育児と介護の両立できる?深刻化する「ダブルケア」の問題とは
育児と介護を同時に行う「ダブルケア」に直面する人が年々増加しています。政府の調査によると、把握されているだけでも約25万人もいるとされていて、そのうち約8割が30~40代の働き盛りと言える世代です。さらにその66%が女性だということで、ママたちが育児と介護の両立に悩まされている現状が見えてきます。晩婚化や晩産化にともない、「ダブルケア」の問題が深刻化しているとも考えられているのです。今回は、「ダブルケア」の問題について考えてみたいと思います。
ダブルケアをしている人たちの「壮絶な生活」
それでは、実際にダブルケアを行なっている人たちは、どのような日常を送っているのでしょうか? ママスタコミュニティにも、その体験談が寄せられていました。
『低学年を筆頭に3人の子と、認知症で少ししか歩けない祖母と暮らしています。一番下は未就園児。祖母は平日はデイサービスに行っているけど、お風呂は毎日入れてもらえないので、夏場は家で入浴もさせていました』
『6月で2歳になる子どもがいるんだけど、両親の介護も始まってる。父は75歳で脳出血やって半身マヒ、母親は71歳で認知症。昨日の夜は近くに住む実家の父が家で転倒して動けなくなったって電話が来たから、子どもを寝かしつけてから実家に行って様子を見てきた』
『義母の介護をしています。小学校5年と6年の年子の女の子がいて、週1しか休みがありません。土曜日も介護、せめて休みの日曜日くらいは、子どもたちをどこかに連れて行ってあげたいけど、なかなか家から離れられないです』
ダブルケアに直面しているママたちの生活はかなり壮絶で、自宅で介護をしている場合は特に大変そうに思えます。
ママたちのタスクは「介護と育児」だけにおさまらない現実も
実際にダブルケアに直面して、そのあまりの大変さに限界を感じたという切実な声も集まっていました。
『事情があって旦那のおばあちゃんと1か月だけ同居して介護してた。介護優先で我が子のことは二の次になってたし、イライラして子どもに当たってしまった… 』
『祖母を施設に預けて、毎日面会に行き4年ほど介護しました。施設に入れても通院があったり家に宿泊させたりすることもありました。食事が刻み食だったので離乳食中期から後期ぐらいのを作っていました。子どもは小学生だったので、学童に預けて働いていました。精神的に一番大変でした』
『派遣なので時短勤務が使えず、いっぱいいっぱいになりながらフルタイムで働いています。夜保育園に子供を迎えに行って、18時半に帰ってからご飯の支度したり子どもをお風呂にいれたり寝かしつけたりして、バタバタしている20~21時台に実家の父から「転んだ」って電話がかかってきたりするので、もうパンクしそうです。仕事中も父や保育園から電話がかかってくるので油断できません。仕事と家事と育児と介護の両立ってなかなか難しいですね』
ダブルケアに直面するママたちの中には、介護と育児に加えて、仕事をしている人ももいるようです。さらに、家事についてもママたちの仕事として重くのしかかってきます。ダブルケアといっても、ママのタスクは2つでとどまらず、3つにも4つにもなっているようです。
「ダブルケア」に向き合ったらすべきこと
それでは、大変な状況を緩和させてうまく介護と育児の両立をするためにはどうすればいいのでしょうか。
介護サービスを利用する
ママスタコミュニティに寄せられた声のなかでも、多くの人が介護サービスを利用していました。
『日中は仕事してるから子どもは保育園に預けてるよ。母親は特別養護老人ホームにいて、父親は在宅で介護してるけど、ヘルパーとかデイサービスとか使ってる』
『祖父母と同居していて介護もしていました。祖母は入退院を繰り返し認知症も酷く、一時は徘徊もしたりととても大変でした。祖父も認知症が多少あり、最終的には2人とも週5でデイサービスに行ってもらってました』
要介護認定を受けると、できることのレベルに応じて、要支援や要介護など、どの程度か判定されます。その認定は、受ける介護サービスの給付額と結びつき、通常よりも安い料金での利用が可能になります。日中預かってもらえる「デイサービス」や、数日間預かってもらえる「ショートステイ」など、利用できるサービスの種類はさまざまなので、自分たちの生活にあったものを選択することができます。「ダブルケア」に直面しているママたちには、利用は必須だと言えるかもしれません。
施設に入所してもらう
『娘が幼稚園の時に実母の認知症が判明して、3年程同居してたけど、どうしても無理が出てきて、施設に入所してもらったよ』
『自分の家庭や旦那さん、子どものためには施設に入所手続きをした方がいいと思う。介護は、終わりが見えないから頑張りすぎない方がいい』
施設に入れるというと、抵抗のある人もいるかもしれませんが、育児と介護で手一杯になったら、入所してもらうのも一つの選択肢かもしれません。そもそも空きがない、施設に入れる費用が高いなどで入れられない可能性はありますが、検討してみてもいいかもしれません。
保育園や幼稚園を利用する
子どもの預け先も、1~2個確保できていると安心ですね。急な体調不良などで介護の必要が出た場合に備えておくと安心です。
兄弟や親せきに頼る
筆者自身、一昨年亡くなった母親の看病と乳幼児の育児を同時に経験したことがあります。両立がなかなかできずに困っていたときに、姉と協力したり、親せきの力を借りることで何とか乗り切ることができました。「困ったときはお互いさま」なのだと改めて実感し、精神的にも大きな支えになりました。思い切って、周りの人にSOSを出すことも重要かもしれません。
今親は元気でも、高齢や病気が原因でいつ介護が必要になり「ダブルケア」に直面するかわかりません。普段から、介護が必要になったらどうするのか、家族で話し合っておくことが重要かもしれません。筆者自身、「ダブルケア」の大変さを身をもって感じましたが、今となっては母に孫の顔をたくさん見せてあげられてよかったと感じています。家族にとっても辛いものはありましたが、大きな経験になりました。利用できるサービスはすべて使い、周りに頼ることを忘れず、それでも無理なら地域包括支援センターなどの相談窓口も利用しましょう。介護や育児はなかなか終わりが見えないため、無理をしずぎず長い目で見たほうがよさそうです。
文・高村由佳 イラスト・Ponko
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