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子育て応援ナビや産後支援などで妊娠・出産・子育てをサポート【東京・新宿区】

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乳幼児健診や予防接種、パパママ講座や地域のお祭り情報などを定期的に配信するスマートフォン専用アプリ「しんじゅく子育て応援ナビ」や、地域の先輩ママやパパがボランティアとして家庭訪問をする「家庭訪問型子育て支援ホームスタート」、出産後に育児や家事の支援を必要とする家庭にヘルパーを派遣する「産後支援」など、積極的に子育てのママたちをサポートする新宿区。支援策の具体的な内容について、吉住健一区長にお話を伺いました。

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新宿区で子育てするママに役立つアプリ「しんじゅく子育て応援ナビ」

――新宿区では、「しんじゅく子育て応援ナビ」というスマートフォン専用アプリがありますよね?

吉住区長:出産や子育てに関する情報をスマホに届けるサービスです。お子さんの誕生日、または出産予定日とお住いの郵便番号を入れるだけで、乳幼児健診や予防接種、パパママ講座や地域のお祭り情報などを定期的に配信しています。(2018年9月現在登録者数:2,861件)

また、授乳やおむつ替えのスペース、「赤ちゃん連れでも大丈夫」というお店やメニュー、公共施設の情報も見られます。

安心して出産・子育てを「ゆりかご・しんじゅく」

――出産・子育て応援事業として実施されている「ゆりかご・しんじゅく」とは、どのようなものですか?

吉住区長:保健師など専門スタッフが妊娠期のママと面談して、妊娠中や産後に必要な情報を届け、後日ゆりかご応援ギフトとして、1万円相当の「こども商品券(トイカード)」をお渡ししています。「新宿区として、妊娠・出産・子育てを応援します」という気持ちが込められています。

――新宿区といえば、核家族も多いのでは?
吉住区長:近くに頼れる家族がいればまだしも、核家族ともなれば、初めての妊娠で不安やストレスを感じる方も多いと思います。人によってはまだ母親になる準備ができていなくて、戸惑うこともあるでしょう。

うちの妻も初めての妊娠の際は、分からないことだらけで、妻のお母さんからのアドバイスに助けてもらったことも多くありました。
妊娠期のお母さん方に保健師など専門知識を持ったスタッフと話をしていただくことで、出産への気持ちもずいぶんやわらぐと思います。
また、お母さんとの面談で聞き取りする中で、出産・子育てを行ううえでの養育環境の不安などをあらかじめ把握することができますので、必要な支援につなげ、継続して関わることができます。妻が大変な思いをしたからこそ、妊婦の段階から色々な不安に応えてくれる保健師など専門知識を持ったスタッフと接する機会、きっかけを作ることの必要性を感じています。

夜間でも急病のときに病院を受診できる

――小児医療について、どのようなサポートがありますか?

吉住区長:国立国際医療研究センター病院で「しんじゅく平日・土曜日夜間子ども診療室」という、小児夜間診療を行っています。月曜から金曜は19時~22時、土曜日は18時~22時まで受診できます。

――子どもは夕方から夜にかけて発熱することもあるので、助かりますね。

吉住区長:うちも、子どもが夜中に発疹ができたときは、病院に行くべきか朝まで待つべきか迷ったことがあります。もし、夜間に救急病院で治療を受けた場合、診療費は無料でも、時間外選定療養費というお金が8,000円~10,000円程度かかります。

手取り20万円くらいの家庭だったら1回8,000円は負担になりますよね。お金がかかるからと受診を控えてしまう家庭があるといけないと思い、それで医師会の先生たちと相談して、国立国際医療研究センター病院で小児夜間診療を始めたのです。昨年度までは、月曜から金曜日でしたが、今年度から土曜日の夜間診療も始めました。小児科医の確保といった課題もありますが、今後、日曜日の夜間診療も検討していきたいと考えています。

買い物依頼や子どもの世話もOK。ママたちに役立つ育児支援は?

――産後の育児支援にはどのようなものがありますか?

吉住区長:赤ちゃんが生まれたら、助産師、保健師が家庭に訪問する「すくすく赤ちゃん訪問」があります。ほかにも妊娠中や子育て中にかけて、地域の先輩ママやパパがボランティアとして家庭訪問をする「家庭訪問型子育て支援ホームスタート」、出産後に育児や家事の支援を必要とする家庭にヘルパーを派遣する「産後支援」なども役立ちます。

――産後は睡眠不足になったり、兄弟がいる場合は上の子のケアなど、なにかと大変です。実際にどんなサポートをしてもらえますか?

