<親の発達障害>大学受験の合理的配慮、申請は難しい?親の困りごとの解決法【発達障害は個性なの?】
「発達障害は個性なの?」答えはYesでもありNoでもあり、どちらでもない可能性があります。困りごとがあればそれは「個性」という言葉では片付けられないし、困っていないのであればそれは「個性」なのかもしれません。
この記事では、発達障害の子育てをするなかで見えてきた、さまざまな悩みや問題・対処法などについて紹介していきます。今回のテーマは「大学受験の合理的配慮、申請時の親の困りごと」についてです。
難しくないけれど難しかった合理的配慮の申請
発達障害に限らず、さまざまな障害をもつ子どもたちが、健常者と同様のチャンスを獲得するために、個々にあった適切な調整や変更を行う「合理的配慮」。たとえば睡眠障害を持つ子どもが授業中に寝てしまったら起こしてもらったり、学校からの連絡をうまく親に伝えられない場合に先生に声掛けしていただいたり。子どもの特性に合わせて、いろいろ配慮をしてもらえます。筆者の子どもは、耳の感覚過敏「聴覚過敏」を抑えるためにイヤーマフをし、文章の読み飛ばしを防ぐためにリーディングルーラーを使用しています。
さらに将来を決める大きな一歩となる「大学受験」でも、合理的配慮を申請することが可能です。大学入試共通テストや各志望大学への受験時の合理的配慮申請は、保護者がすべて行う場合もあれば、学校などと連携し作業を進めるケースもあります。保護者が介入せずに、学校やかかりつけ医と生徒自身で書類作成から申請まで行うことも可能です。
筆者の場合は、事前に通っている高校から「申請などはご自身でお願いします」と言われていたため、自分で書類作成から申請までをおこなうこととなりました。しかしこの合理的配慮の申請書類、とにかく文字が多いんです。
筆者は大量の文字を一度に読んだり、難しい文章を読み解いたりすることが非常に苦手です。単語の読み飛ばしや読み間違いは日常茶飯事。診断を受けていませんが生きづらさを感じることが多く、いわゆる発達障害の「グレーゾーン」という状態ではないかと思っています。なぜ発達障害の診断を受けていないか、その理由については別の記事でお伝えしたいと思います。
申請は協力者がいると負担が軽減する
さて合理的配慮の申請。終えてみるとさほど難しくなかったと思うのですが、書類作成時にはさまざまな焦りが襲ってくるため、かなりのストレスを感じました。目の前にあるのは子どもの将来がかかった大切な書類。落ち着こうとすればするほど間違えてはいけないという焦りが出てしまい、頭が真っ白になってパニックになることもありました。
そのようなとき筆者を助けてくれたのは、思い切って問い合わせをした大学入試センターのスタッフの方や、子どもが志望した大学のスタッフの方たちでした。焦って何度も「これで大丈夫です」と口走ってしまう筆者に、「焦らなくていいですよ、ひとつずつ確実に確認していきましょう」と穏やかな口調で言っていただけたとき、電話口で泣きそうになるのを必死でこらえたこともあります。
その後筆者は電話や相談をするときは、必ず最初に「子どもだけでなく私も発達障害の特性があるので、理解が難しいんです」と正直にお伝えするようにしていました。みなさんお忙しいにもかかわらず、丁寧に対応してくださりたくさん助けていただけたおかげで、無事、申請を終えられたのです。そしてわが子は無事共通テストでの合理的配慮が許可されました。
「助けて」と声を上げられれば協力者はいる
発達障害をもつ子どものお世話をしていたり、自身が発達障害による困りごとを抱えていたりすると、「他人に迷惑をかけてはいけない」と思いこんでしまう人が多いと聞きます。筆者も実際そうでした。しかし世界はそれほど冷たいものでもなく、「助けて」と声を上げられれば道が切り開けることもあるのだと思い知らされたのです。
わからないことはとにかく調べて、わからなければ誰かに聞いてかまわないんです。もし筆者と同じように難しい文章を読むのが苦手だったり、発達障害の診断が出ていたりする場合、可能であればどなたかに協力してもらいながら書類の準備を進めることをオススメします。
大学受験に対する合理的配慮の申請は大変な作業です。しかし決して乗り越えられない壁ではありません。自分が苦労した先に、子どもが少しでもいい状況・環境で大学受験に挑めるのだと思えば、ママのその頑張りはきっと報われると思います。筆者や同じ状況のママたちと一緒にがんばりましょうね。
文・櫻宮ヨウ 編集・しらたまよ イラスト・Ponko