バスや電車で座っている子どもは甘やかされている!?子どもがやさしい子に育つために大人が心がけたいこと
バスや電車など、子ども連れで公共交通機関を利用することはありますか? 住んでいる地域によっては、バスや電車を使うしかない、というママもたくさんいると思います。
子ども連れだと子どもが安全にバスや電車に乗れるか、目を離さずに注意していなければならないし、子どもが騒ぎ出したり、床に座り込んだり、周りの人の迷惑になっていないかとマナーにも気を使います。バスや電車は緊張の連続というママもいるのではないでしょうか。
電車やバス、子ども連れに厳しい視線を感じる?
筆者自身の経験ですが、子どもが赤ちゃんの頃はベビーカーに乗せて、さらに大きくなってからは、幼い子どもを2人連れて、電車やバスに乗ることが時々ありましたが、いつもすごく緊張していました。子どもが騒がないように、おやつ、本、スマホといろいろ用意していても、やっぱり飽きられてしまい、
「親がちゃんと子どもを静かにさせなさい!」
と周囲の人から自分が責められているような気分になったこともあります。筆者は車内が揺れて危ないと思って、子どもを席に座らせるようにしていました。そうすると、
「子どもは立っているものでしょ」
と白い目で見られたこともあります。でも、立っている子どもが車内でよろめいて、ほかの人にぶつかってしまうのも、危ないし迷惑だろうし、どうしたらいいのかわかりませんでした。
車内の席は子どもが優先の国
子どもが幼いときにシンガポールに住んでいたという先輩ママと話していたときのことです。その先輩ママは、シンガポールでの幼稚園、小学校通いは娘を2人連れてバスで送り迎えをしていたという話になりました。
「子どもがバスに乗ってくると、みんなすごく優しいの。朝は車内も混んでいて、子どもが周りの人に迷惑かけていないかって私も心配して乗るんだけれど、席に座っている人が、男性でも女性でも、若い人も年寄りの人も、子どもに、「こっちにおいで」って呼んでくれて、座るスペースを空けてくれたり、膝の上に乗せてくれたり」
「立派なスーツを着ている人でも膝の上に子どもを乗せてくれるのよ。うちの子が服を汚さないか心配しちゃうくらいだったけれど、そんなこと気にする様子も全くなくて、子どもに親切にしてくれるの。子どもを甘やかすっていうことではないのよね。子どもをみんなで大切にしている」
シンガポールなどアジアの国では、公共交通機関で子どもを優先して座らせる文化があると筆者も聞いたことがありました。本当にそういう国があるんだととてもうらやましかったです。
子どもにやさしい文化の本当に良いところ
「そうやって子どもを可愛がって大切にする文化の中で子育てできたのって、すごくよかったと思う」
ママにとっては、周囲からの厳しい視線がちょっと和らぐだけでもすごく気が楽になるだろうな、と筆者は思ったのですが、先輩ママはそういう意味で「よかった」と言ったのではありませんでした。
「娘たち(娘さんは2人とも今は高校生だそうです)がとてもやさしい子に育ったと思う。電車の中でもいつも席を譲るようになったし。私が譲りなさいと言わなくても、自分がそうしてもらってきたから、当たり前なんだって」
「譲る相手の方の気持ちを考えて譲り方を工夫したりもしている。高齢者の方だと、席を譲られるほど歳を取っていないのに、と気を悪くされることもあるでしょ。だから、私の方が若いので、と言って譲ることにしているって言っていたのよねえ」
すごくいい話だと思いました。やさしさをたくさん受けて育った子はやさしい人間に育つのではないでしょうか。筆者も自分の子どものことだけでなく、ほかの子たちにも、もっとやさしくしてあげたくなりました。やさしい社会になってほしいから、自分から実践したいと思います。
文・野口由美子 編集・山内ウェンディ イラスト・春野さくら