大切に想っているのにイライラしてしまう……。ママの気持ちを本を通してわが子に伝えたい。絵本『みどりのくまとあかいくま』#ママの悩みに寄り添う絵本
女性は妊娠したことがわかると、お腹の中で育つわが子のことが気になったり産後子どもと過ごす生活を想像したりして、ママとしての自覚が芽生えていきますよね。辛く苦しいつわりや体形の変化、腰痛などの苦痛に耐えながら過ごしたママもいるのではないでしょうか? 私も妊娠中はつわりや腰痛に悩まされたり、大きくなったお腹に圧迫されたりして夜は熟睡できないこともありましたが、わが子と対面を楽しみに苦痛な症状を乗り越えました。私は出産後、いつか妊娠・出産を乗り越えてようやく出会えたわが子に夫との出会いから子どもが生まれるまでのことを、伝えてみたいなと考えるようになりました。そしてわが子が2歳を迎える頃、絵本『みどりのくまとあかいくま』に出会ったのです。
絵本『みどりのくまとあかいくま』は2匹のくまのもとに”白い天使”がやってくる心あたたまるお話
『みどりのくまの家の隣に
あかいくまが引っ越してきた。
ふたりは、それぞれの色がいちばん
素敵だと思っていた。
ところがある日……
少しだけ、違う色をきれいだと思えるようになった』
“みどりのくま”は緑色が好きで、緑色のものを食べたり、身にまとったりして緑色の家に住んでいました。ある日、向かいの丘に赤色の家が建ちました。住んでいたのは赤色が好きな“あかいくま“でした。”みどりいろのくま“は”あかいくま“がどうして緑色のよさがわからないのか疑問に思いながら過ごしていました。
ある晩、夜通し雪が降りました。そして朝を迎えた頃には、あたりが真っ白になっていました。“みどりのくま”が雪で遊んでいると、“あかいくま”もやってきました。2匹のくまはお互いに相手の色を「きれいだな」と思うようになりました。そして一緒に遊び始めると、お互いの色をだんだん好きになっていく自分に気がつくのです。その夜は2匹そろって食事をし、夜がふけるのも忘れておしゃべりを楽しみました。
春になりました。仲良くなった2匹のくまは新しい家を作って一緒に暮らし始めました。そして季節は移ろい、あの冬の日と同じように一晩中雪が降った夜、2匹のくまのもとに真っ白な毛色のこぐま、“白い天使”がやってきたのです。
登場する動物に丸みがあって親しみやすいタッチの絵と、読み終わったときにホッとする感じが味わえる1冊です。
怒ってごめんね。わが子を大切に思う気持ちとイライラする気持ちの板ばさみに悩んだ日々
わが子が1歳8ヶ月を迎える頃、私は職場復帰しました。わが子は保育園に行くために車のチャイルドシートに乗るときから泣き始めるほど、保育園に行くことを嫌がりました。保育園に着くとヒートアップして号泣するわが子を、私は半ば無理やりひき離して保育士さんにお願いして出勤する日が続いたのです。泣き続けるわが子を見た私は、朝の支度に追われて甘えさせてあげられなくて子どもに申し訳ない気持ちでした。しかし一方で何をするにもマイペースだったわが子に、イライラして怒ってしまったこともありました。職場復帰した頃は仕事と家事と育児のバランスを保っていくのが難しく、わが子に大切に思っていることを伝える気持ちの余裕さえありませんでした。
ある休日に家族で立ち寄った書店で、絵本『みどりのくまとあかいくま』と出会いました。気になって試し読みをし、お話の終盤に差しかかると、絵本の最後に登場する“白い天使”がわが子とリンクしました。夫との出会いがあったからこそわが子に会えたこと、怒ってしまうこともあるけれどわが子を大切に思っているということを『みどりのくまとあかいくま』を読み聞かせすることによってわが子に伝えられるのでは? と思い、購入することにしたのです。
当時2歳くらいのわが子に読み聞かせた結果として、私の思いが伝わったかどうかわかりません。でもわが子は何度も読んでほしいと言い、毎日寝る前に3回くらい読み聞かせをせがんでくるほど気に入ってくれました。ちなみに小学生になった現在、いまだにこの絵本を読んでいることがあります。今度読んでいる姿を見かけたときは、どんな感情を抱いて読んでいるのかわが子に聞いてみようと思います。
【オススメ年齢】2歳くらい~
色や動物に興味をもつという意味では、1歳半くらいからでも楽しめると思います。お話を楽しむという意味では3・4歳から小学生低学年くらいまで、長く親しめるのでおすすめですよ。
文・藤まゆ花 編集・横内みか