【後編】ひな祭りのお祝いをしない母「私の家はよそと違うんだ……」その数年後……聞かされた真実
前回からの続き。「おばあちゃんが原因でひな祭りが祝えなかった」と言われた私。母の話によると、ひな祭りだけではなくお宮参りも七五三もできなかったと言います。母の話はこうでした。
物心ついたころから祖母の信仰が生活の傍らにあった母。成長するにつれ、宗教に対して疑問に思うことも度々あったようですが、生活に大きな支障もなかったため、言われるがままだったと言います。それらの禁止制限は宗教の教えというよりは、祖母の信仰心からくる独断のようでした。祖母の呪縛のようなものから行事を祝うことができなかったというのです。その話を聞いたとき、確か私は高校生でした。
「そんな理由で……」と驚きはしましたが口には出しませんでした。
「そうだったんだね」で話は終わったように記憶しています。
そして……。
「私には何もしてくれなかったのに何でだろう?」と思いましたが、「ひ孫にまで高齢になった祖母があれこれ言うことはなさそうだし、何より孫がかわいいのかな」くらいに思っていました。 私はというと、自分が行事をしてもらえずに寂しい思いをしたこともあって、自分の子どもにはすべてやっています。行事に対して厚い信心があるというよりは、子どもの成長を願うイベントのような気持ちでやっています。何より子どもの喜ぶ顔をみるのが嬉しくてたまりません。私の子の七五三写真を嬉しそうに眺める母に、思わずこう聞いてみました。
母に「ひな祭りを祝ってくれよう」という想いがあったことを嬉しく思いました。
いくつになっても、親の思いはありがたく、またその気持ちが形になると嬉しいものだとしみじみ思っています。
脚本・rollingdell 作画・松本うち 編集・荻野実紀子
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