吉住区長:たとえば、お母さんに変わって買い物に行ったり、お子さんを連れて公園や病院に行ったり、食事の支度をお願いすることもできますよ。どんなサポートが必要かは家庭によって違うので、子育て支援センターに問い合わせしてみてください。週1回、2時間程度ですが、区内在住の妊婦さん、未就学児のお子さんがいる家庭なら、費用は1時間1,000円です。
「産後支援」では、沐浴やおむつ交換などの育児のお手伝いや掃除・洗濯・買い物等の家事一般、兄弟の通園の送迎などを行います。出産後、お子さんの1歳の誕生日の前日まで延べ30時間利用可能で、費用は1時間1,000円です。詳しくは、子ども総合センターにお問い合わせいただければと思います。

ほかにも、子育ての援助を受けたい人、行いたい人がそれぞれ会員となり、通常の預かり保育や病児、病後児預かりを行う「ファミリーサポート事業」や、保護者の方の出産や入院、出張や保育疲れなどでお困りのときに泊りでお子さんを預かる「子どもショートステイ」、17時~22時の間利用できる「トワイライトステイ」、参加者同士で子どもを預け合う一時預かり「ゆったりーの」なども実施しています。

お祭りやウォーキング、デイキャンプなど。子どもを通して世代間交流

――地域の人たちがサポートしてくれると心強いですね。

吉住区長:今はタワーマンションなどが増えて、住民同士の交流が希薄になりつつあります。そんな中で子どもを通して、親世代、祖父母世代が交流できるといいなと思い、新宿区としても事業をサポートしています。お祭りやウォーキング、どじょうつかみ、デイキャンプなど地域交流ができるイベントがいろいろありますよ。

私も、ずっと新宿区で育ってきてこの地域の方々にお世話になってきました。歌舞伎町や都庁付近で鬼ごっこしたり、木の枝を拾ってきて新聞紙を丸めて野球をしたり、地域のお祭りに参加したりと、楽しい思い出がいっぱいあります。

いま新宿区で暮らしている子どもたちにも、そんな楽しい地域の思い出を作ってあげられたらいいなと思っています。そして子どもたちが成長したら、またこの街に住んで、次の世代のために活動していく。世代を超えてつながる架け橋となれたら嬉しいですね。

新宿区に末永く住んでほしい。子育て世帯に役立つ住宅補助は?

――新宿区では、住宅補助などの支援はありますか?

吉住区長:多世代近居同居助成と次世代育成転居助成・民間賃貸住宅家賃助成があります。多世代近居同居助成は、区内で親と近居または同居を始める場合、初期費用として単身世帯上限10万円、複数世帯上限20万円を助成する制度です。子育て中は親の手助けがあると助かるし、また親の介護となったときも、そばに住んでいたらお互いに助かりますよね。

――ほかに、子育て世帯への住居サポートはありますか?

吉住区長:次世代育成転居助成は、子育て世帯が新宿区内で引っ越しをする場合、転居前後の家賃差額上昇分と、引っ越し代の一部を助成するものです。年3回募集があるので、必要な方は新宿区までご応募ください。また、民間賃貸住宅家賃助成は、民間賃貸住宅にお住いの子育て世帯を対象に月額上限3万円の家賃助成をする制度で、年1回募集しています。

世界135の国や地域の人が集合。新宿区ならではの国際教育とは

――2020年には、東京オリンピック、パラリンピックに向けて、学校における教育活動を教えてください。

吉住区長:東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会に参加予定国の言語、文化、歴史やスポーツを学ぶとてもいい機会です。そのため新宿区の区立小・中・特別支援学校(小学校29校、中学校10校、特別支援学校1校)では、グループごとに分けられた5つの国や地域について調べて、その国の文化を体験する授業を実施しています。

新宿区は様々な国の人たちが集まっていて、住民票を見るだけでも国や地域は135もあります。バラエティーに富んだ街です。

――情報を調べるだけじゃなく、直接その国の人と会って話したり、レストランで食事をしたりと、リアルな体験をすることで、より興味を持てそうですね。

吉住区長:ほかにも小・中学校でそれぞれ、英語キャンプというものをやっていて、長野県にある新宿区の教育施設を使って英語だけで生活するということもやっています。その英語キャンプを体験した子どもたちにハーフマラソンに大会ボランティアとして参加してもらったり、東京オリンピック・パラリンピックの観光ボランティアの体験等ができないかということを協議したりしています。

せっかくの機会なので、競技を観るだけではなくどうやったら子どもたちを参加させられるかを小・中のPTA連合体の方たちと打ち合わせをしています。国や東京都、組織委員会にお願いに行くなど、自主的な取り組みをしています。

心配なこと、知りたいことがあれば気軽に連絡を

――最後に、ママたちへのメッセージをお願いします。

吉住区長:妊娠中や産後の赤ちゃんやお母さん自身のケアなどわからないこと、何か迷うことがあれば、経験の豊富な保健師などの専門スタッフがたくさんおります。連絡先などは、スマホでも簡単に見つけられると思いますので、お気軽にお問い合わせください。
また外国籍の子どもの就学ケアなども充実しているので、こちらも合わせてご利用ください。

取材、文・長瀬由利子 編集・北川麻耶

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