物語から子どものケンカの解決法を学べる絵本『ごめんね ともだち』#ママの悩みに寄り添う絵本
子どもの頃は些細なことがきっかけで、お友達とのトラブルで手を出してしまったり、ひどいことを口にしてしまったりすることもあるでしょう。そして「ごめんなさい」のひと言がなかなか言えずにいることも……。わが子がお友達に悪いことや痛いことをしてしまった場合、ママは「ごめんなさい」の気持ちをきちんと伝えてほしいと思うことはありませんか?
わが子は家では、だいたい上の子と下の子の2人で遊んでいます。使いたいおもちゃや読みたい本が一緒だと、ときどきけんかになることも。やるつもりではなくても手があたってしまったり、ひどいことを口にしてしまったりしてもすぐに謝れずに困っていることがあります。あまりにひどいことになったときは私が双方の話や気持ちを聞いて解決策を一緒に考えるのですが、下の子は自分の非を認めるのが苦手です。どうにか自分で解決できる術をわが子が導き出せるようになれたらと思っていたとき、出会った1冊が絵本『ごめんね ともだち』でした。
絵本『ごめんね ともだち』はどんな絵本?
『おれ、オオカミ。おれのにがてなことば、しってるか?
ごめんね、ごめん、ごめんなさい……
むずかしいんだ。
こころのなかならかんたんなのに、
そのかんたんがなぜだかいえない。わかるか?
このくるしいきもち。
だれかたすけて。
おれがごめんていえるように!』
絵本の表紙にはオオカミの気持ちが綴られています。謝りたいと心では分かっていても、いざ言葉にするとなると「ごめんなさい」が言えないことって大人でもありますよね。
オオカミは友達のキツネとダーツやけん玉、トランプで勝負しますが大負けしてしまいました。悔しくなったオオカミはキツネがいんちきをしていないことをわかっていたのに、つい「いんちきは、このうちからでていけ!」とキツネに言い放ってしまうのです。ひどいことを言われたキツネは、土砂降りの雨の中を飛び出していってしまいます。
次の日もそのまた次の日も道や野原ですれ違うキツネに謝る機会はあったのに、オオカミは謝れませんでした。そして3日目にいつも遊んでいた大きな木を背にオオカミは寂しさを感じ、キツネはこらえきれずに涙。するとキツネの涙が下を歩いていたアリの上に落ちてしまい、アリがずぶ濡れに。すかさずキツネがアリに「ごめんなさい」と謝ると、オオカミはキツネがアリに謝ったとはつゆ知らず自分に謝ってくれたのだと思い、自分もキツネに「ごめんなさい」と伝えられたのでした。仲直りしたオオカミとキツネは、その後一緒に遊んで楽しく過ごしたのでした。
お友達に伝えられない!自分で解決できずに困っているわが子と読んだ1冊
絵本の読み聞かせをした後、お友達の私物が下の子の持ち物に紛れ込んでしまったことがありました。すぐに返すように伝えましたが自分が取ってきたわけではなかったので、どう返せばいいのかわからず困っていました。しばらく様子を見ていましたがわが子が1人で解決するのが難しそうだったので、担任の先生にお友達とわが子の間に入ってもらうことに。私はわが子に「オオカミくんみたいに謝りにくい気持ちもあるかもしれないけど、ごめんねの気持ちを伝えたら今までよりも仲良くできるかもしれないよ?」と伝えて送り出しました。わが子は先生の仲介のおかげでお友達に「すぐに渡せなくてごめんね」と伝えて、お友達の私物を返すことができたそうで私もホッとしたのを覚えています。
私はわが子に予期せぬできごとがあって謝らなければならない場合でも、なるべく早めに「ごめんなさい」の気持ちを伝えられた方が自分も辛い気持ちのまま過ごさなくて良いのでは? と伝えています。今後も誰かともめたりけんかをしたりしてしまうことがあるかもしれません。わが子が謝れずに困っているようなら今回のお友達とのエピソードを乗り越えられた勇気を称え、絵本『ごめんね ともだち』の物語をもう一度伝えて解決策を一緒に考えながら見守っていこうと思います。
【ライターが考えるオススメ年齢】
3歳〜
子どもたちが話せるようになって、お友達との関わりが増えてくる3歳頃に読み聞かせをすると興味を持って聞いてくれるのではないかと思います。また幼児に限らず、小学生低学年くらいまでは物語と同じようなシーンに出くわすことも考えられます。幼児期〜小学生低学年くらいまでの子どもに、長く読んで親しんでもらえる絵本ですよ。
文・藤まゆ花 編集・横内みか