<外資系企業の働き方>給与はいいの?聞きにくいけどちょっと気になる、リアルなお金事情【ドーモ 川崎友和さん・第1回】
「子どもが生まれて転職を考えている」「育児が一段落したら再び働きたい」と考えるママたち。選択肢のひとつとして外資系企業を考えてみるのはいかがでしょうか? 今回は、外資系企業の日本法人ドーモ株式会社プレジデント ジャパンカントリーマネージャーの川崎友和さんにお話を伺いました。日本企業と外資系企業の働き方の違いや家族に対する考え方など、全6回にわたり、みなさまにお届けします。第1回目では、ちょっと聞きづらいけど気になる「お金」について。外資系企業は賃金が高いって本当?
年功序列の日本企業、能力主義の外資系企業
――川崎さんが思う日本と海外の働き方の違いについて教えていただけますか?
川崎友和さん(以下、川崎さん):実は私、外資系企業の日本法人勤務経験は長いのですが、海外で働いた経験はないんです。ですから、外国の方たちと日本人の方たち両方の働き方をみてきました。
私が思う、日本企業と外資系企業の一番大きな差は、チャンスの回数です。日本企業は、年功序列のところがまだまだ多いと感じています。たまにパフォーマーと言われるような、若くして大きな成果を出す人以外は、基本的には横並びの評価になる傾向が強い印象ですね。
一方で外資系企業は完全能力主義のため、年齢よりも、今この瞬間に何を成したかが大きく評価されます。そのため同じ会社、同じチームであっても、給与にはかなりの個人差がでます。裏を返すと自分が正しくパフォーマンスを出せば、正しく評価されるということです。
ナンバーワン営業マンなのに手当は「プラス3万円」?
――外資系企業と日本企業で、賃金の差を感じたことはありますか?
川崎さん:以前、小学校時代の同級生と再会し、仕事の話をしていたんです。彼は非常に優秀な営業マンで、聞けば東京エリアで売上がナンバーワンだったとか。「それは相当稼いだね!」と彼に言ったんですけど、彼は「いや、社長賞もらっただけ」と言うんです。「社長賞? それっていくらもらえるの?」と聞いたら、なんと「3万円」だと。「それって仕事を頑張る原動力になる?」という話をしたんです。
つまり、どんなにハイパフォーマーであっても彼の会社ではプラス3万円しかもらえないわけです。これはもちろんあくまでも1つの例ですが、日本企業の場合は往々にして、結果よりも年齢や勤続年数を重視する傾向があると感じます。しかも、そこで働いている人たちも「そんなものだ」と状況を受け入れているんですよね。
外資系企業なら、結果を出せばポジションや賃金が上がったり、ボーナスでまとまった額を受け取ったりすることは多いと思います。
人事評価は賃金にリンクしているため、役職が上がらない限り賃金もあがらない、という状況になりますよね。外資系は実力さえあればポジションは上がるし、当然賃金もあがります。外資系企業に感じるやりがいの大きな部分です。
ゲームのように挑戦し続けることで仕事が楽しくなっていく
――その後、同級生の方はどうなったのでしょうか?
川崎さん:彼はその後、外資系企業に転職しました。やはりお金は、モチベーションコントロールをするうえでの重要な手段となりますから。
いかにスピード感を持って仕事に取り組み、高い結果を出し、インセンティブ(歩合)を受け取れるか。ゲームのようにしてやることによって、仕事の楽しさを持続することにもつながります。これをゲーミフィケーションといいます。「仕事だから」と思ってやっていると行き詰まるときもありますよね。だけどゲームのように自分自身で課題を設定し、それをクリアして、最終的にラスボスを倒す! とやっていけば、仕事も楽しめるようになると思います。
チャレンジし続けることで次のチャンスをつかめる
――ほかにはどんな違いがありますか?
川崎さん:日本企業の場合は、やると言ったことができなかったとしても「これはみんなの責任だよね」といって責任の所在をあいまいにする。だけど外資系企業の場合は、やると宣言したら結果を出すだけ。もし結果が出せなければ失敗したということで、会社に残る余地はあるのか……。もしなければ退社という形になります。
――結果を出さなければいけないというプレッシャーは大きそうですね。
川崎さん:仕事はリスクがあってもチャレンジすることで、次につながることも多いと思います。そのため日本企業に比べ、外資系企業のほうが転職回数は多くなるかもしれませんね。
結果をだせなければ改善して結果を出すか、職場を去る
――結果を出せない人は早々に切る、みたいなことはありますか?
川崎さん:そこはもう明確にあります。昔からよく言われていますけど、外資系企業って年俸制のスポーツ選手みたいな世界なんです。活躍した結果で年間契約する。「目標を達成しない人はすぐに解雇になるの?」といえば、そういうわけでもないのですが。
――結果を出せなかった場合はどうなりますか?
川崎さん:まず「今のあなたに足りていない部分はここです」というのをマネージャーと一緒に書き出します。そしてそれを一定期間の中で解決できるように取り組む。それでもだめだったら職場を去ることになるでしょうね。ただ企業側がクビにするというよりも、自らが「結果を出せず、すみません」といって去っていく場合の方が多いと思います。
こう話すと「外資系企業は厳しい世界だから自分には向かない」と思う人もいるかもしれませんね。だけど「常に自分で課題を見つけて挑戦する」ことを大事にしていくと、自分の能力のスキルアップにもつながります。それによって思わぬ能力や才能が発揮される場面もでてくるのではないでしょうか。
今回は賃金や働き方について、外資系企業と日本企業の違いをお話しました。スキルアップを目指している方や仕事にやりがいを感じたい方は、これをきっかけにぜひ外資系企業にも目を向けてみてください。
取材、文・長瀬由利子 編集・荻野実紀子