学校生活を送るのは問題だから、早く以前のような学校生活を取り戻してほしい」という声もあります。私はどちらの声も重要だと思っています。そのなかで、なにが子どもたちにとってベストなのかを考えながら対応しているところです。
――保護者の声は、どのようにして熊谷知事のところへ届きますか?
熊谷知事:いろいろなルートがありますが、子育て中のママやパパたちの声は、X(旧Twitter)やインスタグラム、LINEなどのSNSからよく届きます。ほかにも、対面やオンラインツールなどを使ってできるだけ市民の方々と対話するようにしています。
大自然とアクセスの良さから千葉県へ移住するファミリーが増加
――現在、これを読んでいるママやパパたちのなかには、千葉県にお住いの方、移住を考えている方もいます。千葉ならではの子育ての利点はなんですか?
熊谷知事:私の生まれは奈良県で、父親の転勤に伴い大阪府堺市、千葉県浦安市、兵庫県神戸市、東京都など、いろいろ地域を転々としてきました。千葉県に住み2人の子どもを育てて思うのは、千葉県は子育てに向いている県だなということです。たとえば、千葉県はすぐに東京にも行けますし、成田空港から海外にもアクセスできます。海や山に囲まれていることから、海の幸・山の幸が同時に味わえます。地産地消にも力を入れているので、採れたての野菜などが食べられ、子どもたちは野菜好きになりました。
自然の豊かさに触れさせられる千葉県で子育てをして、本当によかったと感じています。コロナ禍になったことをきっかけに、千葉県に移住して子育てする家族も非常に増えてきました。便利で都会的な生活もでき、同時に豊かな大自然の中でしかできない経験をさせてあげられるのが千葉県の魅力じゃないかなと思います。
大変なことも楽しいこともあるのが子育て
――最後に、子育て中のママ・パパへ向けて、熊谷県知事からメッセージをいただけますか?
熊谷知事:私も2人の子どもの子育てに関わってきて、大変なことも楽しいこともたくさん経験しました。子どもの夜泣きで眠れない日もありましたが、今思い出すと大変だけど楽しい時間もたくさんあったなと懐かしく思います。今子育て真っ最中のママやパパも大変なことはいろいろあると思いますが、この国で子育てするのをぜひ楽しんでいただきたいですね。ママやパパたちが子育てを楽しめるよう、我々行政もしっかりと支援をしていきたいと考えています。
取材、文・長瀬由利子 編集・荻野実紀子 イラスト・Ponko